特殊相対性理論の崩壊(総集編)


1. 運動する物体の時刻の遅れ
    絶対静止系に長さLの光時計を乗せた電車が静止しているとします。光時計の光の絶対静止系での照射位置をAとし、光の反射される絶対静止系での位置をBとします。
 光時計を照射し、この時の往復の時間を絶対静止系の観測者が観測すると 2L/Cを観測します。

         

                 図-1
 この時、速度Vで移動する地球の観測者は、下図のような状態を観測します。光の軌跡は、三角系の斜辺として観測しますが、絶対静止系でAB点は移動しませんから、電車と光がそのまま平行移動しているだけなのです。光は、ABを結んだ線しか移動していませんから、光路は、ABになります。三角形の斜辺の部分は、光行差角によって見える光の軌跡なのです。
 地球で観測される光路もABとなり、ABが平行移動しているだけで、往復する時間も
2L/Cとなり、時間の遅れがないことがわかります。
 移動する電車の中に光時計を乗せて観測しても、同じような斜辺の軌跡が見えますが、観測者が移動しているときと同じように、移動する電車の中の観測者は、上の図のような状態を観察します。静止している観測者は下の図のような状態を観測します。観測者に見える斜辺の軌跡は光行差角によってできる光の軌跡なのです。実際の光路はABを結んだ直線なのです。静止系の観測者が観測する時間もL/Cなのです。


 次に横方向の光を考察します。
 絶対静止系に、長さLの電車が停止していて、その中で時計の同期を行います。

          

                     図-2
 電車の両端ABに時刻合わせをした時計を置き、観測者LMを配置し、時計の同期を行いました。
 時刻T₀でA店より光をB点に向け照射し、時刻T₁で光がB点に到達し、鏡で反射され、時刻T₂でA点に戻ったとします。
 観測者LMは、
  t₁=T₁-T₀ = L/C
  t₂=T₂-T₁ = L/C
を観測し、時計が同期しているのを観測します。


 この図-2の電車と光の状態を紙面に対して、左方向に速度Vで移動する地球の観測者が、電車と光の状態を観測したとします。

        

                 図-3
 地球から見ると、電車と観測者が速度Vで紙面に対して右方向に移動しながら時計の同期を行っていることになり、図-3のような状態を観察します。
 電車の中での光の移動距離はLです。しかし、観測される光の軌跡の移動距離は、Lにはならず、観測者の移動速度により変化します。軌跡の長さは、観測者の移動速度に依存しているのです。
 アインシュタインは、この軌跡の速度を光速度不変原理の下に、速度をCとしています。
 では、この状態の光の軌跡の速度を算出してみましょう。
 A ⇒ Bの軌跡の移動速度をXと置き、B ⇒ Aの軌跡の移動速度をYと置き、この時の軌跡の速度を算出します。
 A ⇒ Bの軌跡の速度は、
 (L+Vt₁)/X=t₁  X=(L+Vt₁)/t₁   
  X=L/t₁+V
 B ⇒ Aの軌跡の速度は、
 (L-Vt₂)/Y=t₂  Y=(L-Vt₂)/t₂  
   Y=L/t₂-V
となります。
 絶対静止系の観測者が観測する時間は、
   t₁=t₂=L/C
で、同じ時間です。
 この絶対静止系の一つの時間を地球で観測したときに、二つの時間では、観測されないので、地球で観測される時間も、
   t₁=t₂
となります。軌跡の式を書き換えてみると、
 X=L/t+V    Y=L/t-V
となり、軌跡の速度は、移動速度に依存した値になります。
 この L/t の値は、 C,αC, などが考えられますが、Cを用いれば、時刻の遅れもなく、同時性も維持されることがわかります。 
 速度Vで移動する観測者が見る光の軌跡の速度は、移動速度Vに依存しているのです。
 電車が動いているとき、電車の中の観測者が、観測する光の状態は、図-2の状態のように、電車が動いていないときと同じ状態を観測し、観測者が観測する時間は、
   t₁=t₂=L/C
となります。
 この状態を静止している観測者が観測する光の状態は、図-3の状態を観測します。動いている電車の光も同じように、
 X=L/t+V    Y=L/t-V
となり、軌跡の速度は、移動速度に依存した値になります。
 速度Vで移動する電車の光の軌跡の速度も、移動速度Vに依存しているのです。
 以上の事から、光の軌跡の速度は、観測者の移動速度や、運動する物体の移動速度と合成しなければならないことが分かります。


