アインシュタインの論文「運動物体の電気力学」の完璧な論破

 特殊相対性理論は、1905年のアインシュタインの論文「運動物体の電気力学」で確立され、広く物理学者が受け入れている考え方です。
 この論文では、同期の手法を使い、同時性の否定や、時間の普遍性の否定などを行い、また、静止系で観測される運動系の光の軌跡に光速度不変原理を適用し、理論構築を行っています。
 しかし、この考え方自体に問題があることが判ったので、その矛盾を明らかにし、論文そのものの誤りを明確にします。


 アインシュタインは、同期という手法を用いて静止系の同時と時計の同時刻を定義している。
 時刻tに光を照射し、時刻tB2に光が、B点に到達し、反射され、
時刻tA3に光が戻ったとしよう。

          

                  図-1
   tB2-tA1=tB2-tA3
の関係が成り立つとき、これらの二つの時計は同期(同時刻)していると定義している。


 この同期の手法を使って、アインシュタインは、論文の「2.長さと時間の相対性」で、静止系を移動する棒を使って、系間の同時性の否定を行っています。
 アインシュタインの論文を考察する前に、静止系を移動する点(時計をつけた)について、同期できるかどうかどうかなどを検証してみましょう。

         

                  図-2
 Z軸上の時計の時刻t₀に、光を速度Ⅴで移動する点に向けて照射し、点の時計の時刻t₁に光が点に到達し、反射されてZ軸に向かい、Z軸の時計の時刻t₂に戻ったとします。この時、
   t₁-t₀=t₂-t₁
となり、時計の同期ができることがわかり、光が点に到達したときの点の時計とZ軸上の時計は同期でき、二つの時計の時刻は、同時刻になることがわかります。これは、光を出した位置に光を戻せば、必ず成り立ちます。
 この考え方で、静止系を移動する時計についてみてみましょう。
 静止系に時刻合わせし、同期した時計A・Bを置きます。Aの時計から光をBに向けて照射します。Bの時計は、光を照射すると同時に、速度Vで移動したとします。

         

                   図-3
 光が、B’の時計に当たり、反射されAの時計に戻った時、
   tB1-tA0=tA2-tB1
が成り立ち、時計が同期していることがわかります。
 このように考えると静止系で同期し、時刻合わせをした時計は、どんな状態(速度Vで移動、移動して止まる)でも静止系に静置した時計と同期できることができます。
 つまり静止系を移動する時計の時刻は、静止系の時刻と常に同じということがわかります。
 そして、運動系(地球)の時間と静止系の時間は同じということが言えます。
   τ₁-τ₀=t₁-t₀
 次に、速度Ⅴで移動する棒について考察してみましょう。
 移動する棒の時計を一度同期し、時刻合わせをすれば、常に静止系の時刻と同じになると考えられます。
 つまり、運動する棒の時計の時刻は、静止系の時刻と常に一致していることになります。
 また、マイケルソン・モーリーの実験結果と地球の光速度の測定結果を考えると運動系(地球・電車の中)で同期を行い、その状態を静止系で観測すると
   τ₁-τ₀=t₁-t₀=τ₂-τ₁=t₂-t₁=L/C
となります。

         

                   図-4
そして、静止系と運動系で同期を同時に行なっても
 τ₁-τ₀=t₁-t₀=τ₂-τ₁=t₂-t₁=L/C
になり、 t₁=τ₁、t₂=τ₂、が成り立ち、運動系の時間と静止系の時間も一致することから、時間の遅れなどを容認するローレンツ変換の考え方が否定されることになります。
 アインシュタインの考え方は、エーテル論的な考え方で軌跡(虚像)に光速度不変原理を適用し、理論構築を行っているので、ここで、実像と軌跡の違いを明確にしたいと思います。
 速度Ⅴで移動する電車に長さLの棒を置き、その一端から光を照射し、時計の同期を行ったとします。
 静止系には


、速度Vで移動する鏡と静置した鏡を置き、それぞれの像を比較します。

         

                   図-5
 像の状態がわかりやすいように運動系を静置した状態で示します。

         

                   図-6
 鏡を速度Vで移動させたときは、鏡に映る像は、運動系の電車も棒も動かない状態で、光の像も同じ状態で観察されます。
 この状態の像が実像です。この軌跡(実像)の移動速度は、Cになります。
 一方、静置した鏡に映る電車や棒は、移動した状態で観察され、光も移動した状態で観察されます。

                            

                                                              図-7


 この状態の像は、虚像になります。この軌跡(虚像)の移動速度は、相対速度C±Vになります。
 アインシュタインは、この相対速度に光速度不変原理を適用し、Cとしているのです。
 電車を地球に置き換えるとマイケルソン・モーリーの実験結果と地球での光速度の測定結果および運動する時計の同期結果より、より、地球では、時計の同期ができ、
  τ₁-τ₀=τ₂-τ₁=L/C
を観測し、静止系(真空系)で観測される軌跡の移動速度は、
  t₁-t₀=L/(C+V-V)=L/C
  t₂-t₁=L/(C-V+V)=L/C
となるのです。
 ここで、物理学者さんがエーテル理論を優先して考え、勘違いしているだろうと思われる光の移動状態と軌跡の関係をここに示します。
 静止系に速度Ⅴで移動する電車があります。この電車の中に、長さL同じ位置に長さLの棒を貼り付け、静止系にも同じ位置に棒を置きます。
 棒の端から光を照射し、L/C時間後の光と軌跡の状態を見てみましょう。この時、見やすいように、静止系を移動した状態の図にします。

        

                  図-8
 ピンクの線は、静止系で観測される電車(地球)の光の軌跡です。
 オレンジの線は、電車と壁に張り付いた棒で観測される静止系の光の軌跡です。

        

