物理学者の間違っている常識 (シリーズ3)

        マックスウェルの波動方程式が不変でなくても
                       測定される光速度は2つ以上ある 
マックスウェルの波動方程式は、ガリレイ変換で不変ではありません。
 そのため、一般の物理学者の皆さんは、真空中には、一つの波動方程式しかないので、真空中に存在するガリレイ座標系の波動方程式も真空中の一つの式で代用できると考えています。
 光速度不変原理が生まれた大きな一因と考えられます。
 波動方程式がガリレイ変換で不変でないと、一つの式が全真空系に適用されるのでしょうか?
 実際に物体の移動速度と光の速度の関係を観測した、水の波動方程式を考えてみましょう。
 水の移動速度に関する光の伝搬速度の変化は、フィーゾーの随伴係数を求めた実験が知られています。
 この実験では、エーテルの随伴に焦点があり、波動方程式の考察は行われていませんでした。
 フィーゾーの実験では、水の流速を変化させると、光の速度が変化するという結果が得られたのです。

         

                   図-1
 水を満たした密閉された槽に光を照射すると、槽内の光の伝搬速度は、水の光の伝搬速度Cwになります。
 この時、槽内に静止している観測者も光の伝搬速度をCwとして観測し、槽外の観測者も槽内の光の伝搬速度Cwを観測します。(厳密にいうと、Cw±βになっている可能性もあります。)
 次に、槽内の水を速度Vで移動させます。波動方程式が、ガリレイ変換で不変でないので、水の流速が変わっても、図の上のように、水が移動してもしなくても、槽内と槽外の観測者が観測する水の伝搬速度は、Cwと考えられていました。
 しかし、槽外の観測者は、Cw+Vαを観測します。槽内の水を静止系にすると、槽外の観測者が、速度Vで移動していることになりますが、速度Vで移動する観測者は、光の速度をCw+Vαで観測することになるのです。
 フィーゾーの実験結果は、上述のことが起こっているという観測結果です。
 では、大きな水槽に水を満たし、密閉した槽を入れ、その状態の考察をしてみましょう。
 水に関する物性を考慮すれば、水のマックスウェルの波動方程式があります。マックスウェルの波動方程式は、ガリレイ変換で不変でないので、大きな水槽には、一つの波動方程式しかなく、小さな水槽中の一部分が、流動していても、その場所の光速度は、同じになるというのが、光速度不変原理の考え方と私は考えています。
 しかし、フィーゾーの実験結果は、図の下に示したように、管中を水が流動すると、そこの光速度は、大きな水槽の光速度とは、違ったものになるのです。槽内に静止して観測する観測者も大きな水槽で観測する観測者も光の伝搬速度Cw+Vαを観測するのです。

        

                         図-2
 この事実は、波動方程式が、不変でなくても 移動速度に依存して、違う光速度が観測されるということを表していて、今まで、考えられていた認識とは違う事実です。
 次に物性が判っている音(波動)について考察してみましょう。
音については、すでに KENZOU氏が、次のブログで音波の波動方程式を求め、光の波動方程式と比較しています。 【 有機合成を専攻した私は、まだ勉強したことがない事柄なので、詳細は次のブログを参照してください。
「物理Tips ~波動方程式とガリレイ変換について~ KENZOU 2008年5月19日(http://hb3.seikyou.ne.jp/home/E-Yama/weqga.pdf)」 】


 そして、この音波の波動方程式もガリレイ変換で不変でないことを説明し、その解を求めています。
  ρ(x,t) = f(x´−(v−V)t´)+g(x´+(v +V)t´)  [式 18]
 この解は音波の伝搬速度が、正と負の方向で変化する。つまり、空気に対して速度Vで動いている観測者からは、音波はx軸の正の向きに速度v-Vで進み、逆の方向には速度v+Vで進むということを言っているにすぎないとしています。
 一方、光に関しては、マックスウェルの波動方程式もガリレイ変換で不変でないが、音波と同じ挙動を示すことを証明しています。
 そして同じように解を求めています。
  φ(x´,t´) = f(x´−(c−V)t´)+g(x´+(c+V)t´)  [式 21]
 この解は、光の伝搬速度が、正と負の方向で変化する。つまり、真空に対して速度Vで動いている観測者からは、光はx軸の正の向きに速度c-Vで進み、逆の方向には速度
c+Vで進むということを言っているとしています。
【KENZOU氏は、マイケルソン,モーリーの実験結果は、『真空中での光の速さは観測者の運動状態が変わっても、光の進む方向によらず一定である。』として、この結論を棄却しています。】
 マイケルソン・モーリーの実験については、次のシリーズで考察してありますが、移動する物体が収縮すると「光の速さは、観測者の運動状態が変わっても、光の進む方向によらず一定」というマイケルソン・モーリーの実験結果は得られないのです。(詳細は次シリーズ)
 また、KENZOU氏の考え方の中には、マイケルソン・モーリーの実験を行った場所を考慮していないことが挙げられます。
 音に例えると、電車の中に静止している人と、電車の中や外を走っている人では、観測する場や状態での伝搬速度に違いがあるのです。電車の中や外を走っている観測者は、音の速度をv-Vやv+Vで観測しますが、電車の中に静止している観測者は、電車の進む方向に関係なく一定の速度vを観測します。
 マイケルソン・モーリーの実験は地球上に静止した状態の観測を行っています。
電車の中はガリレイ座標系で地球もガリレイ座標系です。
音や水の波動方程式は、ガリレイ変換で不変ではありません。しかし、音や水は、それぞれのガリレイ座標系で、個別の法則を持っています。
では、宇宙空間と地球を考えてみましょう。地球は、宇宙空間から見ると一つのガリレイ座標系と考えられます。
地球を考えたとき、磁場、電離層、オゾン層、空気、重力波など、地球の周りと違う状態で
す。これらの相互作用等で、音や水のようにガリレイ変換で不変でなくとも、絶対真空系とは独立した地球の空気中の光の波動方程式が、存在していると考えてもおかしくありません。
マックスウェルの波動方程式が、ガリレイ変換で不変でなくても、ガリレイ座標間で法則は維持されると考えると、地球というガリレイ座標系で測定されたマイケルソン・モーリーの実験結果も 納得できるものとなります。また、前シリーズで考察した軌跡の速度は、移動速度と合成するという考え方があっていることにもつながります。
私は、物理学者ではないので、ここまでしか指摘できませんが、物理学者の方は、この波動方程式が不変について、もう一度見直しをしていただきたいと考えています。


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