 では、絶対静止系で骨組みだけでできた電車を動かし、静止系の光(軌道堤と同じ光)でどうなるかを見てみましょう。この状態は、アインシュタインが、同時性の否定やローレンツ因子算出を行った状態と同じです。(文末に、アインシュタインが行った思考実験を記載します。)

        

                 図-4
 絶対静止系で長さLの骨組みだけでできた電車を速度Vで移動させ、電車の後方の端より、光を照射します。(軌道堤に沿って光を照射したときと同じ静止系を移動する光です。)
 光が電車の先端に到達したところで、鏡で後方に光を反射し、後方の端に光が到達したとします。(アインシュタインが、同時性の否定を行った時と同じ状態です。)
 電車に乗っている観測者は、光が速度C+VやC-Vで距離Lを移動するのを観測します。(アインシュタインの同時性を否定したときと同じように)
 この時の観測する移動時間は、
  t₁=L/(C-V)  t₁=(L+Vt₁)/C 
  t₂=L/(C+V)  t₂=(L-Vt₂)/C  
になります。
 静止系に静止している観測者は、光がL+VT₁移動し、鏡で反射され、L-VT₂移動して後方の端に届いたのを観測します。
 この時の観測する移動時間は、
 (L+Vt₁)/C=t₁   t₁=L/(C-V)
 (L-Vt₂)/C=t₂   t₂=L/(C+V)
となり、電車の観測者と同じ時間を観測します。(ローレンツ因子算出に使った数値と同じです。)
 アインシュタインは、光そのものと光の軌跡の区別がついていないで、議論を行っているのです。
 運動系でも同時ではない事象を観測して、同時性がないと議論しているのです。
 運動系で同時でない現象を同時として扱ってローレンツ因子を算出しているのです。
 電車の観測者も地上の観測者も同じ時間を観測しているのです。
 運動する物体の時刻の遅れはないのです。
 絶対同時性はあるのです。
 ローレンツ因子は、移動する電車(棒)の理論なのです。
 光のその物の軌跡の速度はCですが、観測者が移動しているときや物が移動しているときの光の軌跡は、観測者や物の移動速度を合成しなければならないのです。


2.絶対静止系の光時計


 1章の事柄の確認のために、絶対静止系の同時性(光時計)を観測したらどうなるのかを考察してみましょう。
 絶対静止系のA点を原点とする座標軸XYZを決めます。A点を基点にして、長さLの棒をそれぞれの座標軸上に設置し、各棒の端に、時刻合わせをした時計を設置します。
 静止系に静止している観測者Oは、アインシュタインの手法で、AB・AC・ADの時計の同期をA点から同時に光を照射して行いました。この時、A点に光が戻った時に、A点に設置したフラッシュが点灯するようにします。
 絶対静止系の観測者Oが、時刻A₀に各棒の端に光を照射し、時刻B₁・C₁・D₁で光がB・C・Dに到達し、鏡で反射され、時刻A₂でA点に戻ったとします。
 観測者Oは、光が各棒の端に L/C 時間後に到達し、鏡で反射され、さらに、L/C時間後に、A点に戻り、各時計の同期を確認し、フラッシュが一度光るのを確認します。
 A ⇔ B  B₁-A₀=A₂-B₁=L/C
 A ⇔ C  C₁-A₀=A₂-C₁=L/C
 A ⇔ D  D₁-A₀=A₂-D₁=L/C
 この時、地球にいる観測者Lは、X軸に平行に速度Vで移動しているとし、惑星Mにいる観測者Mは、Z軸に平行に移動しているとし、惑星Nにいる観測者Nは、XY平面上をX・Y軸に平行にならないように移動しているとします。

        

