崩壊した特殊相対性理論

                                   特殊相対性理論における系の錯誤と矛盾
                        (特殊相対性理論は棒の理論の追加、訂正版)
[目  次]
1. はじめに
2. 系の捉え方と系の光の伝搬速度
3. 同時性は維持される
4. アインシュタインの文献に見る系の錯誤と矛盾
5. ミンコフスキー時空図での系の錯誤と矛盾
6. 光時計における系の錯誤による矛盾
7. マックスウェルの波動方程式はガリレイ変換でも不変
8. まとめ


1.はじめに
 特殊相対性理論は数々の矛盾の指摘があるにもかかわらず、いまだに多くの物理学者に受け入れられて、いまだに大きな影響力を持っています。
 多くの指摘があるにもかかわらず、根本的な間違いを指摘できない事と、マックスウェルの波動方程式がガリレイ変換でも不変でなかった為に、特殊相対性理論は、そのまま受け入れられているのが現状です。
 このブログでは、アインシュタイン等が犯している根本的な間違い「運動する系と静止系を移動する物体の違い。(系の捉え方)」と「マックスウェルの波動方程式がガリレイ不変であること」について記載したいと思います。


2.系の捉え方と系の光の伝搬速度 
 今回、間違いを指摘するにあたり、系の捉え方が良く判るように 光と同じような挙動の音を例にして話を進めます。
 巨大なドームの中を気球(音を伝えることができる非常に薄い膜でできた)が速度Vで移動しています。
 音ですから温度が一定で対流がないなら、ドームの中では、音は音源の移動速度にかかわらず、光が真空中を伝搬するように空気中を一定速度Vaで伝搬します。
 また、気球の中の観測者がドーム内の音の伝搬速度を測定すると、マイケルソン・モーレの実験と同じように観測者が系と共に移動しているにも関わらず、どの方向の伝搬速度もVaと等しくなります。
 そこで、光と同じように「音の速度は観測者の運動状態に無関係で、常にVaと一定の値になる。」とは、皆さんしないと思います。
 「観測者の運動状態に無関係」ではなく、「系内に静止する観測者に対する音の伝搬速度は、系の運動状態に無関係で、常にVaと一定の値になる。」となります。

                                       

                                                    図-1
 音に関しては系内や系外の音の伝搬状態が判っているから、正確な表現ができますが、光についても正確な表現をする必要があるように思われます。
 気球の外側のA点やB点でドームの音の伝搬速度を測定すると(Va+V)や(Va-V)になり、ドーム側から気球の中の音の伝搬速度を測定できたら、(Va+V)や(Va-V)になります。これらの速度は、その系内では、系の伝搬速度が支配的になり、直接測定することはできないのです。         
 運動系に対する静止系の音の伝搬速度は、静止系を運動系と同じ速度で移動し、静止系の空気(媒体)中で音の伝搬速度を測定しないと判らないのです。
 運動系中では、運動系の媒体の伝搬速度が支配的になり、系中で音の伝搬速度を計測しても、静止系の音の相対速度は判らないのです。
 この気球の外側(A点やB点)はドーム(静止系)を移動しますが、音を伝搬する媒体がドームの空気ですので、運動系ではありません。気球は、静止系の運動法則が適用される運動する物なのです。
 気球そのものは静止系を移動する物体で、静止系の運動法則が適用されます。
 ドームを移動する点や棒は、光の媒体がドーム内の空気ですから、ドームを静止系とすると、静止系を移動する物なのです。この点や棒には、静止系の運動法則が適用されるので、運動系ではないのです。
 運動系とは、音を伝搬する媒体が一緒に移動している気球の内部だけなのなのです。
 アインシュタインを含め、ほとんどの物理学者の皆さんは、この認識がないまま、議論を行っているのです。この認識を持って、特殊相対性理論を読み進むと「なんとばかげた理論展開を行っている!」と感じるはずです。