                   図-9
 電車の中では、L/Cの時間で電車の光が、棒の端に到達し、静止系の光のオレンジの軌跡は、端には到達していない状態です。
 電車の壁に張り付いた棒に対しては、静止系の光も軌跡も棒の端に到達していない状態です。
 静止系の棒の観測者は、L/Cの時間で静止系の光が、棒の端に到達し、運動系の光のピンクの軌跡は、ⅤΔt+L移動しているのを観測します。
 アインシュタインの考え方では、このピンクの軌跡に、光速度不変原理を適用し、Cとして、理論展開を行っています。
 そのため、静止系のL/Cの時間に、光が進む距離は、普通の光の距離Lと軌跡を光としたⅤΔt+Lの移動距離の二つが存在する矛盾が生じています。
 この考え方で、静止系と運動系の時間のずれを作り出していたのです。


 では、アインシュタインが論文(2.長さと時間の相対性)で行った内容を見てみましょう。
 静止系に、長さLの棒を置き、両端に静止系で時刻合わせをした時計を置き、棒とともに移動する観測者も置きます。   

                 

                 図-10
 棒を速度Ⅴで移動させ、時刻tにA点を出発し、時刻tにB点で反射され、時刻tA′にAに戻るという同期を行なっています。

        

                 図-11
 この時、光速度一定の原理を考慮すると、
   tB-tA=rAB/(C-V)
および
   tA′-tB=rAB/(C+V)
となるとしています。(rAB:運動している棒を静止系で測った棒の長さ)
 こうして、棒とともに移動する観測者は、二つの時計は同期していないという観測するのに対して、静止系の観測者は同期していると観測するとしています。
 このことから同時性というものには、絶対的な意味がなく、二つの出来事が、ある座標系では同時刻に起こったように見えても、その座標系では、もはや同時刻の出来事とは考えられないとしています。


 これは、先に行った移動する点や時計は、静止系の時計と同期できるという考察とマイケルソン・モーリーの実験結果に矛盾する考察である。
 アインシュタインの考え方は、マイケルソン・モーリーの実験結果や地球での光速度の観測結果(地上で時計の同期ができる)から得られる運動系で同期できるという現象を静止系を移動する棒にし、光速度不変原理を適用したときに、上述の時間の矛盾が生じると指摘しているようです。
 アインシュタインの同期という手法は、静止系に止まっている棒に対して成り立つ法則である。それを動いた棒に適用し、時刻の不一致を指摘している。
 例えば、静止系にある長さLの棒を速度Uの点が移動したとする。この時、点が棒を移動する時間は、
   Δt=L/U
となる。この法則は、静止系に静置した棒ならば、どこにあっても成り立つ法則である。
 そして、移動する棒には、この法則が成り立たないから、この法則は、静止系で成り立っても運動系では、同時に成り立たない事柄と指摘しているような考察なのである。
 しかし、運動系(電車や地球)では、この法則
   Δt=L/U
は、成り立ち、矛盾などないのです。
 ただ単に、静止系を移動する棒の静止系の光の移動時間を観測しているだけなのです。
 ここで移動する棒の同期の光路を考察してみましょう。

                          

                  図-12
 移動する棒の光路では、光の出た点に光が戻らないために、静止系の時計でも同期できません。しかし、静止系の時計は同時刻です。
 光を出した位置に光が戻らない同期の手法は、同時刻という事象に関して絶対条件ではないのです。
 同期できれば、同時刻ですが、同期できなくても同時刻の事象は存在するのです。
 それでは、アインシュタインの操作で、光を出した位置に光を戻してみましょう。

        

                 図-13
 B点に到達した光をZ軸に戻すと、一見して静止系のZ軸にある時計と同期ができることがわかります。

        

                  図-14
 A点に到達した光は、地上のC点に対応した位置まで戻すと、これもC点に対応した時計と同期できることがわかります。
 以上のように考察すると運動系と静止系には、同一の時刻しか存在せず、アインシュタインの考察とマイケルソン・モーリーの実験結果とが、矛盾することがわかります。
 そして、図-11で観測した時間
   t-t=rAB/(C-V)  tA′-t=rAB/(C+V)
は、移動する棒の観測者も同じ時間を観測していることになるのです。
   t-t=τ-τ=rAB/(C-V)
   tA′-t=τA′-τ=rAB/(C+V)
 この移動する棒の観測者が観測する時間は、エーテル理論のエーテル風の影響と同じで、地球で同期を行った時の静止系で観測される軌跡の速度をCにした時の移動時間に相当します。


 ここで、アインシュタインが行った同期の思考実験に、マイケルソン・モーリーの実験結果を組み合わせて思考実験を行ってみましょう。{これ以降は、ほぼ、私のブログ光速度不変原理の完璧な論破および光速度不変原理の完璧な論破(補足説明・静止系の光の挙動)のコピーです。}


 棒の代わりに、電車(運動系・地球)の外壁に、長さLの棒を貼り付けた電車を速度Ⅴで移動し、静止系の光で時計の同期を行います。
 速度Ⅴで移動する電車の中には、壁一枚隔てた状態で壁の外の棒に重なるように長さLの棒を置きます。 

                    

                  図-15
 電車に貼り付けた棒の観測者は、静止系の光に対して、静止系を移動する棒と同じ動きをするので(移動する棒に相当する)同期を行うと
   τ₁-τ₀=L/(C-V)、τ₂-τ₁=L/(C+V)
の時間を観測し、時計の同期ができないことになります。
 電車の中の観測者も外壁の棒に張り付いた観測者と同じ運動系の観測者なので、時計の同期ができないことを観測します。
 次に、電車の中の光で時計の同期の観測を行います。

