特殊相対性理論は棒の理論

[はじめに]
 特殊相対性理論は数々の矛盾の指摘があるにもかかわらず、いまだに多くの物理学者に受け入れられて、いまだに大きな影響力を持っています。
 前ブログで運動する時計の遅れやミンコフスキー時空図の矛盾点を指摘しましたが、根本的に何が違っていたかを明確にしたいと考え、これを書きました。
   アインシュタインもそうですが、系の捉え方に根本的な間違いがあるのです。
 物理学者でない私が、なぜ、このようなことを書くかというと、間違った理論が、世間一般に通用し、社会に影響があることが、許せないからです。
 物理学には素人なので、おかしいところがあったら、どんどん反論してください。
 お待ちしています。


1.系の捉え方と伝搬速度


 今回、間違いを指摘するにあたり、系の捉え方が良く判るように 光と同じような挙動の音を例にして話を進めます。
 巨大なドームの中を気球(音を伝えることができる非常に薄い膜でできた)が速度Vで移動しています。
 音ですから温度が一定で対流がないなら、ドームの中では、音は音源の移動速度にかかわらず、光が真空中を伝搬するように空気中を一定速度で伝搬します。
また、気球の中では、マイケルソンらの実験と同じように気球が移動しているにも関わらず、どの方向の伝搬速度もVaと等しくなります。
しかし、気球内での速度が一定だから気球に対するドーム内の音の伝搬速度が、Vaとはなりません。気球の外側のA点やB点でドームの音の伝搬速度を測定すると(Va+v)や(Va-v)になり、ドーム側から気球の中の音の伝搬速度を測定すると(Va+v)や(Va-v)になります。
            

          

              図-1
 運動系に対する静止系の音の伝搬速度は、静止系を運動系と同じ速度で移動し、静止系の空気(媒体)中で音の伝搬速度を測定しないと判らないのです。
 運動系の媒体が介在すると運動系の媒体の伝搬速度が支配的になり、静止系の相対速度は判らなくなるのです。
 この気球の外側のA点やB点はドーム(静止系)を移動しますが、音を伝搬する媒体がドームの空気ですので、運動系ではありません。静止系を運動する物なのです。
 運動系とは、音を伝搬する媒体が一緒に移動している気球の内部だけなのです。
 気球そのものは静止系を移動する物体で、静止系の運動法則が適用されます。
 ドームを移動する点や棒は、光の媒体がドーム内の空気ですから、ドームを静止系とすると、静止系を移動する物なのです。この点や棒には、静止系の運動法則が適用されるので、運動系ではないのです。
 ほとんどの物理学者の皆さんは、この認識がないまま、議論を行っているのです。


 光について考えてみます。
 アインシュタイン論文選「奇跡の年」の5論文 青木薫訳 (ちくま学芸文庫)に記載されている「運動物体の電気力学」の論文(p253)では、「光は常に真空中を一定の速さC(V)で伝搬し、この速さは光源の運動状態には無関係を基本原理に付け加える。」との記載があります。
 現在では、「運動している観測者から見ても光は同じ速さで伝わる」も付け加えられています。
 上の論文が発表された1905年には、光は真空中を一定速度で伝搬する。および、マイケルソンらの実験から、地球の大気中では、伝搬速度に方向性の違いは見いだせないことが判っています。
 この2つの事柄から、音と同じような考察を行ってみます。
 大気中では、伝搬速度に方向性がなく、Caと一定で、真空中の光の伝搬速度もCと一定なので、運動系の光の静止系に対する相対速度もCで観測されると考えている人がほとんどのように思われます。
 しかし、音と同じようにどのような速度を持った光でも地球の大気に入った時から、大気の媒質速度になり、伝搬速度に方向性がなく、Caと一定になると考えられます。
 そして、図-1のA点やB点のように地球(運動系)の系外の点で静止系の媒質中での光速度は測定されてはいないので、地球に対する静止系の光の相対速度は分からないのが実情です。
 その系内の速度を計測しても他の系の相対速度は、計測していないことを、認識できていないのです。   