 光について考えてみます。 
    アインシュタイン論文選「奇跡の年」の5論文 青木薫訳 (ちくま学芸文庫)に記載されている「運動物体の電気力学」の論文(1905年 p253)では、「光は常に真空中を一定の速さC(V)で伝搬し、この速さは光源の運動状態には無関係を基本原理に付け加える。」との記載があります。
 その後、「アインシュタインの相対性理論」{M.Born著(林一訳)東京図書(1968年刊)Gauss単位系 原本のドイツ語初版は1920年刊}のp221では、「実験の教えるところによれば、光速は観測者の運動状態によらず、つねに同じ値Cをとる。」も付け加えられています。
   最初の論文が発表された1905年には、光は真空中を一定速度で伝搬する。および、マイケルソン、モーレーの実験等から、地球の大気中では、伝搬速度に方向性の違いを見いだせないことが判っています。

                                   

                                 図-2
 光の議論を行うときに、マックスウェルの波動方程式のガリレイ変換に関して、避けて通れない事柄ですが、それは、7章で行うので、ここでは実験事実に基づいて、大気中と真空中の伝搬速度が一定という2つの事柄から、音と同じような考察を行います。
   地球系内にいると、音と同じようにどのような速度を持った光でも地球の大気に入った時から、大気の媒質速度になり、伝搬速度に方向性がなく、Caと一定になります。
    M.Bornは、「光速は観測者の運動状態によらず、」と言っていますが、正しくは、移動する系内にいる観測者なのです。
   地球を空気が入った大きな気球と考えると、図-1のA点やB点のように地球(運動系)の系外の点で静止系の媒質中での光速度は測定されてはいないので、地球に対する静止系の光の相対速度は判らないのが実情です。
   その系内の速度を計測しても他の系の相対速度は、計測できていないことを、認識していないのです。          
   また、静止系に対する地球内部の光の伝搬速度も測定されていないのが実情です。
   光りについても系内と系外の速度が違う可能性があることを認識する必要があります。
   光の考察をするときも、静止系を運動する点や棒は運動系ではないことをしっかりと認識して議論されるべきなのです。
   音の伝搬速度から類推すると地球に対する静止系の光の伝搬速度は(C+V)や(C-V)で、静止系に対する地球の内部の光の伝搬速度は、(Ca+V)や(Ca-V)で、媒質が真空の場合は(C+V)や(C-V)と考えることができます。
   文章を読み進むに従い、この事柄が判ると思います。


3. 同時性は維持される
 「アインシュタインの相対性理論」(M.Born著)p201~205において、引き船とはしけを使って、絶対的同時性の否定を行っています。
 ここでは、音も使用して説明が行われているので、系の扱いを間違がっていることが判りやすいので、説明を行います。正確を期すため本文を抜粋します。
 

                           

                  図-3
 『船が静止しているときは、次の方法で船A,B上の時計を同期化することができる。A,Bの真ん中に船Cを置き、Cから信号音を発する。この音は、A,Bに同時に聞こえるはずである。
 さて、この船列Sが動いているとしても、明らかに同じ方法を応用することができる。
船が空気に対して、相対的に動いていることに乗務員が気づかなければ、かれらは、A,Bの時計は同じ速さで進んでいると信じるであろう。
(音で時刻合わせを常にしている)
 はしけA´,B´,C´からなる第2の船列S´がある。その隣りあう船の間隔は第1の船列Sのそれに等しいものとして、船上の時計を同じしかたでくらべてみる。
 さて、船列S´が船列Sを追いこす場合を考えよう。Sは静止しているとしても、また運動しているとしてもよい。ある瞬間にAはA´とならび、BはB´とならぶであろう。乗組員たちは、時計が一致しているかどうかを見ることができる。もちろん、かれらは一致していないことに気づくであろう。AとA´が偶然一致していたとしても、BとB´は一致しないであろう。
 これで上の方法の誤りが明らかになる。船が動いているときには、中央のCから発せられた信号は、船が静止している場合にくらべて、先行する船Aにいくのには余分に時間がかかり、後続の船Bへいくのにはより短い時間ですむ。なぜなら、Aは音波から遠ざかろうとしており、Bは近づきつつあるからである。時間の差は2つの船の速さによって変わる。(中略)
    上の方法は音を用いて時計を調節するものであったが、もちろん音の代わりに光を用いることも可能である。A,Bの時計は中点Cから送られてきた光信号が、つくたびに、ある一定の位置を指すように調整される。このやり方で、どんな系においても、それに属する時計を同期化することができる。だが、このような2つの系が出会う場合には、たとえばAとA´の時計は一致し、BとBダッシュの時計は針の位置が異なるといったことが起こる。どちらの系にもおいても物理法則は同一なので、それぞれ自分が静止していると主張することができ、したがって、同等の権利で自分の時間が正しいと主張できるのである。(中略)絶対同時性というものはない
 このような理論でBornは絶対同時性の否定を行っています。2章をお読みいただいた方は、すぐに判ったと思いますが、観測している音の媒体は、静止系の媒体であり、船には、静止系の運動法則が適用されるのです。どこにも運動系の媒体内のことが出てこないのです。 Bornは、静止系を移動する船を使い、静止系の媒体を伝搬する音や光を使い、運動系としているのです。


