物理学者の間違っている常識 (シリーズ1)

      光速度不変原理と時間の遅れの矛盾
 光速度不変原理は、特殊相対性理論の根幹をなす原理です。
 特殊相対性理論は、思考実験で、移動する物体の光の状態に光速度不変原理を適用し、時間の遅れや、ローレンツ因子、収縮などの考え方を提唱しています。
 この考え方は、物理学者にとっては、当たり前のことで、疑う余地はないと考えられていました。
 しかし、静止した物体の光を移動する観測者が観察し、そこに光速度不変原理を適用すると 時間の遅れの関係に全く整合性がみられず、アインシュタインが考えた光速度不変原理(時間の遅れ)の矛盾が、明確になりました。
 ここでは、その矛盾を指摘するとともに、何が悪かったかの考察を行います 


 絶対静止系に、長さLの光時計を3個、図-1のように配置します。A・B・C・Dの各点には、静止系で同期した時計とA点に、光が届いたときに瞬間的に、点灯するランプを配置します。
 時刻T₀でA点より光を各点に照射し、L/C時間後のT₁で各点に光が到達し、鏡で反射され、L/C時間後の時刻T₂にA点に光が戻り、A点にある光が戻った時に点灯するランプが、1回点灯します。

         

                  図-1
 時刻T₁で起こっている事象は、各点に光が到達し、鏡で反射されるという事象です。
 時刻T₂に起こっている事象は、各点からの光がA点に戻り、ランプが1回点灯するという事象です。
 この時、観測者Oが、時刻T₁で矢印方向に移動したとします。
 観測者Oが、B⇒Aの光の到達時間を観測すると、
  B⇒A t₁=L/(C-V)
を観測し、C⇒Aの光の到達時間を観測すると、
  C⇒A t₂=L/√(C²-V²)
を観測し、D⇒Aの光の到達時間を観測すると、
  D⇒A t₃=L/(C+V)
を観測し、ランプが3回点灯するのを確認します。
 絶対静止系で、1回しかランプが点灯しないのに、移動する観測者は、3回観測することになるのです。
 絶対静止系の一つの時間が、3個の時間として観測されるのです。
 この現象に疑問を感じない科学者は、いないと思います。
 そして、この矛盾に対して、明確な説明ができる物理学者の方はいないと思います。
 これが光速度不変原理の本質なのです。アインシュタインは、移動する物体の光の考察を行って、特殊相対性理論を構築していますが、このように、絶対静止系の光の移動時間に注目して考察すると、アインシュタインの考察の誤りが明確になりました。


 何がいけなかったのでしょう。
 光を観測する視点を変えてみてみましょう。
 絶対静止系に静止している電車の距離LのB点よりA点に光を照射します。
 絶対静止系に静止している観測者は、BAの光の移動時間L/Cを観測します。

        

                 図-2
 この時、電車の下を速度Vで移動する観測は、図-3のような斜め上に見える光の軌跡を観測します。

            

                     図-3
 これは、光行角差に相当するもので、光は、常に、ABライン上を移動していて、その状態を観測者は、移動速度で合成された光の軌跡として観測しているのです。光路は、BAとなり、斜めに見える光は軌跡なのです。
 絶対静止系に停止しているAB点は、動きませんから、光路は常に、ABを結んだ垂直な線しか移動しないのです。
 この時、観測者の位置が違うとどのように見えるかを見てみましょう。

           

                  図-4
 Cにいた観測者だけが、一定の角度で観測できますが、他の観測者は、光が進むにつれ、観測する角度が変化する事が判ります。
 これはどういうことでしょう?
 星の場合は、光源がはるか彼方から、地球を例にとると、地球全体に光が降り注いでいて、どの位置でも観測される光行角差は、変わりませんが、光源が近い場合は、このように、光源の位置を観測するとこのような現象が起きてしまうのです。移動する観測者は、光路から出た光を観測しているのです。
 図-3の観測状態を、横方向から観測し観測者を静止系にして観測すると、電車の相対的な位置が変わるので、図-5のような状態の斜線の軌跡を観測します。

        

