ローレンツ因子を求めるために作られた矛盾した座標変換

 (一部追加説明:図-5-2の部分  2023・01・17)
 特殊相対性理論で使われているローレンツ変換は、アインシュタインの論文「運動物体の電気力学」により導き出されています。
 論文の中で運動系の事象(原点と✗’を光が往復する状態)をガリレイ変換の手法を使い、ガリレイ変換では、軌跡の移動速度をC±Vとするところを静止系に光速度不変原理を適用してCとし、移動時間を算出し、(1)式が成り立たなければならないとし、時間を引数として(1)式に入れてローレンツ因子の算出を行っています。
   1/2(τ₀+τ₂)=τ₁  ‥‥‥‥(1)
 しかし、この変換方法で、真空以外の光時計を作り、光を往復したときに、運動系の時間2L/Cの時間に対応した静止系の時間が、アインシュタインの手法では、バラバラになり、静止系に光速度不変原理を適用した変換方法に矛盾が生じることが判りました。
 これについて説明します。


 今、速度Vで移動する運動系に長さLの真空でできた光時計と長さL/1.000292の空気でできた光時計と長さL/1.55の水晶でできた光時計を用意します。

          

                  図-1
 真空の光時計の長さLを✗’とすると真空の光時計に関しては、アインシュタインの座標変換と同じ作業をしていることになります。
 水の屈折率を1.000292とし、水晶の屈折率を1.55とすると時計を同時に作動すると光が右端に到達する時間は、運動系で観測するとすべてL/Cで 鏡で反射され、Z′軸上に戻る時間は、すべて2L/Cになります。
 この運動系の光時計の光を静止系で観測すると図-2のピンクの線のような光の軌跡を観測します。

          

                   図-2
 このピンクの軌跡は、光の軌跡ですが、アインシュタインのように、静止系に光速度不変原理(軌跡の速度をCとする。)を適用し、静止系の移動時間を計算してみましょう。
 ◦真空の光時計の場合
  右側への移動時間は、Cdt=Vdt+L、dt=L/(C-V)
  左側への移動時間は、Cdt=L-Vdt、dt=L/(C+V)
  合計の移動時間は、 L/(C-V)+L/(C+V)=2CL/(C²-V²)
 ◦空気の場合
  右側への移動時間は、Cdt=Vdt+L/1.000292、dt=L/1.000292(C-V)
  左側への移動時間は、Cdt=L/1.000292-Vdt、dt=L/1.000292(C+V)
  合計の移動時間は、L/1.000292(C-V)+L/1.000292(C+V)
           =2CL/1.000292(C²-V²)
となり、真空の移動時間と一致しません。
 軌跡の速度を空気中の光速度C/1.000292にしても
  右側への移動時間は、dt=L/1.000292(C/1.000292-V)
  左側への移動時間は、dt=L/1.000292(C/1.000292+V)
  合計の移動時間は、
        L/1.000292(C/1.000292-V)+L/1.000292(C/1.000292+V)
        =2CL/{C²-(V/1.000292)²}
となり、真空の移動時間2CL/(C²-V²)と一致しません。
 ◦水晶の光時計の場合
  右側への移動時間は、Cdt=Vdt+L/1.55、dt=L/1.55(C-V)
  左側への移動時間は、Cdt=L/1.55-Vdt、dt=L/1.55(C+V)
  合計の移動時間は、 L/1.55(C-V)+L/1.55(C+V)
            =2CL/1.55(C²-V²)
となり、水晶の場合も真空の移動時間と一致しません。軌跡の速度を水晶中の光速度C/1.55にしても計算結果は、2CL/(C²-V²)と一致しません。
 このように、真空中の光速度以外の媒質の光速度やほかの運動物体が存在するとアインシュタインの考え方(静止系に光速度不変原理を適用する。)が適用できないことがわかります。
 軌跡の速度(ピンクの線)に普通の運動則を適用すると軌跡の速度は、
  真空の場合:C±V
  空気の場合:C/1.000292±V
  水晶の場合:C/1.55±V
となり、光時計の場合の右側への移動時間は、
  (C+V)dt=V dt+L  dt=L/C
  (C/1.000292+V)dt=V dt+L/1.000292   dt=L/C
  (C/1.55+V)dt=V dt+L/1.55  dt=L/C
のように、左側への移動時間も含め、すべての移動時間がL/Cとなり、時間の遅れなど観測もされず、整合性のとれた計算結果が得られます。
 また、前ブログ「中学数学で算出できるローレンツ因子・ 軌跡(虚像)に光速度不変原理を適用したアインシュタイン」(2022/12/13 )に出したブログで電車に縦に置いた光時計に加え、他の媒質の光時計を置くと同じように、真空で得られる収縮率は、他の媒質の光時計では得られません。
 このように、真空中の光速度以外の媒質中の光の移動状態には適用できない座標変換であり、矛盾のある座標変換により、時間の遅れが作られていたのです。
 この座標変換は、ガリレイ変換の手法を用い、本来、光の軌跡の速度をC±Vとするところに光速度不変原理を適用し、Cとしているので 他の媒質の光速度の物や運動物体が存在すると変換自体の矛盾が生じたのです。
 アインシュタインの変換方法は、静止系は、常にエーテル中の速度Cを持ち、静止系そのものがエーテルの場になっている。それに対する運動系の光の移動状態を軌跡の移動距離にし、(エーテル風の影響の)移動時間を算出している。
 dt=L/(C-V)、dt=L/(C+V)は、静止系で観測される運動系のエーテル風の影響を受けた移動時間そのものです。
 エーテル理論では、運動系の移動時間dτ=L/(C-V)、dτ=L/(C+V)を観測するはずでしたが、dτ=L/Cだったので、ローレンツらのように、時間合わせを単純にするのではなく、事象(時刻、場所)の変換を行い、時間合わせをしていたのです。
 しかし、運動系の他の事象(真空以外の媒質中の光の移動)が存在すると変換方法自体(運動系の光に静止系で光速度不変原理を適用する。エーテル理論的な考え方)が破綻したのです。
 この座標変換は、真空中の光の移動時間dt=L/(C-V)、dt=L/(C+V)を出すための変換で 他の移動速度の物には適用できない変換方法なのです。