 では、この船の音源と時計を運動系にしてみましょう。

                      

                              図-4 
 時計と音源を丈夫な箱で連結し、密封します。この箱は船と共に移動し、中の空気も一緒に移動するので、(電車の中と同じ状態です。)船が等速度で運動する限りどんな速度で移動しようと、箱の中は運動系の運動法則が適用され、Cから出た音は、同時にAとBに届きます。密封された箱の中が運動系なのです。船自体と箱の中にいない観測者は、静止系を運動する物です。
 船列Sと船列S´がすれ違い、時刻合わせをするとA,A´,B,B´すべての時刻が一致します。
 Bornが言うところの絶対同時性はあることになります
 音を光に変えて、考察をします。
 Bornの考察で一つ重要な事柄が判りました。静止系を移動するAとBの時計には、音と同じように、光が(C+V)や(C-V)の速度で届いていることになります。Bornは考えついていなかったと思いますが、これは、船にいる静止系を移動する観測者は、光の速度を(C+V)や(C-V)として観測している事と同じです。
   また、船にいる観測者が箱の中の光速度を観測すると速度Cを観測するので、静止系に対する運動系の光の伝搬速度は、(C+V)や(C-V)になることが判ります。
    Bornが「同時性の概念」の最初に言った「実験の教えるところによれば、光速は観測者の運動状態によらず、つねに同じ値Cをとる。」は、自らの考察で、違う速度にしてしまっているのです。
   このように、Bornは静止系を運動する物と静止系の媒体を使い、運動系にして議論をしているのです。この間違いは、アインシュタインも犯しています。次にこの間違いを指摘します。


   アインシュタインの論文「運動物体の電気力学」(1905年)は、同時性の否定や、ローレンツ変換の式が導き出されている特殊相対性理論の根幹部分です。ここでも同じような間違いを犯しているので、実例を挙げながら話を進めます。
 まず、同時性の否定に関して記述します。ここでは、Bornとは違う方法で同期した時計が使われているので、時計の同期について説明します。(本文を抜粋)
 『空間内のA点とB点に時計が置かれていて、光線が「A時間」の時刻tAにA点を出発してB点に向かい、「B時間」の時刻tBにB点で反射されてふたたびA点に向かい、
「A時間」の時刻t´AにAに到着したとしよう。
 この時、もしも
   tB-tA=t´A-tB
が成り立つならば、これら二つの時計は同期していると定義する。』
 
次に同時性の否定について、見てみましょう。本のp259~260に記載されている内容を抜粋します。
 『さてここで、棒の両端(A点とB点)に、静止系で同期させた時計を取り付けよう。
 それら二つの時計が示す時刻は、その時たまたま位置した点での『静止系の時刻』に常に一致する。そうなるように、これらの時計を『静止系で同期させた』のである。
 さらに、どちらの時計にも、それといっしょに運動する観測者が一人ついていると想像しよう。その二人の観測者が第一節で定めた方法で、二つの時計を同期させるものとする。光線が、時刻tAにA点を出発し、時刻tBにB点で反射され、時刻t´AにA点に戻る。このとき、光速度一定原理を考慮すると、
   tB-tA=(rAB)/(C-v)本の中ではCがVと記載されています。)
および t´A-tB=(rAB)/(C+v)
となる。ここでrABは、運動している棒を静止系で測った時の長さを表す。こうして、棒と一緒に運動している観測者は、二つの時計は同期していないという結果を得るのに対し、静止系にいる観測者は、二つの時計はあっていると主張することになる。
 このことから同時性というものに絶対的な意味は与えられないことがわかる。二つの出来事が、ある座標系では、同時刻に起こったように見えても、その座標系に対して運動している別の座標系では、もはや同時刻の出来事とは考えられないのである。