                  図-5
 本来は、同じ場所の一つの光を観測していますが、観測者を静止系にすると、光の位置が違った状態になり、二つの光を別々に観測していることになってしまうのです。
 光路でなく、観測した光の軌跡なので、このような現象が生じるのです。
 移動する観測者は、光路BAが右方向と左方向に平行移動するのを観測します。光は常にBAライン上にしかないので、光路はBAとなり、Bの光が平行移動して、A´に到達し、到達時間は、L/Cになります。時間の遅れなどないのです。
 BA´の軌跡は、速度Vを合成した軌跡の速度になるのです。
 アインシュタインの考え方では、光路ではなく、軌跡に、光速度不変原理を適用しているのです。


 つぎに、横方向の光の状態と観測者の状態を 視点を変えて考察してみましょう。
 絶対静止系に、長さLの電車が停止しているとします。電車のA点よりB点に向けて光を照射したとします。
 この時、速度Vで移動する観測者が、観測する電車と光の状態を見てみましょう。

       


                図-6
 移動する観測者は、1・1´の位置で、電車のABの位置と、A点より光が照射されたのを観測します。
 絶対静止系のL/2C時間後に、観測者は、2・2´の位置に移動し、光がA点より、
L/2進んだのを観測します。
 絶対静止系のL/C時間後に、観測者は、3・3´の位置に移動し、光がA点より、L進み、B点に到達するのを観測します。
 移動する観測者は、絶対静止系のA・B点の位置とA点から光が移動した距離を常に観測していて、最終的に、A点から出た光が、B点に到達したのを観測するのです。この時のA・B点の距離は、最初から最後まで変わりません。
 この状態を観測者が静止した状態で、図示すると、観測者に対して、電車が相対的に観測者と逆の方向に移動しているので、図-7のような図が描けます。

       

                  図-7
 観測者は、光が、A₁からB₃・B₃´に移動したのを観測しているのではなく、A₁の状態では、光が照射されたのを観測し、A₂・A₂´の状態では、光がA₂・A₂´からL/2移動し、A₃・A₃´の状態では、光がA₃・A₃´からB₃・B₃´にL移動しているのを観測しているだけなのです。
 A₁からA₃・A₃´に移動しているのは、観測者が速度Vで移動したために、相対的な位置関係が変わっただけで、実際の光路は、A₃からB₃・A₃´からB₃´に光がL移動しただけなのです。
 相対的な位置が、速度Vで変化するので、軌跡から、A₁からA₃への移動距離を引いたり、A₁からA₃´への移動距離を加えたりして、考えなければならないのです。この値は、VL/Cですから、この長さを考慮すれば、実際の光路の長さは、Lになるのです。
 頭の中で、光は、A₁からB₃・B₃´に移動していると考えてしまいますが、この距離は、軌跡の距離なのです、実際の光路は、Lなのです。


 光時計の時間の矛盾やミンコフスキー時空図の時間のずれは、光の軌跡と光路を混同したことと、系の認識を誤ったために、起こった現象です。(系については、シリーズ2で詳述します。)
 では、光の軌跡について考察し、軌跡の速度を算出してみましょう。
 アインシュタインの時計の同期方法を利用して考察してみましょう。
 絶対静止系に、長さLの電車が停止していて、その中で時計の同期を行います。

          

                   図-8
 電車の両端ABに時刻合わせをした時計を置き、観測者O・Pを配置し、時計の同期を行いました。
 時刻T₀でA点より光をB点に向け照射し、時刻T₁で光がB点に到達し、鏡で反射され、時刻T₂でA点に戻ったとします。
 観測者O・Pは、
  t₁=T₁-T₀ = L/C
  t₂=T₂-T₁ = L/C
を観測し、時計が同期しているのを観測します。
 この図-8の電車と光の状態を紙面に対して、左方向に速度Vで移動する観測者が、電車と光の状態を観測したとします。

       