               図-5
 アインシュタインの手法に準じて、光速度不変原理を適用すると
 観測者Lは、
 A ⇔ B  B₁-A₀=L/(C-V)
        A₂-B₁=L/(C+V)
 A ⇔ C  C₁-A₀=A₂-C₁=L/√(C²-V²)
 A ⇔ D  D₁-A₀=A₂-D₁=L/√(C²-V²)
を観測し、ABの時計が同期していないのを観測し、AC・ADの時計は同期しているのを観測し、フラシュが二度光るのを観測します。
 観測者Mは、   
 A ⇔ B  B₁-A₀=A₂-B₁=L/√(C²-V²)
 A ⇔ C  C₁-A₀=A₂-C₁=L/√(C²-V²)
 A ⇔ D  D₁-A₀=L/(C-V)
         A₂-D₁=L/(C+V)
 を観測し、AB・ACの時計は同期しているのを観測し、ADの時計が同期していないのを観測し、フラシュが二度光るのを観測します。
 観測者Nは、
 A ⇔ B  B₁-A₀=L/(C+αV)
 A₂-B₁=L/(C-αV)
 A ⇔ C  C₁-A₀=L/(C-βV)
 A₂-C₁=L/(C+βV)
 A ⇔ D  D₁-A₀=A₂-D₁=L/√(C²-V²)
を観測し、AB・ACの時計が同期していないのを観測し、ADの時計は同期しているのを観測し、フラシュが三度光るのを観測します。
 絶対静止系で観測される時間L/Cが、このように進む方向により、ばらばらで観測され、一度しか光らないフラッシュが、二度や三度も光ることになるのです。
 光の軌跡に光速度不変原理を適用し、光速度Cを当てはめたために起こった現象です。
 移動速度を合成した光の軌跡の速度を使用すれば、観測されるすべての時間がL/Cとなり、同時性が維持され、時間の遅れもありません。
 1章で考察した事柄の妥当性があることがわかります。


2. マイケルソン・モーリーの実験


 マイケルソン・モーリーの実験は、固定エーテルのエーテル風の影響を調べようとした実験です。
 マイケルソン・モーリーの実験装置は、実際はもっと複雑ですが、図-6に示すように、縦方向と横方向の装置を光が往復する光路の長さの差(時間差)で、干渉縞の変化を観測し、エーテル風の影響を調べようとしたものです。
 装置は水平面を360度回転させ、22.5度ごとに測定を行っています。装置を90度回転したとき、横方向の光路は光を往復させているため、往路と復路の光路が逆になっただけで、光路の長さは同じになります。

          

                図-6
 説明文にしたがって、各光路の光の移動時間を計算してみます。
 縦方向の時間T₁は、
   T₁=2L/√(C²-V²)
 横方向の時間T₂は、
   T₂=2CL/(C²-V²)
となります。
 時間差ΔTは
   ΔT=2CL/(C²-V²)-2L/√(C²-V²)
になります。
 固定エーテルを考えていた物理学者が、この時間差ΔTを0になるようにすれば、エーテル風の影響があっても、マイケルソン・モーリーの実験結果が得られるという発想で、収縮率の考えが生まれたのです。
 そこで、横方向のLを収縮させれば、時間差ΔT=0になるので、下記のような収縮の式
を出しています。
Lm=L×√{1-(V/C)²}  Lm;動いているときの長さ  L;止まっているときの長さ


 観測する光を往復の光にしたため、収縮が起きれば、図-7のように、エーテル風の影響があったとしてもマイケルソン・モーリーの実験結果が、得られるのです。
 そして、収縮が起こっていると縦横の光の速度が同じだとマイケルソン・モーリーの実験結果が得られないので、必ず、地上の観測者は、エーテル風の影響を受けるのです。

           

                 図-7
 私の認識していた事柄は、図-8に示すように、絶対静止系に静止している観測者と同じように、地球に静止して光速度の測定を行うと、光の速度の方向性がない状態を観察すると考えていましたが、収縮論が妥当ならば、図-7の事柄が起きることを念頭に置く必要があるのです。

        

                  図-8
 しかし、収縮論は、大きな誤りをしていました。マイケルソン・モーリー自身も実験結果の考察でも行っていましたが、進行方向に垂直な装置の光の光路を三角形の斜辺にしたことです。
 マイケルソン・モーリーの実験を考察するとき、固定エーテル(絶対静止系)を考えると、固定エーテル上のA点(装置上のa点)からB点(装置上のb点)に向かった光は、このABのライン上からずれません。そこを観測者が移動するのです。(図の左のような状態)