 運動系の光に、光速度原理を適用し、静止系での軌跡の速度をCとすることが正しい判断だったのでしょうか?
 このことについて、別の角度から検証します。
 まず、運動系の観測者は、運動系で時計の同期ができることから 運動系の観測者は、光速度Cを観測していることになります。
 アインシュタインは、論文の「2.長さと時間の相対性」の中で時計の同期の手法を使って系間の同時性の否定を行っています。

           

                   図-3
 静止系に、長さLの棒を置き、両端に静止系で時刻合わせをした時計を置き、棒とともに移動する観測者も起きます。

           

                   図-4
 移動する棒で時計の同期を行ったとき、移動する観測者は、
  τ₁-τ₀=L/(C-V)、τ₂-τ₁=L/(C+V)
を観測するとしています。
 そして、静止系の観測者は、(静止系に静止した棒で)時計の同期ができることから系間の同時性を否定しています。
 この(C-V)と(C+V)は、運動系の観測者が、静止系の光速度をCではない値を観測していることになり、普通の運動則と同じ観測をしていることになります。
 座標変換では、運動系の観測者は、運動系の光の速度をCとして観測し、同時性の否定においては、静止系の光では、C±Vとして観測しているのです。
 これについて わかりやすいように モデル実験で見てみましょう。
 速度Vで移動する電車の内側に長さLの棒を置き、それに沿うように外側にも長さLの棒を置きます。棒の両端に観測者と時計を置き、電車を速度Vで移動するとともに 電車の中の棒は、電車の中の光で、外側の棒は、静止系の光で時計の同期を行います。

           

                   図-5
 電車の中の観測者は、
  τ₁-τ₀=τ₂-τ₁=L/C
を観測し、時計が同期できることを観測します。
 電車の外に張り付けた棒とともに移動する観測者は、静止系の光で
  τ₁-τ₀=L/(C-V)、τ₂-τ₁=L/(C+V)
を観測し、時計が同期できないことを観測します。
 この状態について 電車を静止系にして 光の軌跡などの移動状態を見てみましょう。(Z´を静止系とする。)

           

                   図-5-2
 棒とともに移動する観測者は、静止系の光の軌跡を上図のように観測し、ピンクの軌跡の移動時間として τ₁-τ₀=L/(C-V) を観測するのです。
 アインシュタインのように、軌跡の速度に光速度不変原理を適用すると移動時間は、
τ₁-τ₀=L/Cになってしまいます。
 電車の中の観測者も電車の外の観測者も静止系に対して速度Vで移動する運動系の観測者です。
 これは、運動系の観測者が、静止系の光の軌跡の速度を(C-V)として観測していることを示しています。
 また、運動系の観測者は、静止系と運動系の光を別のものとして観測していることになります。
 そして、運動系の観測者に対しては、光速度不変原理が存在しないことになります。