           

                 図-2
 また、静止系に対する地球内部の光の伝搬速度も測定されていないのが実情です。
 光りについても系内と系外の速度が違うことを認識する必要があります。
 光の考察をするときも、静止系を運動する点や、棒は運動系ではないことをしっかりと認識して議論されるべきなのです。
 音の伝搬速度から類推すると地球に対する静止系の光の伝搬速度は(C+V)や(C-V)で、静止系に対する地球の内部の光の伝搬速度は、(Ca+V)や(Ca-V)で、媒質が真空の場合は(C+V)や(C-V)と考えるのが妥当と考えられます。
 ここで問題になるのが、運動系では、マックスウェルの波動方程式が不変にならないと考えられていることです。
 これについては、次の章で、考察します。


2.マックスウェルの波動方程式はガリレイ変換でも不変


 物理学者さんが問題としていたマックスウェルの波動方程式のガリレイ変換が不変にならない問題に対して、すでに、KENZOU氏が次のブログでマックスウェルの波動方程式がガリレイ変換で不変であることを証明しています。
 有機合成を専攻した私は、まだ勉強したことがない事柄なので、次のブログを参照してください。
「物理Tips ~波動方程式とガリレイ変換について~ KENZOU 2008年5月19日(http://hb3.seikyou.ne.jp/home/E-Yama/weqga.pdf)」
(KENZOU氏に連絡したかったのですが、連絡先が解らず、無断で使用しています。ご容赦ください。) 
この中の4ページ目の(21)式で
 φ(x´,t´)=f(x´-(C-V)t´)+g(x´+(C+V)t´)
の解を得ています。
 この解から、静止系に対する運動系の光の伝搬速度が、進行方向の光の伝搬速度は(C-v)で進み、逆の光は、(C+v)で進むことが解ります。 これは、1章で述べた運動系に対する静止系の光の速度が(C-v)や(C+v)で移動すると推測した事柄を裏付けることです。
 マックスウェルの波動方程式は、ガリレイ変換でも不変なのです。
 この中で、KENZOU氏は、『電磁波を伝える媒質をエーテルと呼び、このエーテルに対して静止している系だけで、マックスウェルの方程式が成り立つと考えられる。  
 また、音波のアナロジーから、波源と観測者が媒質(エーテル)と一緒に運動する場合以外には、(21)式のように光の伝わる速さは方向によって異なると観測されるはずである。ところが、マイケルソン・モーリーの実験により、「真空中での光の速さは
観測者の運動や光源の運動状態が変わっても、光の進む方向によらず、一定である」という実験結果が得られ、このことから、エーテルという媒質の存在は、否定されることになった。
という見解を記述しています。
 上の運動している観測者(観測者の運動)は、地球の系内に留まっていて、大気中(運動系内)の光速度を計測しているので、図-1のA点やB点のように系外の静止系の媒体中での光速度は計測していないのです。
 マイケルソン・モーリーの実験により、エーテルは固定されていないことは、判りました。(地球が収縮していたら、別ですが、)しかし、そのほかのことは判っていないのです。
 エーテルが地球と共に移動していれば、マックスウェルの波動方程式からわかるようにどんな速度の光も、系内(地球の大気に入った時から、)では、すべての方向の光速度は一定の速度になるのです。系外の光速度とは、別のものなのです。この部分の認識ができていないようです。
 KENZOU氏の言うように、エーテル説を否定することは、できないのです。
 KENZOU氏が導き出した、マックスウェルの波動方程式の解は、エーテル移動説を裏付ける事柄として捉えることができ、静止系に対する運動系の光速度が(C+V)や(C-V)になることが予想されます。
 更に、読み進んで頂ければこの速度に関する事柄は、判ると思います。
 運動系で、マックスウェルの波動方程式が不変でないことが、光速度不変原理(特殊相対性理論)を物理学者が支持していた大きな要因ですが、それがこのことによりなくなりました。