         

                 図-9
 この図は、大げさに書いてありますが、光の速度が非常に速いため、観測中のa点とb点は観測できないぐらいのずれしか生じません。
 この状態を地上で観察すると、AB点と光が平行移動しているのです。このずれもほとんど観測できない程度のずれでしかありません。三角形の軌跡が観測されるとしても、装置の左側にしかできません。
 頭なのかでa点から出た光が、b点に戻るから、三角形の斜辺の軌跡を考えてしまいますが、固定エーテルを移動する光を考えると、斜辺を移動しないのです。光路はLなのです。
 斜辺の軌跡は、光行角差に相当するものです。
 絶対静止系から見るとA・B点は移動しませんから、装置だけが移動する状態を観察します。当然のことながら、光路はLになります。
 マイケルソン・モーリーの実験は、地球上で静止した状態で観測を行っています。それなのになぜ、装置が移動した状態(絶対静止系から見た)を観測しなければならないのでしょうか?地上の観測者に対して、装置は移動していません。光だけが移動しているのです。
 絶対静止系から見た状態は、地上の観測者が、観測する光と装置の状態が違う状態を観測しているのです。
 地上の観測者は、装置が静止した状態で光がどのように動くかを観測するのです。
 光が往復しているため、横方向の光の速度に差があったとしても装置を左回りに、90°回転しても横方向の光が光路を移動する時間は、往路の時間と復路の時間の順番が変わるだけで、横方向の光路の差はありません。

          

                 図-10
 地球の移動方向に垂直な光は固定エーテルの移動に伴い、垂直な光路が平行移動しているだけです。
 もしも、エーテルが地球とともに移動していれば、右の図のような状態を観測するのです。
 固定エーテルの場合(図の左側)、横方向の光路もLで、絶対静止系の光の速度はCですが、固定エーテルの影響を受け、光の移動時間は、
  L/(C-V)+L/(C-V) =2CL/(C²-V²)
となります。
 垂直方向を往復する時間は、2L/Cです。時間差ΔTは
  ΔT=2CL/(C²-V²)-2L/C=2LV/C(C²-V²) 


となり、収縮率 √{1-(V/C)²} では光路差が0とはならなくなり、エーテル風の影響を考えるとマイケルソン・モーリーの実験結果を説明できなくなります。 
 試しに、この場合の収縮率を計算してみましょう。 収縮率をXとおくと、
 2CLX/(C²-V²)-2L/C=0  2CLX/(C²-V²)=2L/C
 X=1-V²/C²
となります。
 この数値が意味のある数値かどうかは、私には、判断できませんが、次の現象も説明でき、理論的に妥当ならば、収縮という考え方も、あると思われます。
 その現象とは、マイケルソン・モーリーの実験装置は移動方向の光が往復するので、エーテル風の影響(C+V・C-V)が装置内で打ち消しあうような構造になっています。何かおかしい気がしますが、実験の装置を水平面に360度回転させ、16等分した位置(22.5度)で観測をしていることが非常に気になりました。(22.5度と67.5度の角度)
 角度が変わった時の光と装置の状態を図-11に示します。

        

                       図-11
 光路の距離は変わりませんが、両方向の光が図-10の状態とは違うエーテル風の影響を受けるので正確な時間は計算していませんが、ABを往復する時間もこれに垂直な光の往復時間も違い、(詳しくは検討していませんが。)時間差が違うことが予想できます。
 そして、この状態でも、干渉縞の移動がないことは、収縮理論では、説明のつかない現象が起きているのです。
 ということは、図-8のようにどの方向も同じ速度なのでしょうか?
 波動方程式から考えると、図-8の状態になるためには、別々の波動方程式が存在するように考えられます。 
 マイケルソン・モーリーの実験を見直すと、光の光路の認識を間違っていて、収縮理論では、説明のつかない事象がある。
 マイケルソン・モーリーの実験結果から、図-8のように、光の方向性がない状態と考えられる。
  マックスウェルの波動方程式に関しては、後述します。