 アインシュタインは、著書「特殊及び一般相対性理論について」(金子務 訳 白揚社)の第9章 「同時性の相対性」において 電車の軌道堤に落ちた落雷を使用して 同時性の否定を行っています。
 電車の軌道堤のMより等距離(Lとする)離れたA・B点に、同時に落下した雷を使用し、速度Vで移動する観測者M’を使用して同時性の否定を行っています。

           

図-6
 説明は、著書の抜粋をします。
列車の中で点M’のところに座っている観測者がこの速度を持たないとすれば、Mにいつまでもとどまっていることになり、とすれば、落雷AとBからの光線が彼のところに同時に到達することになろう。すなわち、この二つの光線が彼のところに同時に到達することになろう。すなわち、この二つの光線は、ちょうど彼のところで出会うのである。しかし実際には(軌道堤から判断して)、彼はBからくる光に向かって急行していくのであるが、Aからの光よりも先行してその光に後ろから追いつかれるのである。したがって観測者は、Aからくる光よりも先にBからの光を認めるであろう。
列車を基準体としている観測者は、落雷Bが落雷Aよりも先に怒挺る、という結論になるに違いない。こうして、われわれは以下の重要な結論に達する。
軌道堤を基準として同時である事象は、列車を基準とすると同時ではない、そしてまた、逆も真である(同時性の相対性)

 この時、「列車を基準とする」を列車を基準とする事象(電車のA‘・B’に同時に落雷がある。)に変えれば、同時性があることになります
 私は、光速度不変原理は、軌道堤を移動する観測者(単独で移動する観測者も)が、ちょうどM’を通過すれば、光の速度をCとして観測し、A・B点は、等距離にあるから 観測者に同時に到達することだと思っていました。
 アインシュタインが考える光速度不変原理とは、軌跡の速度をCとすることのようです。
 この軌道堤の事例で 列車を静止系にし、座標変換するとアインシュタインの考え方の矛盾が明確になります。
 軌道堤の光は、運動系の時計の同期の光を並列に起き、同時に、光を照射した状態とみることができます。

           

                   図-7
 軌道堤の時刻t₀に同時に落雷があったとすると 軌道堤で両方の光は、同時刻のt₁でMに光が到達し、移動時間は、ともにL/Cになります。
 電車の観測者は、ピンクの線の軌跡を観測し、これに光速度不変原理を適用すると
  A'からの光の移動時間は、dt=L/(C-V)
  B'からの光の移動時間は、dt=L/(C+V)
となり、同じ時間になりません。
 また、軌道堤の移動距離もVL/(C-V)、VL/(C+V)となり軌道堤の一つの移動距離が、二つ存在することになります。
 運動系の同じ時間で同時に同じ地点に到達する事象が、静止系(電車)で観察される光の軌跡に、光速度不変原理を適用すると別々の時間に光が到達し、移動距離も二つ存在することになるのです
 これが、軌跡の速度に光速度不変原理を適用したときの明確な矛盾です。


 同時性の定義は、決められていませんが、私から見たら これらの事柄は偏った方法で同時性の否定が行われていると考えます。
 なぜ、アインシュタインは、光速度不変原理の否定につながるような考察をしてまで 同時性の否定をしなければならなかったのでしょうか。 
 それは、次の事柄への布石と考えられます。
 同時性があると距離によって時刻が変わるなどの現象が起きないのです。
 また、時空図で同時性があると同時刻線は、X軸に平行になるのです。
 同時性の否定は、論文の中で必要不可欠な事柄だったのです。


 私は、この理論展開(静止系の軌跡に光速度不変原理を適用する。)は、運動系の一つの時間が、無数に変化し、同時に光が到達しているのに、別々の時間に到達し移動距離も変化するなど矛盾をはらんだものと考えます。
 矛盾していませんか?
 疑問に感じるのは、私だけなのでしょうか?
 この軌跡の速度の誤認識により、時間の遅れが作られたのです。