                    

                  図-16
 電車の中の観測者は、運動系の光で
    τ₁-τ₀=τ₂-τ₁=L/C
を観測し、時計が同期できるのを観測します。
 電車の外壁に張り付いた棒の観測者も同じ運動系の観測者なので、時計の同期ができることを観測します。
 静止系の光と運動系の光を同時に照射し、時計の同期を行ってみましょう。

                  

                  図-17
 電車の中と外の観測者は、静止系の光で
    τ₁-τ₀=L/(C-V)、τ₂-τ₁=L/(C+V)
を観測し、時計の同期ができないことを観測します。
 一方、運動系の光では、
    τ₁-τ₀=τ₂-τ₁=L/C
を観測し、時計の同期ができることを観測します。
 この時間が一致しない事柄が、マイケルソン・モーリーの実験結果から得られた事柄なのです。
 この状態を運動系から見てみましょう。運動系を静止した状態にし、静止系を動かし、光と軌跡の状態を観察します。
 最初に、運動系の光と軌跡が棒の一端に到達した状態を示します。ピンクの線が静止系の光の軌跡を表しています。
 この光と軌跡が、棒の一端に到達する状態は必ずしも同時には起こっていません。便宜上、同時に起きているように書いています。 

                    

                  図-18
 この時、棒に張り付いた観測者は、運動系の光が棒を移動する時間として
   τ₁-τ₀=L/C
を観測し、静止系の光の軌跡が、棒を移動する時間
   τ₁-τ₀=L/(C-V)
を観測します。棒の観測者は、静止系の光そのものではなく、静止系の光の軌跡が、棒の一端からもう一端へと移動している状態を観察しているのです。
 次に、光・軌跡が棒の一端で反射され、もう一端に戻った状態を見てみましょう。この状態も必ずしも同時には起こっていません。便宜上、同時に起きているように書いています。 

                    

                   図-19
 この時、棒に張り付いた観測者は、運動系の光が棒を移動する時間として
   τ₂-τ₁=L/C
を観測し、静止系の光の軌跡が、棒を移動する時間
   τ₂-τ₁=L/(C+V)
を観測します。
 このように考察すると、真空系と運動系(地球)では、別の光が存在すると考えることができます。
 アインシュタインが行った考察は、エーテル理論的な考え方が根底にあり、地球上に静止した棒が移動したときに、静止系の光に対して
   τ₁-τ₀=L/(C-V)、τ₂-τ₁=L/(C+V)
が得られるという考え方のように思われます。
 そして、棒とともに移動する観測者は、光の相対速度(C±V)を観測していることになります。


 アインシュタインは、著書「特殊及び一般相対性理論について」(金子務訳 白揚社)の中でも同時性の否定を行っています。
 この考察は、エーテル理論的な考え方で、マイケルソン・モーリーの実験結果を無視した考え方です。これについても考察してみましょう。


 速度Ⅴで移動する列車の軌道堤のA・B点に同時に落雷があったとします。

         

                  図-20
 軌道堤のA・B点の中間点Mにいる観測者Pは、雷の閃光が同時に到達するのを観測します。

         

                  図-21
 一方、列車の中間点にいる観測者Oは、B点の閃光には、向かって移動していて、A点の閃光には、遠ざかっているので、Bの光が先にOに到達し、Aの光は遅れて到達する。
 列車を基準体とする観測者は、落雷Bが、落雷Aより先に起こっているという結論になる。
 そして、軌道堤を基準として同時である事象は、列車を基準にすると同時でないとしています。
 そして、すべての基準体は、それぞれ固有な時間を持っている。だから時間の表示が意味を持つのは、時間の表示が基準としている基準体だけであるとしています。
 この現象は、ただ単に、光の到達点が移動したから起きた現象です。
 例えば、静止系に静置した棒と速度Ⅴで移動する棒の端から光を照射した場合、到達点が移動したために、棒の端に遅く到達したり、早く到達したりしているにすぎないのです。

         

                  図-22
 そしてこの同時という現象は、雷の閃光の中間地点Mの特異な地点でしか起きない現象なのです。

         

                  図-23
 閃光が、M’に到達するC・D点の軌道堤にいる観測者も同時に到達すると観測しません。
 しかし、光が同時に到達したときに、たまたま、Mに対応した位置にいる電車の観測者は、光が同時に到達したのを観測します。
 そして、アインシュタインと同じ考察をすると軌道堤のC・D点にいる観測者は、B点の落雷が、早く起こっていると観測することになります。
 静止系の事象と運動系の事象の同時を考察するときは、両方の系に共通した出来事での比較をする必要があります。

                            

                                                               図-24
 A・B点で落雷があった時に、A’・B’点でも閃光を起し、M’に光が同時に到達するかを考察すればよいのです。

        

                  図-25
 ABの距離を2Lとすると電車も軌道堤でも光はM・M’にL/C時間後に同時に到達します。
 列車でも軌道堤でも同じ事象を同時に起こせば、同じ時間で物事が起きるのです。別々の基準体で時間のずれなどなく、一つの時間しかないのです。