4.ヘックの実験


 ヘックが用いた装置の原理は、ハーフミラーで、二分割された光線は光路1と光路2を通り、検出部にできる干渉縞を観察しています。
 この装置を180°回転したときに、光が水の層を通る時にエーテル風の影響により、光路の長さ(通過時間)が変わるので、干渉縞に変化が起き、その変化よりエーテルの影響を調査したものです。

       

              図-11(FN高校の物理より引用)
 しかし、回転後も干渉縞の変化は見られなかったのです。
 回転で影響する光路部分は、ABとCD部分です。
 FN高校物理では、固定エーテル説・エーテル移動説・エーテル随伴説についてこの結果をもとに、考察を行っていました。(http://fnorio.com/0132Fizeau_1851/Fizeau_1851.html)
 この中で、エーテル移動説と随伴説の計算方法に疑問を感じたので、見解を記述します。
 エーテル移動説は、地球とともにエーテルが移動し、地球の観測者の周りはエーテルが固定した状態になるはずです。
 しかし、FN高校物理の考え方では、水だけに、エーテルが移動するという考え方で計算を行っていました。
 そして、エーテル移動説では、この現象を説明できないという見解を示していました。
 エーテル移動説は、地球の大気とともにエーテルが一緒に移動するという考え方ですから、地球の中では、エーテルが固定していて、エーテル風の影響はないはずです。
 しかし、説明文の中では、空気に対してのエーテル風の影響があるような計算式になっていました。装置が右方向に移動していると考えたFN高校の物理の記載内容の一部をそのまま転用します。

       

 この赤線の部分は、明らかに空気に対するエーテル風の影響を考えた数式になっています。
 エーテル移動説は、地球全体が、エーテル風の影響を受けないことです。水も空気も同じようにエーテルの影響を受けないのです。
 本来のエーテル移動説の考え方で見ると経路1・2の光路差は、
  ΔL=C×(L/Cw+L/C)-C×(L/C+L/Cw)=0
 180°回転したときの光路差は
  ΔL=C×(L/Cw+L/C)-C×(L/C+L/Cw)=0
となり、干渉縞の移動など生じないのです。(Cw : 水中での光速度)
 ヘックの実験結果は、エーテル移動説でも説明がつくのです。
 このヘックの実験で、随伴説の式で理解できない部分がありました。記載内容をそのまま転用します。 (http://fnorio.com/0132Fizeau_1851/Fizeau_1851.html)  

 フレネルの随伴係数の説明文の一部です。
 (http://fnorio.com/0133Fresnel_1818/Fresnel_1818.html#2)

 空気の層は絶対静止系を速度Vで移動しているからエーテルはVの速度で動き、空気中の光速度が、C±Vになるのです。。
 水も絶対静止系を速度Vで移動するとエーテルは、fVの速度で動き、水中の光速度が Cw±(1-1/n²)Vになるのに、またVの項があるのが不思議でなりません。この項は必要ないと考えますが?
 本来なら空気の屈折率に対する項目も考慮しなければなりませんが、空気の屈折率は1.0002765と小さいので空気の部分はVをそのまま使用してもよいと考えられます。
 本来の計算式は、
   ΣL=L×〔C/{Cw-(1-1/n²)V}〕+C/(C+V)〕-
     L×〔C/{Cw+(1-1/n²)V}〕+C/(C-V)〕
となります。計算が面倒なので、間違いの指摘だけにします。(このような計算式は、得意ではありません。)
  随伴説はさておいて、ヘックの実験結果からエーテル移動説は否定できないのです。


5. フィーゾーの実験


 フィーゾーの実験は、媒質の移動速度が、光速度に与える影響を調査したものです。

   

          図-15(FN高校の物理より引用)
 図のような装置を使用し、太陽光は、二つの光路に分けられ、それぞれ逆の水流を通り、検出部で、できる干渉縞を測定して水流の影響を調査する装置です。
 装置は、光が往復するため、エーテルの影響を調べるときは、上の管と下の管では、エーテルの作用が違ってきます。下の図のような状態になるためには、地球とともにエーテルが完全に移動していなければなりません。上の図と下の図では、地球とともに移動するエーテルを考えたときに、水流に対するエーテルの影響が完全に違うのです。下の状態には決してならないのです。
 ヘックの実験の考察では、絶対静止系を移動するエーテル風の影響を考えたのに、ここでは、水の流速だけしか考慮されていないのです。
 絶対静止系を地球は移動しています。エーテルがあれば、その中を移動しているのです。水も地球とともに移動しています。この状態を図-16に示します。