3.論文「運動物体の電気力学」における系の錯覚


 アインシュタインの論文「運動物体の電気力学」(1905年)において、系を錯覚して話が進められているので それについて指摘したいと思います。
 この論文では、同時性の否定や、ロレンツ変換の式が導き出されている特殊相対性理論の根幹部分なのです。
 このことについて実例を挙げながら話を進めます。
 まず、同時性の否定に関して記述します。その前に、ここでは、同期した時計が使われているので、時計の同期について説明します。(本文を抜粋)
 空間内のA点とB点に時計が置かれていて、光線が「A時間」の時刻tAにA点を出発してB点に向かい、「B時間」の時刻tBにB点で反射されてふたたびA点に向かい、
「A時間」の時刻t´AにAに到着したとしよう。
 この時、もしも
   tB-tA=t´A-tB
が成り立つならば、これら二つの時計は同期していると定義する。

 次に同時性の否定について、見てみましょう。本のp259~260に記載されている内容を抜粋します。
 「さてここで、棒の両端(A点とB点)に、静止系で同期させた時計を取り付けよう。
 それら二つの時計が示す時刻は、その時たまたま位置した点での『静止系の時刻』に常に一致する。そうなるように、これらの時計を『静止系で同期させた』のである。
 さらに、どちらの時計にも、それといっしょに運動する観測者が一人ついていると想像しよう。その二人の観測者が第一節で定めた方法で、二つの時計を同期させるものとする。光線が、時刻tAにA点を出発し、時刻tBにB点で反射され、時刻t´AにA点に戻る。このとき、光速度一定原理を考慮すると、
   tB-tA=
(rAB)/(C-v)本の中ではCがVと記載されています。
および t´A-tB=
(rAB)/(C+v)
となる。ここでrABは、運動している棒を静止系で測った時の長さを表す。こうして、棒と一緒に運動している観測者は、二つの時計は同期していないという結果を得るのに対し、静止系にいる観測者は、二つの時計はあっていると主張することになる。
 このことから同時性というものに絶対的な意味は与えられないことがわかる。二つの出来事が、ある座標系では、同時刻に起こったように見えても、その座標系に対して運動している別の座標系では、もはや同時刻の出来事とは考えられないのである。


 このように、棒と一緒に運動している観測者は、静止系の光を観測しているのです。棒の運動と運動系を区別できないで議論されているのです。前にも言いましたが、棒には、静止系の運動法則が適用されるのです。運動系ではないのです。
 運動系とは、光の媒質が移動している系内だけなのです。運動系内の光の観測は行われていないのです。
 この系の認識ができていないことは、つぎの本においても確認することができます。『特殊および一般相対性理論について』(アルバート・アインシュタイン著、金子 務 訳、白揚社)のp40~42において、列車と軌道堤と雷を使用して、同時性の否定をしていますが、静止系を移動する雷の光を使用して、考察しているのです。列車は、運動する棒と同じなのです。
 このように、アインシュタインは、静止系を運動する物を、運動系として捉えているのです。運動系と運動する物の区別がついていないのです。
 この同時性を否定する時間の式から、非常に重要な事柄を見出しました。棒(静止系を移動する観測者)は、光の伝搬速度を(C+v)や(C-v)として観測していることです。
 このことは、1章で述べたように運動系に対する静止系の光の伝搬速度が(C+v)や(C-v)になることを意味しています。
 静止系を運動系とし、運動系を静止系にすると同じことが言えるので、静止系に対する運動系の光の伝搬速度も(C+v)や(C-v)として捉えられることになります。
 また、光速度不変原理の「運動している観測者から見ても光は同じ速さで伝わる」という項目は、この事柄から、否定されなければなりません。
 棒ではなく、系を動かして時計の同期について考察してみます。
 図-3に示すように、箱(内部が運動系)の一辺ABがX軸上を速度Vで移動しているとします。このとき、箱の内部のAより光をBに向けて光を照射し、Bで反射されて、Aに戻るとします。このとき、棒の両端の箱の内部にいる観測者は、
     tB-tA=(rAB)/C 
および  t´A-tB=(rAB)/C
を観測し、時計は同期しているのを確認します。
 アインシュタインが言うように棒では、同時性の否定は、できないのです。     