 このように、棒と一緒に運動している観測者は、静止系の光を観測しているのです。棒の運動と運動系を区別できないで議論されているのです。
 前にも言いましたが、棒には、静止系の運動法則が適用されるのです。運動系ではないのです。運動系とは、光の媒質が移動している系内だけなのです。運動系内の光の観測は行われていないのです。
 棒ではなく、系を動かして時計の同期について考察してみます。  

                                

                    図-5


 図-5に示すように、箱(内部が運動系)の一辺ABがX軸上を速度Vで移動しているとします。このとき、箱の内部のAより光をBに向けて照射し、Bで反射されて、Aに戻るとします。このとき、箱の内部には、マックスウェルの波動方程式が適用されますので、棒の両端の箱の内部にいる観測者は、
     tB-tA  =(rAB)/C 
および  t´A-tB=(rAB)/C
を観測し、時計は同期しているのを確認します。
 静止系で同時の事象は、運動系でも同時に起こるのです。
 この同時性を否定する時間の式から、非常に重要な事柄を見出しました。Bornと同じように、棒と共に移動する観測者(静止系を移動する観測者)は、光の伝搬速度を(C+v)や(C-v)として観測していることです。
 このことは、2章で述べたように(運動系に対する静止系の音の伝搬速度は、静止系を運動系と同じ速度で移動し、静止系の空気(媒体)中で音の伝搬速度を測定しないと判らないのです。)運動系に対する静止系の光の伝搬速度が(C+v)や(C-v)になることを意味しています。
 静止系を運動系とし、運動系を静止系にすると同じことが言えるので、静止系に対する運動系の光の伝搬速度も(C+v)や(C-v)として捉えられることになります。
 また、「光速度は観測者の運動状態によらず、つねに同じ値Cをとる。」という項目は、この事柄からも、否定されなければなりません。
 この系の認識ができていないことは、つぎの本においても確認することができます。『特殊および一般相対性理論について』(アルバート・アインシュタイン著、金子 務 訳、白揚社)のp40~42において、列車と軌道堤と雷を使用して、同時性の否定をしていますが、静止系を移動する雷の光を使用して、考察しているのです。列車は、運動する棒と同じなのです。運動する系内(電車の中の光)は、観測されていないのです。
 このように、アインシュタインは、静止系を運動する物を、運動系として捉えているのです。アインシュタインを含め多くの物理学者の皆さんは、運動する系と運動する物の区別がついていないのです。


4.アインシュタインの文献に見る系の錯誤と矛盾        
 つぎに、アインシュタインの論文「運動する物体の電気力学」の最も重要な特殊相対性理論のベースとなる部分での間違いを指摘します。(p262~263)
 運動系kで起こった出来事の場所と時刻を指定する値ε,η,ζ,τに対して、静止系Kを指定する値x,y,z,tとを関係づける連立方程式を求めています。
 本文を抜粋します。
 『x´=x-vtとおくと、kで静止している点の座標は、明らかに、時間に依存しない一定の値の組、x´,y,z,tをもつ。まずτを、x´,y,z,tの関数として求めよう。そのためには、τはじっさいには、k系に静止している時計 ― 第1節で述べた規則によって同期させた時計 ― から得られる情報の総体であるということを、方程式の形で表さなければならない。
時刻τ₀にk系の原点からX軸に沿って放出された光線がx´に向かい、時刻τ₁に
x´で反射されて原点に向かい、時刻τ₂に原点に戻ったとしよう。
このとき、
1/2(τ₀+τ₂)=τ₁  ‥‥‥‥‥(1)
がなりたたなければならない。関数τの引数を入れ、静止系で光速度一定原理を用いると、
 1/2[τ(0,0,0,t)+τ(0,0,0,{t+
x´/(C-v)x´/(C+v)})]=τ[(x´,0,0,t+x´/(C-v)] ‥‥‥‥(2)
となる。


 この事柄は、図-3のBをx´に置き換えた状態と同じです。
 ここで、(1)式の1/2(τ₀+τ₂)=τ₁は、τ₁=τ₂でなければ、成り立ちません。しかし、τ₁=(tB-tA)でτ₂=(t´A-tB)ですから、アインシュタインは同時性の否定の時に、
      tB-tA=(rAB)/(C-v)
      t´A-tB=(rAB)/(C+v