           

               図-16
 FN高校の物理では、このエーテルの状況を無視し、下の図の状態を考え、水の流速だけを考慮して、計算が行われていました。
 その内容の一部を抜粋します。
 (http://fnorio.com/0132Fizeau_1851/Fizeau_1851.html)

との説明がありましたが、ここで扱っている速度vは、水の流速です。
 随伴説を考える場合、図-16のエーテルに対する水の速度を考慮する必要があります。
 水の流速だけで計算することは、水の周りのエーテルが固定しているとき(地球とともにエーテルが完全移動したとき)の考え方です。
 ここに入る移動速度は、V±vで、地球の移動速度を抜きに、考察することはできないのです。 詳しい計算は省略しますが、随伴説では、干渉縞の移動量を説明できないものと考えられます。


6. 随伴説によるボスコビッチ提案の光行差実験


 光行差の測定で、望遠鏡に水を満たしたときと、入れないときの光行差の測定をし、随伴係数を算出しています。この時の説明文の光の状態を図-2に示します。 
 なお、この実験では、水を入れても、入れなくても光行角差に変化は、現れませんでした。

    

             図-12(FN高校の物理より引用)
 この時、望遠鏡に来る星の光路がすべて同じになっていますが、下記のように考えると、エーテルが固定されているときだけ、星の光の光路は上図のようになりますが、ほかの場合は違っているのです。

   

                 図-13
 固定エーテルの場合は、エーテルの中を観測者が移動しているので、観測者に対して星の光の光路は平行移動しているような状態になり、光路は、垂直になり、観測者のところで、エーテルの移動速度Vに伴った、光行角差を生じます。
 エーテルが系とともに移動している場合は、固定エーテルと移動するエーテルの境界面で、エーテルの移動速度(V及びαV)に伴った光行差角が生じ、その系内に光行差角を持った状態で光が入射します。
 エーテルが随伴しているときは、系内に入ってから光は、V-αVの速度で、観測者に対して平行移動しているような状態になり、観測者が見る光行角差は、下図のような状態になります。

             

                 図-14
 エーテルが完全に移動しているときは、系内のエーテルは移動しませんので、エーテルの境界面でできた、光行角差のままで、観測者に光が到達します。
 エーテルが完全に移動しているときや、エーテルが随伴しているときは、固定エーテルの境界面で光行角差が生じているはずなのです。このことを考えずに、議論が行われているのです。
 例えがあまりよくはないですが、走行する自動車のボディーに、雨は光行角差と同じように、斜めに当たり、それを自動車の運転者が観測するのです。
 車のボディー部分がエーテルの境界面に相当し、自動車の運転者が、望遠鏡に相当するのです。
 この考え方をすると、解説文に記載されている、「エーテルが完全に移動する仮説を棄却」するということはなくなります。
 この見方をすると、エーテル移動説も説明がつくのです。
 本当の事柄は、わかりませんが、このような見方ができるということを感じていただければと考えています。
            
7.マックスウェルの波動方程式


 マックスウェルの波動方程式を考えるにあたり、フィーゾーの実験を考察したので、水の波動方程式を考えてみましょう。
 真空中を移動する光と同じように、水を移動する光に対する波動方程式があると考えられ、この波動方程式は、ガリレイ変換で不変と考えられます。
 アインシュタインの考え方と波動方程式がガリレイ変換で不変でないことを考えると、水中の光速度Cwがすべての水に適用できるはずです。
 しかし、フィーゾーの実験結果から、水が静止しているときと、移動しているときの光速度に違いがあり、大きな水槽の水を考えると、一つの波動方程式では、説明がつかないことがわかります。
 この状態を分かりやすく説明するために、図式化します。

           