           

                 図-3
 また、図-3のA,B(棒)は、図-1のA,B点に相当しますので、アインシュタインが出した
    tB-tA=(rAB)/(C-v)
および t´A-tB=(rAB)/(C+v)
から、運動系に対する静止系の光の相対速度は(C+V)や(C-V)になることが判ります。
 図-3があるので、少し寄り道します。
 今、箱の内部のA,B点の中間点Mより、A,B点に光を同時に照射したとします。この時、観測者SがB点より速度VでA方向に移動したとします。箱の内部にいる観測者Sは、光の伝搬速度をどのように見るかを考えましょう。
 箱を静止系とすると、観測者は、速度VでA方向に移動していることになります。
 私は、A方向の速度は(C-V)でB方向の光は、(C+V)とSが観測し、A,B点に同時に光が到達するのを確認すると考えます。
 では、静止系からこの動きを観測したら、どうなるのでしょうか?
 Sは静止系から見ると静止した点です。このSに対する速度が(C-V)や(C+V)なのです。また、SをABのラインに張り付け、図-1のA,B点の逆で、運動系の光の伝搬速度を測定したと考えるのです。
 静止系から見た運動系の光の伝搬速度は、A方向の速度は(C-V)でB方向の速度は、(C+V)と観測し、AB点に同時に光が届くと考えますが、皆さんはどうお考えですか?


 つぎに、アインシュタインの論文「運動する物体の電気力学」の最も重要な特殊相対性理論のベースとなる部分での間違いを指摘します。(p262~263)
 運動系kで起こった出来事の場所と時刻を指定する値ε,η,ζ,τに対して、静止系Kを指定する値x,y,z,tとを関係づける連立方程式を求めています。
 本文を抜粋します。
 x´=x-vtとおくと、kで静止している点の座標は、明らかに、時間に依存しない一定の値の組、x´,y,z,tをもつ。まずτを、x´,y,z,tの関数として求めよう。そのためには、τはじっさいには、k系に静止している時計 ― 第1節で述べた規則によって同期させた時計 ― から得られる情報の総体であるということを、方程式の形で表さなければならない。
時刻τ₀にk系の原点からX軸に沿って放出された光線がx´に向かい、時刻τ₁に
x´で反射されて原点に向かい、時刻τ₂に原点に戻ったとしよう。
このとき、
1/2(τ₀+τ₂)=τ₁  ‥‥‥‥‥(1)
がなりたたなければならない。関数τの引数を入れ、静止系で光速度一定原理を用いると、
 1/2[τ(0,0,0,t)+τ(0,0,0,{t+x´/(c-v)x´/(c+v)})]=τ[(x´,0,0,t+x´/(c-v)] ‥‥‥‥(2)
となる。


 この事柄は、図-3のBをx´に置き換えた状態と同じ事柄です。
 ここで、(1)式の1/2(τ₀+τ₂)=τ₁は、τ₁=τ₂でなければ、成り立ちません。
 しかし、τ₁=(tB-tA)でτ₂=(t´A-tB)ですから、アインシュタインは、同時性の否定の時に、
     tB-tA=(rAB)/(C-v)、
     t´A-tB=(rAB)/(C+v)
にしているので、アインシュタインの考え方では、この(1)式は成り立たないはずなのに、成り立つとしています。
 一方では同時でないと言っておきながら、同じ事柄を行っているのにもう一方では、
同時でなければならないと言っているのです。
 静止系で光速度一定原理とありますが、これは、静止系に対する運動系の光の伝搬速度は静止系で一定だということを言っているように考えられます。
 前にも記述しましたが、静止系に対する運動系の光の伝搬速度は、運動系中で直接測らないと判らないのです。思考実験では、判りましたが、現在でもこの速度は測定されていないのです。
 静止系中で光の伝搬速度が不変だからと言って、静止系に対する運動系の光の伝搬速度を静止系中の光の伝搬速度にすることは、できないのです。
(2)式を見てみましょう。(2)式のx´=(rAB)ですから、この式は静止系を運動する棒を静止系の光で考察したときの値が入っているのです。この棒の動きを運動系として扱っているのです。このすべての考察が狂った状態で下式が導き出されています。