 伝搬に着目すると音も光と同じような性質を持っています。
 空気中の音の伝搬は、音源の移動状態にかかわらず、常に一定の速度Sを持っています。そして、移動する電車の中の伝搬速度もSになります。
 音の場合は、伝搬速度は、観測可能なほど遅いので、相対速度になることがわかっていますが、光の場合、相対速度の測定が難しく、また、エーテル理論的な考え方が主流であったために、相対速度の測定は、行われなかったのではないでしょうか?
 静止系を棒とともに移動する観測者が、時計の同期ができないだけの考察で、マイケルソン・モーリーの実験結果を考慮していない考え方になっていたのです。
 ここで、棒の観測者が観測する時間に着目してみましょう。移動時間=移動距離/移動速度 という原則です。
   τ₁-τ₀=L/(C-V)、τ₂-τ₁=L/(C+V)
 この(C-V)、(C+V)は、棒の観測者が、静止系の光の速度を(C-V)、(C+V)として観測していることを意味します。
 光速度不変原理は、「真空中での光の伝播速度は一定の値(真空の光速度)で、光を放出した物体や観測者の速度に依存しないという原理。」という考え方ですが、移動する観測者が観測する(C-V)、(C+V)は、一定ではなく、速度に依存していることを表しています。
 光速度不変原理は、「真空中での光の伝播速度は一定の値(真空の光速度)で、光を放出した物体の速度に依存せず、移動する系中での光の伝播速度も一定の値である。」と書き換えなければなりません。


 ここで、運動系と静止系を逆にし、移動する棒を固定したときの光の状態(軌跡)を考察してみましょう。 

                    

                  図-26
 ピンクの線が、棒の観測者が観測する光の軌跡です。 

                    

                  図-27
 この軌跡に対して棒の観測者は、(C-V)、(C+V)の相対速度を観測していることになります。
 同じことが、電車の観測者も静止系の光に対して、(C-V)、(C+V)の相対速度を観測していることになります。 

                    

                  図-28
 しかし、電車の中の光の伝搬速度は、Cで一定なのです。
 運動系の観測者が、静止系の光速度をCとして観測していれば、時計の同期ができるはずですが、光の軌跡を観測しているので同期できないのです。
  
 では、アインシュタインが論文の中で、ローレンツ因子を求めるために行った思考実験を見てみましょう。


 論文の「3.座標と時間の変換理論」でアインシュタインは、運動系kで起こった出来事の場所と時刻を指定する値ε,η,ζ,τに対して、運動系の原点と✗’を光が往復する状態の座標変換を静止系に光速度不変原理を用いて、静止系Kを指定する値x,y,z,tとを関係づける連立方程式を求めようとしています。

                    

                 図-29
 運動系の光の観測で得られる光の軌跡(オレンジ色の線)に光速度不変原理を適用し、光速度をCとしている。
 そして、光の移動時間としてL/(C-V)、L/(C+V)を算出し、
   1/2(τ₀+τ₂)=τ₁     ‥‥‥‥(1)
が成り立たなければならないとし、この式に時間などの引数を入れ、(2)式を出しています。
  1/2[τ(0,0,0,t)+τ(0,0,0,{t+x´/(C-v)+x´/(C+v)})]=
  τ[(x´,0,0,t+x´/(C-v)] ‥‥‥‥(2)
(2)式については、座標点に関しては問題ありませんが、時刻(時間)に関しては、この式では成り立たないのです。時刻だけを取り出してみてみましょう
  1/2[τ(t)+τ{t+x´/(C-v)+x´/(C+v)}]
  ≠τ[(t+x´/(C-v)] 
となり、右辺と左辺は、等しくないのです。
 しかし、アインシュタインは、そのまま(2)式を展開し、ローレンツ因子を求めています。(数式の展開で、=でない式をそのまま=として展開することなどあるのでしょうか?)
 すでに、時間の矛盾のあるものを展開し、ローレンツ因子などを作っていたのです。
 この光速度不変原理を静止系に適用する考え方(軌跡の速度をCとする。)は、図-6の軌跡の速度を(C-V)、(C+V)にしたことと矛盾する考え方です。
 静止系に光速度不変原理を適用し算出された時間
   x´/(C-v)  x´/(C+v)
は、エーテル理論で考えられていた時間で、静止系に光速度不変原理を適用するという考え方は、静止系を真空系のエーテルの場にしているのと等しい事柄です。
 ここで、運動系の原点と✗’の距離をLとして前述の電車を使って、時間の考察をしてみましょう。 

                 

                 図-30
 運動系を固定して静止系を動かして考察を行います。 ピンクの線は、静止系で観測される光の軌跡です。 

                  

                 図-31
 運動系の光が、棒の端✗’(L)に届いた時、静止系の軌跡の長さは、
L+VΔt₁となります。 

                  

                 図-32
 運動系の光が、原点に戻った時の静止系の軌跡の長さは、L-ⅤΔt₂となります。
 ここで、アインシュタインは、静止系に光速度不変原理を適用し、光そのものではない軌跡の速度をCにしたのです。 

                  

                 図-33
 そして運動系の光の移動時間を
  CΔt₁=L+VΔt₁、  Δt₁=t₁-t₀=L/(C-V)
  CΔt₂=L+VΔt₂、  Δt₂=t₂-t₁=L/(C+V)
として算出しました。
 これにより、棒の観測者が観測する光の移動時間
τ₁-τ₀=τ₂-τ₁=L/Cが、
τ₁-τ₀=L/(C-V)、τ₂-τ₁=L/(C+V)
に変化したのです。
 座標変換という名目で、棒の観測者が観測する時間を変化させていたのです。
 当然のことながら、静止系と運動系での時間の矛盾が生じます。そして、ローレンツ変換という形にして説明したのが、特殊相対性理論です。
 これでもあなたは、特殊相対性理論を信じますか?
 特殊相対性理論で定義されている時間の遅れや収縮など存在しないのです。