 間違った考察から作られたローレンツ変換やミンコフスキー時空図には、必ず矛盾が生じるはずです。それについてみてみましょう 


 ローレンツ変換が正しい変換方法ならば、次のような現象は起きないと考えられます。
今、静止系に長さ1の完全剛体の棒があったとします。 棒が静止した状態なので棒のどの位置の時間も静止系の時間(X軸)に一致します。
時刻t₀に反対の端(原点の左方向)から棒と同じ質量の完全剛体の棒が、衝突したとすると 衝突した瞬間の棒の端の(t、x)は、(0.00‥‥1、1.00……1)となります。
t′=1/γ(t-(v/C²)ⅹ ですので1/γ≒1とするとt′≒ -(v/C²)になります。
 もう一端は、x=0なので時刻は-にはなりませんが、棒の長さと速度を大きくすればするほどこのマイナスが大きくなります。 時間がマイナスということは、時間が過去に逆戻りすることです。
 ローレンツ変換の矛盾を示す一つと考えています。


 次に、ミンコフスキー時空図で過去の時間になる例を見てみましょう。
 今、静止系に長さ2Lの完全剛体の棒があったとします。
 時刻0で 左方向から完全剛体の長さ2Lの同じ棒が速度Ⅴで衝突したとします。この時、棒の中心より光を棒の端に照射したとして この時のミンコフスキー図を作ります。

           

                   図-7
 棒が静止した状態の時間は、Ⅹ軸上に棒があるので0になります。
 棒が動き出した瞬間の運動系の時間は、Ⅹ´軸上の時間になり、赤の矢印部分は、時間がマイナスになっています。
 つまり衝突した瞬間に、時間がワープし、過去の時間になるのです。
 起こりえない事象の状態を示しているのです。


 以上のように、数々の矛盾を示しましたが、これが「特殊相対性理論の矛盾」なのです。
 ローレンツ変換も運動物体の時間の遅れや収縮など存在しないのです。


 次に、物理学者さんがこだわる「光の波動方程式が、ガリレイ変換で不変にならない」について考察してみましょう。
 前々回投降したブログ「光のドップラー効果について」(2022/12/11)で示したように静止系の光に対して移動する系では、ドップラー効果が生じます。
 ドップラー効果が発生すれば、時間当たりの波数が変化するので 元の光の波動方程式とは、波動方程式そのものが違ってきます。
 ドップラー効果が起きれば、波動方程式自体が変化するので、ガリレイ変換で不変であってはならないのです。
 また、ローレンツ変換では、不変になるようですが、ドップラー効果が生じれば、いかなる変換であっても不変になっては、おかしいのです。
 音に関しては、波動方程式で伝搬状態を表すことができます。そして、系の移動でドップラー効果が起きるので波動方程式は変化し、ガリレイ変換でも不変になりません。
 しかし、速度則は、ガリレイ変換で不変です。
 光に関してもドップラー効果が生じます。また、波動方程式もガリレイ変換で不変になりません。
 光の速度則は、どうなるのでしょう?


 ここまで考察をすると地球では、エーテル的なものが、地球とともに移動して
いるのではないかと思えてきます。
 「光のドップラー効果について」で紹介したフィーゾーの実験で、水の移動で光速度に変化があることがわかっていますが、この時、水ともに移動する観測者がいたら 観測者は、水の光速度をCwとして観測するのではないでしょうか。
 また、フィーゾーの実験では、空気の移動での速度の変化は、観測されませんでしたが、地球規模で見ると電離層やオゾン層などが、光速度の変化に影響しているのではないかと考えています。
 私は、大気を持たない月、隕石などの小惑星は、静止系を移動する棒に相当し、エーテル風的な影響を受けるのではないかと考えています。
 この事柄については、実験などで確認をする必要があります。


 私が思いついた実験について記載します。


1.月や小惑星でマイケルソン・モーリーが行った実験を行う。(全方位の光速度を測定する)
  エーテル風の影響があれば、イリジウムのような重金属で実験装置を遮蔽して実験を行う。
2.イリジウムのような重金属の箱で光速度測定装置を遮蔽し、箱ごと移動し、光速度の測定を行う。
  速度の変化があれば、箱を除いた状態で 光速度測定装置を移動し、
実験を行う。
3.2の実験を真空にした巨大な実験室の中で行う。


以上のような実験を考えましたが、アインシュタインの特殊相対性理論を否定
したので、今後、実験をし、確認をする必要があるように思われます。


 皆様のご意見・反論をお待ちしています。