としているので、アインシュタインの考え方では、この(1)式は成り立たないはずなのに、成り立つとしています。
 一方では同時でないと言っておきながら、同じ事柄を行っているのにもう一方では、
同時でなければならないと言っているのです。
 静止系で光速度一定原理とありますが、これは、静止系に対する運動系の光の伝搬速度は静止系で一定だということを言っているように考えられます。
 前にも記述しましたが、静止系に対する運動系の光の伝搬速度は、運動系中で直接測定しないと判らないのです。思考実験では、推測できましたが、現在でも、この速度は実測されていないのです。
 静止系中で光の伝搬速度が不変だからと言って、静止系に対する運動系の光の伝搬速度を静止系中の光の伝搬速度にすることは、できないのです。
(2)式を見てみましょう。(2)式のx´=(rAB)ですから、同時性の否定の時に使われた数値がそのまま入っています。この式は静止系を運動する棒を静止系の光で考察したときの値が入っているのです。この棒の動きを運動系として扱っているのです。このすべての考察が狂った状態で下式が導き出されています。


  Ζ=φ(V)β(x-vt)
  β=1/√{1-(v/C)²}
 そうです ロレンツ変換です。
 ロレンツ変換は、静止系を移動する棒を運動系として導き出された式なのです。棒の理論なのです。


5.ミンコフスキー時空図での系の錯誤と矛盾


アインシュタインの時空図を確認する前に、ミンコフスキー時空図を確認してみます。
 ミンコフスキー時空図は、XY平面上の点の動きと原点から全方向に出した光と時間の関係をXY軸に垂直に時間軸を立て、表した図です。
   

          

                 図-6
 この時、点の動きが放物線状になっていても 時間軸は、XY平面に対して、垂直になっていて、点のどんな動きに対しても変わらない表し方をしています。
 ミンコフスキー時空図は 本来、原点を移動する点の静止系の時空図です。点の動きですから運動系に適用できる時空図ではありません。
 XY平面上の点と光の関係を立体化しないで各時間での状態で見てみます。    

     

                図-7
 立体的に見ないで、各時間の状態を確認すると、点は常にXY面に存在し、光は点から同心円にないことが判ります。
 この各時間の状態を連続的に重ね合わせると、ミンコフスキー時空図になります。
 光と点はミンコフスキー図の原点から同時に出ますので、静止系を運動する点に対する光速度は、(C+V)や(C-V)になっています
 ここでも、光速度不変原理の「運動している観測者から見ても光は同じ速さで伝わる」は、否定されています。点は運動系ではないのです!
 (XY平面上の原点からX軸に沿って、図-5の気球のA点を速度Vで移動させ、光りも同時に照射します。A点の外側は静止系で、内側は運動系です。A点に対する光速度が(C+V)や(C-V)ですから、運動系に対する静止系の光の相対速度が、(C+V)や(C-V)になります。運動系と静止系を逆にして考えると静止系に対する運動系の光の相対速度も、(C+V)や(C-V)になります。ミンコフスキー図から考察しても同じようになります。)


 次に、「アインシュタインの相対性理論」(M.Born著)のp206~207に書かれている時空図の説明部分を考察します。
 それまで、x´軸が傾いた時空図は存在しませんでしたが、光の世界線だけを利用して、新たな時空図を作っています。
 本と同じような方法で、直線状の道路に並んだ等間隔に設置したA・B・Cの3点の点の移動状態の時空図を作ります。
 最初にA・B・Cの3点と道路から前面に光を同時に照射し、点が動いていない時の時空図を作成します。3個のミンコフスキー時空図を重ね合わせたと考えてください。
         

             

                図-8
 本では、B点からしか光を照射していませんが、(この状態は同時性を否定したときに用いた船で行ったことと同じことがらです。船を点と考えると判ります。)間違いを明確にするために、3点から光を照射してあります。道路上(静止系)から出した光ですから 同時に出ています。 
 この図で、時刻t₁でA₁・B₁・C₁点にはすべての光が同時に届きます。(時計の同期と同じことを言っています。)
 次に、A・B・Cの点を速度Vで図の右方向に移動させ、同時に光を照射します。
 この時の時空図を図-9に示します。       