                 図-7
 大きな水槽の中に、長さLの試験水槽を入れ、片方の水槽の水は、静止した状態にし、もう一方の水槽の水は速度Vで移動させ、この両方の水槽に光を照射します。
 水が速度Vで移動している部分は、大きな水槽から見ると運動系のガリレイ座標に相当します。
 波動方程式がガリレイ変換で不変との考え方からすると大きな水槽の波動方程式が全体に適用されるので、上の状態を観察するはずです。
 しかし、実際のフィーゾーの実験結果は、下の状態になっています。
 水が移動している部分は、大きな水槽とは違う光の進み方をしていて、大きな水槽の波動方程式では説明ができない状態になっており、水が移動している部分では、別の波動方程式があるように考えられます。
 波動方程式がガリレイ変換で不変でないから、他のガリレイ座標系に別の波動方程式がないという考え方は、この実験結果で否定されました。


 ここで、何度も前のブログに記載しましたが、マックスウェルの波動方程式について、みてみましょう。
 これに関しては、KENZOU氏が、次のブログで音波の波動方程式を求め、光の波動方程式と比較しています。 【 有機合成を専攻した私は、まだ勉強したことがない事柄なので、詳細は次のブログを参照してください。
「物理Tips ~波動方程式とガリレイ変換について~ KENZOU 2008年5月19日(http://hb3.seikyou.ne.jp/home/E-Yama/weqga.pdf)」 】


 そして、この音波の波動方程式もガリレイ変換で不変でないことを説明し、その解を求めています。
  ρ(x,t) = f(x´−(v−V)t´)+g(x´+(v +V)t´)  [式 18]
 この解は音波の伝搬速度が、正と負の方向で変化する。つまり、空気に対して速度Vで動いている観測者からは、音波はx軸の正の向きに速度v-Vで進み、逆の方向には速度v+Vで進むということを言っているにすぎないとしています。
 一方、光に関しては、マックスウェルの波動方程式もガリレイ変換で不変でないが、音波と同じ挙動を示すことを証明しています。
 そして同じように解を求めています。
  φ(x´,t´) = f(x´−(c−V)t´)+g(x´+(c+V)t´)  [式 21]
 この解は、光の伝搬速度が、正と負の方向で変化する。つまり、真空に対して速度Vで動いている観測者からは、光はx軸の正の向きに速度c-Vで進み、逆の方向には速度
c+Vで進むということを言っているとしています。
 (KENZOU氏は、マイケルソン,モーリーの実験結果は、『真空中での光の速さは観測者の運動状態が変わっても、光の進む方向によらず一定である。』として、この結論を棄却しています。)
 KENZOU氏の考え方の中には、マイケルソン・モーリーの実験を行った場所を考慮していないことが挙げられます。
 音に例えると、電車の中に静止して人と、電車の中や外を走っている人では、観測する場や状態での伝搬速度に違いがあるのです。電車の中や外を走っている観測者は、音の速度をv-Vやv+Vで観測しますが、電車の中に静止している観測者は、電車の進む方向に関係なく一定の速度vを観測します。
 マイケルソン・モーリーの実験は地球上に静止した状態の観測を行っています。
 電車の中はガリレイ座標系で地球もガリレイ座標系です。
 音の波動方程式は、ガリレイ変換で不変ではありません。しかし、音はそれぞれのガリレイ座標系内では、同じ法則に従います。
 静止した水と移動している水では、一つの波動方程式では、お互いの光の挙動を説明できず、別々の波動方程式があると考えられます。
 では、宇宙空間と地球を考えてみましょう。地球は、宇宙空間から見ると一つのガリレイ座標系と考えられます。音や、水のようにガリレイ変換で不変でなくとも、絶対真空系とは独立した地球の空気中の波動方程式が、存在していると考えてもおかしくありません。
 マイケルソン・モーリーの実験は地球(ガリレイ座標系)に静止して測定しているので、光の方向性は、観測できていません。
 マックスウェルの波動方程式がガリレイ変換で不変でなくても、ガリレイ座標間で法則は維持されると考えると、マイケルソン・モーリーの実験結果も納得できるものとなります。
 マックスウェルの波動方程式がガリレイ変換で不変にこだわらずに、物事の現象を観察すれば、光速度不変原理で、すべての事柄を説明しようとした特殊相対性理論の矛盾もわかっていただけるものと考えています。
 私は、物理学者でないので、この矛盾を指摘するにとどまります。
 あとは、物理学者の皆さんが行うことと考えています。
 ただ、「アインシュタインの特殊相対性理論は、完全に崩壊したのです。」見直しをする必要があります。