 アインシュタインは、論文の中で運動系の原点と✗’点を移動する光を使用し、静止系に光速度不変原理を適用し、座標変換を行っています。
 そして、私が、運動系の一つの時間L/Cが、L/(C+V)やL/(C-V)の二つの時間になるのはおかしいと主張しても信じてはもらえませんでした。
 ここでは、速度Vで移動する電車の中に2Lの棒を置き、運動系の時刻τ₀(静止系の時刻t₀)に棒の中心から左右に光を照射し、棒の端に光が到達する状態を考察し、運動系の時間L/Cを静止系の時間L/(C+V)やL/(C-V)にすることの矛盾を指摘します。 

                

                 図-34
 運動系の時刻τ₁=L/C(静止系の時刻t₁)に、光が棒の両端に同時に到達します。

                 

                 図-35
 この時、静止系で観測される光の軌跡も時刻t₁で同時に、棒の両端に到達しています。
 アインシュタインの論文「運動物体の電気力学」の座標変換で、Z軸の右側が、原点から光を照射し、✗’点に光が到達した状態、Z軸の左側が、✗’点から原点に戻る状態を表しています。
 軌跡の速度に光速度不変原理を適用すると、左側の軌跡の移動時間は、L/(C+V)となり、右側の軌跡の移動時間は、L/(C-V)となり、同じ時間にならないことがわかります。
 しかも、t₁の時刻が、L/(C+V)とL/(C-V)の二つの時刻に変化してしまうのです。
 そして、一つの状態図の中で、Z軸の左側では、時刻L/(C+V)になり、右側では、時刻L/(C-V)になるという奇妙な現象が起きていたのです。
 これでもアインシュタイン理論を肯定する方は、納得できないと思われるので、本当の光で考察を行ってみましょう。
 上述の事柄で、運動系で光を照射した時に、静止系でも光を左右方向に同時に照射してみましょう。

                   

                  図-36
 運動系の時刻τ₁=L/C(t₁)に、光が棒の両端に同時に到達します。 

                  

                  図-37
 この時、静止系で観測される静止系に照射した光(実像)の長さは、左右必ず等距離になるのです。
 そして、運動系の観測者が、観察する運動系の光の移動距離はL、静止系の観測者が、観測する静止系の光の移動距離もLとなり、系での移動距離に差はないのです。
 運動系と静止系の時間τ₁-τ₀=L/C、Δt=t₁-t₀の時間に静止系で光が移動する距離は、一つしか存在しないのです。
 静止系の時間Δt=t₁-t₀に光が移動する距離は、CΔt、ただ一つしか存在しないのです。
 しかし、軌跡(虚像)は、相対速度を持つので、移動距離は、左右で違っています。そして、移動速度によって軌跡の距離は変化しますが、光の移動距離は常に一つしかありません。軌跡は、虚像であって光そのものではないのです。
 アインシュタインは、論文「運動物体の電気力学」の中で、静止系に光速度不変原理を適用し、軌跡の速度をCとしていますが、実際の光と挙動が違う軌跡の速度をCにすることなどできないのです。 
 アインシュタインの当時、判っていることは、真空中の光速度は一定、移動する地球の系でも光速度はC(Ca)ということです。
 そして、マイケルソン・モーリーの実験結果は、地球にある棒を往復したときに、真空系での観測時間は、L/(C+V)とL/(C-V)にはならないという結論だったのです。
 しかし、エーテル理論的な考え方に固執するローレンツやアインシュタインは、マイケルソン・モーリーの実験結果を覆す(?)ことを試みたのです。
 アインシュタインは、論文「運動物体の電気力学」の中の座標変換で、静止系に光速度不変原理を適用し、軌跡の速度をCとして軌跡の移動時間をL/(C+V)とL/(C-V)とし、エーテル理論で考えられていた移動時間にしたのです。この数値を操作し、ローレンツ因子を算出しています。
 最初から、時間の矛盾のある数値を操作して出されたローレンツ因子、信じることができますか?
 私は信じることはできません。
 軌跡の移動速度を相対速度(C+V)と(C-V)にすると軌跡が棒の端に到達する時間は、ともにL/Cになり、同時刻に到達することになります。


 古典的な手法で、アインシュタインが行った、静止系に光速度不変原理を適用し、軌跡の速度をCにすることの矛盾を示しました。
 ご理解いただけたでしょうか?


 皆さんのご意見、反論をお待ちしています。


[添付資料]
◦アインシュタイン論文選 「軌跡の年」の5論文 論文3 『運動物体の電気力学』
 青木薫訳 ちくま学芸文庫

     


     

    

    

    

    

    

    


◦『特殊および一般相対性理論について』金子務訳 白揚社

     

     

    

光速度不変原理の完璧な論破(補足説明・静止系の光の挙動)

 前ブログで、光の軌跡に光速度不変原理を適用することに、何の疑問を抱かない人がいるようなので、ここで、実際の光とその時に観測される光の軌跡について、詳しく説明します。


 アインシュタインは、論文の中で運動系の原点と✗’点を移動する光を使用し、静止系に光速度不変原理を適用し、座標変換を行っています。
 そして、私が、運動系の一つの時間L/Cが、L/(C+V)やL/(C-V)の二つの時間になるのはおかしいと主張しても信じてはもらえませんでした。
 ここでは、速度Vで移動する電車の中に2Lの棒を置き、運動系の時刻τ₀(静止系の時刻t₀)に棒の中心から左右に光を照射し、棒の端に光が到達する状態を考察し、運動系の時間L/Cを静止系の時間L/(C+V)やL/(C-V)にすることの矛盾を指摘します。

        

                 図-1
 運動系の時刻τ₁=L/C(静止系の時刻t₁)に、光が棒の両端に同時に到達します。

        