  Ζ=φ(V)β(x-vt)
  β=1/√{1-(v/c)²}
 そうです ロレンツ変換です。
 ロレンツ変換は、静止系を移動する棒を運動系として導き出された式なのです。棒の理論なのです。


4.アインシュタインのミンコフスキー時空図


 アインシュタインの時空図を確認する前に、ミンコフスキー時空図を確認してみます。
 ミンコフスキー時空図は、XY平面上の点の動きと原点から全方向に出した光と時間の関係をXY軸に垂直に時間軸を立て、表した図です。  

         

                 図-4
 この時、点の動きが放物線状になっていても 時間軸は、XY平面に対して、垂直になっていて、点のどんな動きに対しても変わらない表し方をしています。
 ミンコフスキー時空図は 本来、原点を移動する点の静止系の時空図です。点の動きですから運動系に適用できる時空図ではありません。
 光と点はミンコフスキー図の原点から同時に出ますので、静止系を運動する点に対する光速度は、(C+V)や(C-V)になります。
 ここでも、光速度不変原理の「運動している観測者から見ても光は同じ速さで伝わる」は、否定されています。点は運動系ではないのですよ!
 (面白いことを思いついたので、ちょっと寄り道します。XY平面上の原点からX軸に沿って、図-3の気球のA点を速度Vで移動させ、光りも同時に照射します。
 A点の外側は静止系で、内側は運動系です。A点に対する光速度が(C+V)や(C-V)ですから、運動系に対する静止系の光の相対速度が、(C+V)や(C-V)になります。運動系と静止系を逆にして考えると静止系に対する運動系の光の相対速度も、(C+V)や(C-V)になります。)


 それまで、x´軸が傾いた時空図は存在しませんでしたが、光の世界線だけを利用して、アインシュタインは新たな時空図を作っています。
 これから、アインシュタイン時空図の矛盾点を考察します。
 アインシュタインと同じような方法で、直線状の道路に並んだ等間隔に設置したA・B・Cの3点の点の移動状態の時空図を作ります。
 最初にA・B・Cの3点と道路から前面に光を同時に照射し、点が動いていない時の時空図を作成します。3個のミンコフスキー時空図を重ね合わせたと考えてください。
図-5(赤のラインは光の世界線です。)
       

         

                図-5
 アインシュタインはB点からしか光を照射していませんが、間違いを明確にするために、3点から光を照射してあります。道路上(静止系)から出した光ですから 同時に出ています。 
 この図で、時刻t₁でA₁・B₁・C₁点にはすべての光が同時に届きます。
 次に、A・B・Cの点を速度Vで図の右方向に移動させ、同時に光を照射します。
 この時の時空図を図-6に示します。
   

         

                 図-6
 時空図上で赤の線が光の世界線で、実線がアインシュタインの使用した線です。
 茶色の線が各点の世界線(移動経路)で B点の世界線を見るとCを出た光が最初に到達し、B₁点ができ、次にA点の光が到達しB₁点ができています。
 アインシュタインは、B点の光(赤の実践の部分)しか使用していません。
 この点の動きを運動系として考えると点と一緒に移動する観測者は、A₁点とC₁点に同時に光が届くと考え、A₁点とC₁点を線で結び運動系で同時刻だとしています。
 しかし、3章のアインシュタインの同時性の否定の考察からするとA₁点とC₁点に同時に光が届くはずがないのです。ここでも同時性の時とは矛盾した考え方をしています。
 このように静止系の点の動きをそのまま運動系にして、ミンコフスキー時空図は作られているのです。 
 アインシュタインは光りをB点からしか照射していないから判りませんでしたが、3点のミンコフスキー図を別々に作ることにより、アインシュタインと同じ考え方をするとB₁点2個も運動系の観測者は同時と認識するのです。 しかし、アインシュタインが同時刻と考えた直線状にB₁2点はないのです。
 これは、静止系の光速度を運動系の光速度として使用したために矛盾が生じているのです。この時空図は静止系を移動する点の時空図なのです。それを運動系にし、強引にX´軸を傾けているのです。
 次に、アインシュタインの時空図を使って この矛盾を示します。
 速度vで移動する電車の中央B´から電車の前後に光を同時に照射します。
 この時、電車に対応した位置BからA,Cに光を照射し、双方向から光の状態を観察します。      