                 図-9
 速度Vで移動する観測者から見ると、電車と観測者O・Pが速度Vで紙面に対して右方向に移動しながら時計の同期を行っていることになり、図-9のような状態を観察します。
 電車の中での光の移動距離はLです。
 しかし、観測される光の軌跡の移動距離は、Lにはならず、観測者の移動速度により変化します。軌跡の長さは、観測者の移動速度に依存しているのです。
 アインシュタインの考え方では、この軌跡の速度を光速度不変原理の下に、速度をCとしています。この操作を行うと、絶対静止系で観測されたL/Cの時間が3つの時間として観測されてしまうのです。
 では、この状態の光の軌跡の速度を算出してみましょう。
 A ⇒ Bの軌跡の移動速度をXと置き、B ⇒ Aの軌跡の移動速度をYと置き、この時の軌跡の速度を算出します。
 A ⇒ Bの軌跡の速度は、
  (L+Vt₁)/X=t₁  X=(L+Vt₁)/t₁   
   X=L/t₁+V
 B ⇒ Aの軌跡の速度は、
  (L-Vt₂)/Y=t₂  Y=(L-Vt₂)/t₂  
    Y=L/t₂-V
となります。
 絶対静止系の観測者が観測する時間は、
   t₁=t₂=L/C
で、同じ時間です。
 この絶対静止系の一つの時間を移動する観測者が観測したときに、二つの時間では、観測しないので、移動している観測者が観測する時間も、
   t₁=t₂
となります。軌跡の式を書き換えてみると、
 X=L/t+V    Y=L/t-V
となり、軌跡の速度は、移動速度に依存した値になります。
 この L/t の値は、 C,αC, などが考えられますが、Cを用いれば、
A ⇒ Bの光の軌跡の到達時間は、
t₁=(L+Vt₁)/X=(L+Vt₁)/(C+V)=L/C
となり、B ⇒ Aの光の軌跡の到達時間は、
t₂=(L-Vt₂)/Y=(L-Vt₂)/(C-V)=L/C
となり、時刻の遅れもなく、同時性も維持されることがわかります。 
 速度Vで移動する観測者が見る光の軌跡の速度は、移動速度Vに依存しているのです。
 アインシュタインは、この軌跡の速度に光速度不変原理を適用し、Cとしているために、上述の一つの時計の時間が進んだり遅れたり、一つの時間が3個の時間として観測される矛盾が起きているのです。
 以上の事から、光の軌跡の速度は、観測者の移動速度や、運動する物体の移動速度と合成しなければならないことが分かります。


<相対速度>
 アインシュタインは「特殊及び一般相対性理論について」(1915 金子 務訳 白揚社)のなかで 「相対速度」についてP33~34で言及しています。
 このなかで、軌道堤を速度ⅴで移動する列車と軌道堤に沿って送った光を使い、列車に相対する光速度Wを求めています。(相対速度) 
  W=C-V

         

                図-11
 この電車を速度Vで移動する観測者に変えてみましょう。

           

                 図-5
 観測者の移動方向と同じ光の相対速度は、
  W=C-V
となり、反対方向の光の相対速度は
  W=C+V
となります。
 絶対静止系に静止している電車の中の光と絶対静止系の光は同じ速度ですから 電車の中の光に対しても同様のことが観測されます。
 この相対速度が、軌跡の速度に相当するものなのです。
 アインシュタインは、相対性の否定で、この相対速度を用いましたが、この項目以外で、相対速度の考え方は出てきていません。
 この考え方をしっかり念頭に入れていれば、光速度不変原理は、生まれなかったと考えられます。
 「光の軌跡は、移動速度と合成しなければならないのです。」
 光速度不変原理の矛盾に関して、問題になる事柄は、マックスウェルの波動方程式が、ガリレイ変換で不変でないこととマイケルソン・モーリーの実験結果です。この事柄については、今回の結果が得られたことの妥当性について、シリーズの3・4で詳細に記述します。


 以上のことより、
 アインシュタインは、光の軌跡に、光速度不変原理を適用して、理論の組み立てを行っ
 ているのです。
 光の軌跡は、移動速度を合成した速度になるのです。
 移動する物体の時間の遅れはないのです。
 


 私は、物理学者ではないので、私ができることは、このブログの内容を多くの物理学者の皆さんに見ていただき、その結果として特殊相対性理論の矛盾が、訂正されることを願っているだけです。
 もし、私と同じような矛盾を感じた方は、多くのご学友やご同僚とこのブログの内容について議論していただきたいと願っています。
 皆様のご反論・ご意見等をお待ちしております。