                 図-2
 この時、静止系で観測される光の軌跡も時刻t₁で同時に、棒の両端に到達しています。
 アインシュタインの論文「運動物体の電気力学」の座標変換で、Z軸の右側が、原点から光を照射し、✗’点に光が到達した状態、Z軸の左側が、✗’点から原点に戻る状態を表しています。
 軌跡の速度に光速度不変原理を適用すると、左側の軌跡の移動時間は、L/(C+V)となり、右側の軌跡の移動時間は、L/(C-V)となり、同じ時間にならないことがわかります。
 しかも、t₁の時刻が、L/(C+V)とL/(C-V)の二つの時刻に変化してしまうのです。
 そして、一つの状態図の中で、Z軸の左側では、時刻L/(C+V)になり、右側では、時刻L/(C-V)になるという奇妙な現象が起きていたのです。
 これでもアインシュタイン理論を肯定する方は、納得できないと思われるので、本当の光で考察を行ってみましょう。
 上述の事柄で、運動系で光を照射した時に、静止系でも光を左右方向に同時に照射してみましょう。

         

                   図-3
 運動系の時刻τ₁=L/C(t₁)に、光が棒の両端に同時に到達します。

         

                   図-4
 この時、静止系で観測される静止系に照射した光(実像)の長さは、左右必ず等距離になるのです。
 そして、運動系の観測者が、観察する運動系の光の移動距離はL、静止系の観測者が、観測する静止系の光の移動距離もLとなり、系での移動距離に差はないのです。
 運動系と静止系の時間τ₁-τ₀=L/C、Δt=t₁-t₀の時間に静止系で光が移動する距離は、一つしか存在しないのです。
 静止系の時間Δt=t₁-t₀に光が移動する距離は、CΔt、ただ一つしか存在しないのです。
 しかし、軌跡(虚像)は、相対速度を持つので、移動距離は、左右で違っています。そして、移動速度によって軌跡の距離は変化しますが、光の移動距離は常に一つしかありません。軌跡は、虚像であって光そのものではないのです。
 アインシュタインは、論文「運動物体の電気力学」の中で、静止系に光速度不変原理を適用し、軌跡の速度をCとしていますが、実際の光と挙動が違う軌跡の速度をCにすることなどできないのです。 
 アインシュタインの当時、判っていることは、真空中の光速度は一定、移動する地球の系でも光速度はC(Ca)ということです。
 そして、マイケルソン・モーリーの実験結果は、地球にある棒を往復したときに、真空系での観測時間は、L/(C+V)とL/(C-V)にはならないという結論だったのです。
 しかし、エーテル理論的な考え方に固執するローレンツやアインシュタインは、マイケルソン・モーリーの実験結果を覆す(?)ことを試みたのです。
 アインシュタインは、論文「運動物体の電気力学」の中の座標変換で、静止系に光速度不変原理を適用し、軌跡の速度をCとして軌跡の移動時間をL/(C+V)とL/(C-V)とし、エーテル理論で考えられていた移動時間にしたのです。この数値を操作し、ローレンツ因子を算出しています。
 最初から、時間の矛盾のある数値を操作して出されたローレンツ因子、信じることができますか?
 私は信じることはできません。
 軌跡の移動速度を相対速度(C+V)と(C-V)にすると軌跡が棒の端に到達する時間は、ともにL/Cになり、同時刻に到達することになります。


 古典的な手法で、アインシュタインが行った、静止系に光速度不変原理を適用し、軌跡の速度をCにすることの矛盾を示しました。
 ご理解いただけたでしょうか?


 さらに古典的な手法で、ミンコフスキー時空図での同時刻線の矛盾を示します。
 静止系に長さLの棒を置きます。時刻t₀=0(τ₀=0)に、棒を速度Vで移動するとともに、棒の中心部より両方向に光を照射します。

         

                  図-5
 この手法は、ミンコフスキー時空図を作るときに、使われている手法を平面的(?)に見た状態です。

         

                  図-6
 静止系の時刻t₁=L/(C-V)、運動系の時刻τ₁に、光が棒の左の端に到達します。
 運動系の観測者は、光の軌跡(ピンクの線)が、左の棒の端に到達したのを観測します。
これが、ミンコフスキー時空図で、光の世界線と点の世界線が交わる左側の点に相当します。

         

                  図-7
 次に、静止系の時刻t₂=L/(C+V)、運動系の時刻τ₂に、光が棒の右の端に到達します。
 運動系の観測者は、光の軌跡(ピンクの線)が、右の棒の端に到達したのを観測します。
 これが、ミンコフスキー時空図で、光の世界線と点の世界線が交わる右側の点に相当します。
 ミンコフスキー時空図では、左右の端に光が到達した点を結び、運動系の同時刻線としています。しかし、上述のように、運動系の時刻は、τ₁とτ₂と別々の時刻なのです。
 このように観察すると、ミンコフスキー図で言う同時刻線は、何を意味しているのでしょう。
 アインシュタインは、軌跡の速度に、光速度不変原理を適用しています。
 軌跡の速度をCにするとピンクの軌跡が、棒の端に到達する軌跡の長さは同じです。同じ距離を光が移動する時間は同じだから、同時刻線にしたのでしょうか?
 しかし、上述の観測のように、棒の端に光が到達する時刻(時間)は、τ₁≠τ₂と同じにならないのです。
 運動系で同時刻に起きていないのに、同時刻線?