       

              図-7
 この状態のアインシュタイン時空図を示します。(図-8)
    

    

                図-8
 この図を重ね合わせた状態を図-9に示します。
     

       

                図-9
 同時刻線が重なる点(B,B´)は同時刻になっていて、時刻の遅れもありません。
 電車の進行方向を逆にすると図-8の運動系を静止系にし、静止系を運動系にしただけでまるっきり同じ状態図が得られます。(XがX´になり、X´がXになりますが、)
 この運動系から見た二つの時空図を重ねると、図-9そのものになります。(XがX´になり、X´がXになりますが、)
 A点とB点に着目すると同じ速度で移動しているにもかかわらず、方向が違うだけで、時間のずれが生じているのです。同じ速度で移動しているのに、なぜ、方向が違うと同じ点の時間が違うのでしょうか!
 これは、アインシュタインが地上の光速度を運動系の光速度とし、地上の点の動きの時空図を利用し、X軸やX´軸を傾けたために、A,A´及びB,B´双方に時刻のずれが生じているのです。
 またB点に着目すると、運動する物体の時刻の遅れなどは、見いだせないのです。


5.運動する物体の時刻の遅れ


 運動する物体の時刻の遅れは、光時計を使用して、説明されています。
 静止系で全て同期してあり、同じ時刻を表示するように設定されている光時計を3個使用して、矛盾点を指摘します。     

         

               図-10
 図のように長さLの光時計3個を速度Vで移動している電車に設置します。AM、
CMの光時計は角度を変えることができるように設置されています。
 まず、AMCが直線の時の時間の遅れを考察します。光時計の光はすべて、Mから光が照射されるとします。
 Mから出た光が、A,B,C各点に届いた時間を計測し、Mに戻った時の時間を計測します。これを表-1にまとめます。
                  表-1  

 

 光時計AMの往路の時間と光時計CMの復路の時間は、時間の進みを観測します。AMとCMの合計時間は一緒ですが、BMの合計時間とは、一致しません。
 運動系の光が距離Lを進む時間がこのように光時計ではバラバラで観測されるのです。
 AMとCMの光時計の角度を変えると、角度によって、全く違う値が観測されます。
 この光時計を静止系にも設置し、静止系と運動系から同時に観測すると合計時間はまるっきり同じ値になります。同時に同じ遅れを観測するのです?両方の時間は同じなのです。測定方法に問題があるのです。
 なぜ、このような現象が起きたのでしょうか?

          

               図-11
 それは、静止系に対する運動系の光の相対速度を考慮していないことと、図-11に示すように速度により合成された光の軌跡√(C²+V²)をCとしているから起きている矛盾なのです。
 光時計は、運動系の時間の測定には、使用できないのです。


 ここまで本文を読んで頂いた方は、アインシュタインの特殊相対性理論の根幹部分は、系の誤認による、棒の理論であることをお解りいただけたと思います。
ロレンツ変換、運動する物体の時間の遅れ、物体の収縮、アインシュタイン時空図は間違った認識から導き出されたものなのです。
 光速度不変原理は、誤解のないように、書き換えられるべきだと考えます。
 また、マックスウェルの波動方程式が不変でないこと、アインシュタインの同時性の否定で使われた棒に対する光速度、ミンコフスキー時空図から考察した光速度より、
実際には測定されていませんが、静止系に対する運動系の光の相対速度は、(C+V)や(C-V)になると推測されます。


 早く、物理学者の皆様が、この間違いに気が付いて、正しい理論が展開されることを願っています。