          

                 図-9
 時空図上で赤の線が光の世界線で、実線が本で使用している線です。
 茶色の線が各点の世界線(移動経路)で B点の世界線を見るとCを出た光が最初に到達し、B₁点ができ、次にA点の光が到達しB₁点ができています。
 本では、B点の光(赤の実践の部分)しか使用していません。
 この点の動きを運動系として考えると点と一緒に移動する観測者は、A₁点とC₁点に同時に光が届くと考え、A₁点とC₁点を線で結び運動系で同時刻だとしています。
 静止系の点の動きと静止系の光を使用しています。
 本では光りをB点からしか照射していないから判りませんでしたが、3点のミンコフスキー時空図を別々に作ることにより、Bornと同じ考え方をするとB₁点2個も運動系の観測者は同時刻と認識するのです。 しかし、Bornが同時刻と考えた直線状にB₁2点はないのです。
 そして、この点は、3章の同時性の否定で使用した船そのものなので、観測者が船と一緒に移動しても、静止系を移動しているだけなのです。運動系は密閉した箱の中だけなのです。箱の中の光は、静止系の光と違う挙動をし、静止系に対する運動系の光の速度は、Cではないのです。しかし、Bornは静止系の光をそのまま用いて、光の世界線にしています。
 この時空図は静止系を移動する点の時空図なのです。それを運動系にし、A₁,B₁点が同時だとしてにX´軸を傾けているのです。
 船の考察において、Bornの間違いを指摘し、系が違っても同時性は、維持されることを指摘しましたが、同時性が維持されれば、時空図で同時刻線はX軸に平行になるのです。決して、傾いたりしないのです。
 次に、アインシュタインの時空図を使って、時空図の矛盾を示します。

        

               図-10
 速度Vで移動する電車の点A,Cの中点BからA,Cに光を照射し、その光の状態を地上のMとNの両側から観察し、時空図を作ります。 

        

                  図-11
 この図を重ね合わせた状態を図-12に示します。 

                                        図-12

 A点とB点に着目すると見る方向が違うだけで、時間のずれが生じているのです。同じ電車を地上から観察しているのに、どうして時間のずれが生じるのでしょうか。光が介在しなくてもこのような時間のずれが起こるのでしょうか。
 これは、何度も書きましたが、アインシュタインが地上の光速度を運動系の光速度とし、地上の点の動きの時空図を利用し、運動系の事象とし、X軸やX´軸を傾けたために、A,A´及びB,B´双方に時刻のずれが生じているのです。系同士で同時性が維持さているので、X軸が傾くことなど起こらないのです。
 では、A,B,C点を運動系内に入れ、(電車の中に点があると考えてください。)地上に対する運動系の光の相対速度を光の世界線として時空図を作成してみます。
       


           

                   図-13
 この図において運動系の世界線は、(C+V)と(C+V)にしてあります。この図のように、同時線は、X軸に平行になり、また、時刻の遅れもありません。
 これが、真の運動系の点の移動状態の時空図です。


6.光時計における系の錯誤と矛盾
 運動する物体の時刻の遅れは、光時計を使用して、説明されています。
 静止系で全て同期してあり、同じ時刻を表示するように設定されている光時計を3個使用し、アインシュタインの光の考察方法を使用して、矛盾点を指摘します。 

             

                    図-13
 図のように長さLの光時計3個を速度Vで移動している電車に設置します。AM、
CMの光時計は角度を変えることができるように設置されています。
 まず、AMCが直線の時の時間の遅れを考察します。光時計の光はすべて、Mから光が照射されるとします。
 Mから出た光が、A,B,C各点に届いた時間を計測し、Mに戻った時の時間を計測します。これを表-1にまとめます。
                   表-1 

 

 光時計AMの往路の時間と光時計CMの復路の時間は、時間の進みを観測します。AMとBMの合計時間は一緒ですが、BMの合計時間とは、一致しません。
 運動系の光が距離Lを進む時間がこのように光時計ではバラバラで観測されるのです。
 AMとCMの光時計の角度を変えると、角度によって、全く違う値が観測されます。
 この光時計を静止系にも設置し、静止系と運動系から同時に観測すると合計時間はまるっきり同じ値になります。同時に同じ遅れを観測するのです?両方の時間は同じなのです。光の考察方法に問題があるのです。
 光時計では、運動系の時間を測定できないのです。
 なぜ、このような現象が起きたのでしょうか?
 それは、静止系に対する運動系の光の相対速度を考慮していないことと、図-14に示すように速度により合成された光の軌跡√(C²+V²)をCとしているから起きている矛盾なのです。             