 以上が、アインシュタインが行った静止系で観測される光の軌跡に光速度不変原理を適用して座標変換を行った時の矛盾です。
 光の虚像である軌跡に光速度不変原理を適用し、作った時間の矛盾L/(C+V)・L/(C-V)を使用して導き出されたローレンツ変換・時間の遅れ・運動物体の収縮など存在しないのです。
 この時間を用いて導き出されたローレンツ変換をまだ信じますか?
 軌跡の速度に、光速度不変原理を適用する矛盾を理解できましたか?
 物理学者の皆さんは、原点と✗‘点を往復する光で、この矛盾を容認していたのです。
 また、光の実像と軌跡の区別ができていなかったのです。
 光の速度は、運動する系では、一定の値Cを取ります。
 しかし、光の軌跡(虚像)の速度は、Cではなく、相対速度なのです。


[追記]
 今回の投稿をするにあたり、最初に書いた図は、下記の物でした。
 これは、単位時間の光の周波数に着目し、光が棒の端に到達するまで、光源から光を照射した時に、Lの間にある光の波の数を模式的に描いたものです。
 これと、移動距離で軌跡の説明をしようとしましたが、静止系に光を描けば、簡単に説明できるのでやめました。
 光のドップラー効果を描いた図です。皆さんも考察してください。

         


皆様のご意見・反論をお待ちしています。

光速度不変原理の完璧な論破

 光速度不変原理は、1905年のアインシュタインの論文「運動物体の電気力学」の中の座標変換で使用され、広く物理学者が受け入れている考え方です。
 しかし、この考え方自体に問題があることが判ったので、その矛盾を明らかにし、論文での座標変換の誤りを明確にします。


 アインシュタインは、論文の「2.長さと時間の相対性」の中で時計の同期の手法を使って系間の同時性の否定を行っています。
ここでは、この事柄を応用して 光速度不変原理の矛盾を明確に示します。


 静止系に、長さLの棒を置き、両端に静止系で時刻合わせをした時計を置き、棒とともに移動する観測者も置きます。

            

                  図-1
 棒を速度Vで移動させ、棒の一端から光を照射し、時計の同期を行います。

          

                  図-2
 棒とともに移動する観測者は、
  τ₁-τ₀=L/(C-V)、τ₂-τ₁=L/(C+V)
の時間を観測し、時計の同期ができないこと確認します。
 一方、静止系に静置した棒では同期できることから、系間の同時性を否定しています。
 このアインシュタインの考察は、マイケルソン・モーリーの実験結果を無視した考察を行っています。
 地球に静止した棒を真空系の光で同期を行えば、同期はできません。
 しかし、地球の光で同期を行えば、同期ができるのです。
 この事柄を無視した考察を行い、同時性の否定を行っています。
 この時、棒の代わりに、電車(運動系・地球)の外壁に、長さLの棒を貼り付けた電車を速度Vで移動し、時計の同期を行います。
 速度Vで移動する電車の中には、壁一枚隔てた状態で壁の外の棒に重なるように長さLの棒を置きます。

           

                  図-3
 電車に貼り付けた棒の観測者は、静止系の光に対して、静止系を移動する棒と同じ動きをするので(移動する棒に相当する)同期を行うと
  τ₁-τ₀=L/(C-V)、τ₂-τ₁=L/(C+V)
の時間を観測し、時計の同期ができないことを確認します。
 電車の中の観測者も外壁の棒に張り付いた観測者と同じ運動系の観測者なので、時計の同期ができないことを観測します。
 次に、電車の中の光で時計の同期の観測を行います。

           

                   図-4
 電車の中の観測者は、運動系の光で
   τ₁-τ₀=τ₂-τ₁=L/C
を観測し、時計が同期できるのを観測します。
 電車の外壁に張り付いた棒の観測者も同じ運動系の観測者なので、時計の同期ができることを観測します。


 静止系の光と運動系の光を同時に照射し、時計の同期を行ってみましょう。

           

                   図-5
 電車の中と外の観測者は、静止系の光で
   τ₁-τ₀=L/(C-V)、τ₂-τ₁=L/(C+V)
を観測し、時計の同期ができないことを観測します。
 一方、運動系の光では、
   τ₁-τ₀=τ₂-τ₁=L/C
を観測し、時計の同期ができることを観測します。
 この時間が一致しない事柄が、マイケルソン・モーリーの実験結果から得られた事柄なのです。
 この状態を運動系から見てみましょう。運動系を静止した状態にし、静止系を動かし、光と軌跡の状態を観察します。
 最初に、運動系の光と軌跡が棒の一端に到達した状態を示します。ピンクの線が静止系の光の軌跡を表しています。
 この光と軌跡が、棒の一端に到達する状態は必ずしも同時には起こっていません。便宜上、同時に起きているように書いています。

           

                   図-6
 この時、棒に張り付いた観測者は、運動系の光が棒を移動する時間として
   τ₁-τ₀=L/C
を観測し、静止系の光の軌跡が、棒を移動する時間
   τ₁-τ₀=L/(C-V)
を観測します。棒の観測者は、静止系の光そのものではなく、静止系の光の軌跡が、棒の一端からもう一端へと移動している状態を観察しているのです。
 次に、光・軌跡が棒の一端で反射され、もう一端に戻った状態を見てみましょう。この状態も必ずしも同時には起こっていません。便宜上、同時に起きているように書いています。

           

                   図-7
 この時、棒に張り付いた観測者は、運動系の光が棒を移動する時間として
   τ₂-τ₁=L/C
を観測し、静止系の光の軌跡が、棒を移動する時間
   τ₂-τ₁=L/(C+V)
を観測します。
 このように考察すると、真空系と運動系(地球)では、別の光が存在すると考えることができます。
 アインシュタインが行った考察は、エーテル理論的な考え方が根底にあり、地球上に静止した棒が移動したときに、静止系の光に対して
   τ₁-τ₀=L/(C-V)、τ₂-τ₁=L/(C+V)
が得られるという考え方のように思われます。