(私 見)
 私は、エーテルの存在そのものを信じているわけではありませんが、何もない宇宙の空間と地球では、あまりに状態が違います。
 水でエーテルが随伴するならば、地球に存在する地磁気、電離層、オゾン層、大気、重力波などの単独または、相互作用で、随伴方式とは別の方式で、エーテルが移動するという考え方はできないのかと考えたりします。
 そうすれば、マックスウェルの波動方程式がガリレイ変換で不変ではなくても、地球固有のマックスウェルの波動方程式があり、フィーゾーの実験結果も説明でき、マイケルソン・モーリーの実験結果も説明がつきます。
 この辺は、全くの素人ですので、勝手な想像だけですが。


 特殊相対性理論に関する見解は、ほぼ出したので、当分投稿はやめます。
 今、光関係のことが気になりだしたので、何か発見があれば、また、投稿したいと考えています。


 なお、ご意見・反論をお待ちしています。簡単なコメント「間違っている等」で結構ですので、よろしくお願いします。


参 考
1. アインシュタインの同時性の否定


 アインシュタインの論文「運動物体の電気力学」(1905年)(アインシュタイン論文選 「奇跡の年」の5論文 青木 薫訳 ちくま学芸文庫P259~260)(「アインシュタイン相対性理論」内山 滝雄訳・解説p20~24)で同時性の否定を行っています。
 ここでは移動する棒に張り付いた観測者が観測する光を使用し、時計の同期を利用して議論が行われています。
 長さLの棒ABの両端に同期した時計を設置し、棒の両端に棒とともに移動する観測者L・Mを配置し、棒を速度Vで移動させます。(1章で記載した骨組みだけの電車が、棒に相当します。)
 LとMの観測者が時計の同期を行いました。時刻 TA₀でAより光を照射し、時刻 TB₁でBに到達し、鏡で反射され、時刻 TA₂に戻ったとします。
 このとき、光速度一定の原理を考慮すると
 TB₁-TA₀=L/(C-V)    TA₂-TB₁=L/(C+V)
となり、棒とともに移動する観測者L・Mは、二つの時計はあってないと主張するのに対して、静止系の観測者は、二つの時計はあっていると主張します。(L・Mは静止系の光の相対速度を測定しているのです。)
 そして、アインシュタインは、次のような結論をだしています。
『このことから、同時性というものに絶対的な意味は与えられないことがわかる。二つの出来事が、ある座標系では同時刻に起こったように見えても、その座標系に対して運動している別の座標系では、もはや同時刻の出来事とは考えられないのである。』


2. ローレンツ因子の導入
 論文「運動する物体の電気力学」の特殊相対性理論のベースとなる最も重要な部分での間違いを指摘します。(p261~265)(「アインシュタイン相対性理論」内山 滝雄訳・解説p24~27)
 ここでは、運動系kで起こった出来事の場所と時刻を指定する値(ε,η,ζ,τ)に対して静止系Kを指定する値(x,y,z,t)とを関係づける連立方程式を求めています。
そして、
  X´=x-vt
とおき、τを、(X´,y,z,t)の関数として求めています。


 時刻τ₀に速度Vで移動するk系の原点からX軸に沿って放出された光線がX´に向かい、時刻τ₁にX´で反射されて原点に向かい、時刻τ₂に原点に戻ったとします。
このとき、
 1/2(τ₀+τ₂)=τ₁                  ‥‥‥‥‥(1)
がなりたたなければならず、関数τの引数を入れ、静止系で光速度一定原理を用いると、
 1/2[τ(0,0,0,t)+τ(0,0,0,{t+X´/(C-V)+X´/(C+V)})]
 =τ[X´,0,0,t+X´/(C-V)]             …‥‥‥‥(2)
として、これを展開し、ローレンツ因子を求めています。
 この状態は、1章の骨組みだけでできた、電車の光を地上で観測した状態と同じ状態なのです。当然のことながら、電車で同時性など最初から存在しないのです。(1)式など成り立たないのです。