             

                 図-14
 光時計は、運動系の光の相対速度等を考慮しない限り、時間の測定には使用できないのです。


7.マックスウェルの波動方程式はガリレイ変換でも不変
 今までの考察で、静止系に対する運動系の光の伝搬速度が、(C+V)や(C-V)になるとしてきましたが、ここで問題になるのが、マックスウェルの波動方程式がガリレイ変換で不変にならないことです。
 しかし、KENZOU氏が次のブログでマックスウェルの波動方程式がガリレイ変換で不変であることを証明しています。
 有機合成を専攻した私は、まだ勉強したことがない事柄なので、次のブログを参照してください。
「物理Tips ~波動方程式とガリレイ変換について~ KENZOU 2008年5月19日(http://hB3.seikyou.ne.jp/home/E-YAmA/weqgA.pdf)」
(KENZOU氏に連絡したかったのですが、連絡先が解らず、無断で使用しています。ご容赦ください。) 
 この中の4ページ目の(21)式で
 φ(x´,t´)=f(x´-(C-V)t´)+g(x´+(C+V)t´)
の解を得ています。
 この解から、静止系に対する運動系の光の伝搬速度が、進行方向の光の伝搬速度は(C-v)で進み、逆の光は、(C+v)で進むことが解ります。これは、静止系に対する運動系の光の速度が(C-v)や(C+v)で移動すると推測した事柄を裏付けることです。
 マックスウェルの波動方程式は、ガリレイ変換でも不変なのです。
 この中で、KENZOU氏は、『電磁波を伝える媒質をエーテルと呼び、このエーテルに対して静止している系だけで、マックスウェルの方程式が成り立つと考えられる。  
また、音波のアナロジーから、波源と観測者が媒質(エーテル)と一緒に運動する場合以外には、(21)式のように光の伝わる速さは方向によって異なると観測されるはずである。ところが、マイケルソン・モーリーの実験により、「真空中での光の速さは
観測者の運動や光源の運動状態が変わっても、光の進む方向によらず、一定である」という実験結果が得られ、このことから、エーテルという媒質の存在は、否定されることになった。
という見解を記述しています。
 上の運動している観測者(観測者の運動)は、地球の系内に留まっていて、大気中(運動系内)の光速度を測定しているので、図-1のA点やB点のように系外の静止系の媒体中での光速度は測定していないのです。また、系内では直接測定することができないのです。
 マイケルソン・モーリーの実験により、エーテルは固定されていないことは、判りました。(地球が収縮していたら、別ですが、)しかし、そのほかのことは判っていないのです。
 エーテルが地球と共に移動していれば、マックスウェルの波動方程式からわかるようにどんな速度の光も、系内(地球の大気に入った時から、)では、すべての方向の光速度は一定の速度になるのです。系外の光速度とは、別のものなのです。この部分の認識ができていないようです。
 KENZOU氏の言うように、エーテル説を否定することは、できないのです。
 KENZOU氏が導き出した、マックスウェルの波動方程式の解は、エーテル移動説を裏付ける事柄として捉えることができ、今まで考察した静止系に対する運動系の光速度が(C+V)や(C-V)になることを裏付けるものと考えられます。


8.まとめ
 ここまで本文を読んで頂いた方は、アインシュタインの特殊相対性理論の根幹部分は、系の錯誤による、棒の理論であることをお解りいただけたと思います。
 運動する物体の時間の遅れ、ロレンツ変換、物体の収縮、アインシュタイン時空図は間違った認識から導き出された理論なのです。
 同時性は維持されるのです。
 光速度不変原理は、誤解のないように、書き換えられるべきだと考えます。
 また、マックスウェルの波動方程式の解、アインシュタインの同時性の否定で使われた棒に対する光速度、ミンコフスキー時空図から考察した点に対する光速度より、実際には測定されていませんが、静止系に対する運動系の光の相対速度及び、運動系に対する静止系の光の相対速度は、(C+V)や(C-V)になると推測されます。