 伝搬に着目すると音も光と同じような性質を持っています。
 空気中の音の伝搬は、音源の移動状態にかかわらず、常に一定の速度Sを持っています。そして、移動する電車の中の伝搬速度もSになります。
 音の場合は、伝搬速度は、観測可能なほど遅いので、相対速度になることがわかっていますが、光の場合、相対速度の測定が難しく、また、エーテル理論的な考え方が主流であったために、相対速度の測定は、行われなかったのではないでしょうか?
 静止系を棒とともに移動する観測者が、時計の同期できないだけの考察で、マイケルソン・モーリーの実験結果を考慮していない考え方になっていたのです。
 ここで、棒の観測者が観測する時間に着目してみましょう。移動時間=移動距離/移動速度 という原則です。
   τ₁-τ₀=L/(C-V)、τ₂-τ₁=L/(C+V)
 この(C-V)、(C+V)は、棒の観測者が、静止系の光の速度を(C-V)、(C+V)として観測していることを意味します。
 光速度不変原理は、「真空中での光の伝播速度は一定の値(真空の光速度)で、光を放出した物体や観測者の速度に依存しないという原理。」という考え方ですが、移動する観測者が観測する(C-V)、(C+V)は、一定ではなく、速度に依存していることを表しています。
 光速度不変原理は、「真空中での光の伝播速度は一定の値(真空の光速度)で、光を放出した物体の速度に依存せず、移動する系中での光の伝播速度も一定の値である。」と書き換えなければなりません。


 ここで、運動系と静止系を逆にし、移動する棒を固定したときの光の状態(軌跡)を考察してみましょう。

           

                   図-8
 ピンクの線が、棒の観測者が観測する光の軌跡です。

           

                   図-9
 この軌跡に対して棒の観測者は、(C-V)、(C+V)の相対速度を観測していることになります。
 同じことが、電車の観測者も静止系の光に対して、(C-V)、(C+V)の相対速度を観測していることになります。

           

                   図-10
 しかし、電車の中の光の伝搬速度は、Cで一定なのです。
 運動系の観測者が、静止系の光速度をCとして観測していれば、時計の同期ができるはずですが、光の軌跡を観測しているので同期できないのです。
  
 では、アインシュタインが論文の中で、光速度不変原理をどのように使ったかを見てみましょう。


 論文の「3.座標と時間の変換理論」でアインシュタインは、運動系kで起こった出来事の場所と時刻を指定する値ε,η,ζ,τに対して、運動系の原点と✗’を光が往復する状態の座標変換を静止系に光速度不変原理を用いて、静止系Kを指定する値x,y,z,tとを関係づける連立方程式を求めようとしています。

           

                   図-11
 運動系の光の観測で得られる光の軌跡(オレンジ色の線)に光速度不変原理を適用し、光速度をCとしている。
 そして、光の移動時間としてL/(C-V)、L/(C+V)を算出し、
   1/2(τ₀+τ₂)=τ₁     ‥‥‥‥(1)
が成り立たなければならないとし、この式に時間などの引数を入れ、(2)式を出しています。
  1/2[τ(0,0,0,t)+τ(0,0,0,{t+x´/(C-v)+x´/(C+v)})]=
  τ[(x´,0,0,t+x´/(C-v)] ‥‥‥‥(2)
(2)式については、座標点に関しては問題ありませんが、時刻(時間)に関しては、この式では成り立たないのです。時刻だけを取り出してみてみましょう
  1/2[τ(t)+τ{t+x´/(C-v)+x´/(C+v)}]
  ≠τ[(t+x´/(C-v)] 
となり、右辺と左辺は、等しくないのです。
 しかし、アインシュタインは、そのまま(2)式を展開し、ローレンツ因子を求めています。
 すでに、時間の矛盾のあるものを展開し、ローレンツ因子などを作っていたのです。
 この光速度不変原理を静止系に適用する考え方(軌跡の速度をCとする。)は、図-6の軌跡の速度を(C-V)、(C+V)にしたことと矛盾する考え方です。
 静止系に光速度不変原理を適用し算出された時間x´/(C-v)、x´/(C+v)は、エーテル理論で考えられていた時間で、静止系に光速度不変原理を適用するという考え方は、静止系を真空系のエーテルの場にしているのと等しい事柄です。
 ここで、運動系の原点と✗’の距離をLとして前述の電車を使って、時間の考察をしてみましょう。

          

                  図-12
 運動系を固定して静止系を動かして考察を行います。 ピンクの線は、静止系で観測される光の軌跡です。

          

                   図-13
 運動系の光が、棒の端✗’(L)に届いた時、静止系の軌跡の長さは、L+VΔt₁となります。

          

                   図-14
 運動系の光が、原点に戻った時の静止系の軌跡の長さは、L-VΔt₂となります。
 ここで、アインシュタインは、静止系に光速度不変原理を適用し、光そのものではない軌跡の速度をCにしたのです。

          

                   図-15
 そして運動系の光の移動時間を
  CΔt₁=L+VΔt₁、  Δt₁=t₁-t₀=L/(C-V)
  CΔt₂=L+VΔt₂、  Δt₂=t₂-t₁=L/(C+V)
として算出しました。
 これにより、棒の観測者が観測する光の移動時間τ₁-τ₀=τ₂-τ₁=L/Cが、τ₁-τ₀=L/(C-V)、τ₂-τ₁=L/(C+V)に変化したのです。
 座標変換という名目で、棒の観測者が観測する時間を変化させていたのです。
 当然のことながら、静止系と運動系での時間の矛盾が生じます。そして、ローレンツ変換という形にして説明したのが、特殊相対性理論です。
 これでもあなたは、特殊相対性理論を信じますか?
 特殊相対性理論で定義されている時間の遅れや収縮など存在しないのです。


 皆様のご意見・反論をお待ちしています。