物理学者の間違っている常識 (シリーズ4)

  マイケルソン・モーリーの実験結果と収縮理論
 マイケルソン・モーリーの実験結果は、「観測者が、移動していても、どの方向の光の速度も一定である。」との認識を持っている物理学者の方がほとんどのようです。
 しかし、移動する物体は収縮すると考えられているので、その状態で光速度を測定すると、移動方向の光速度は、常に、C±Vでなければ、マイケルソン・モーリーの実験結果が得られなくなるのです。


 収縮理論(説)が出た背景には、その当時,考えられていた光の媒質(エーテル)は固定していて、その中を地球が移動するので、このエーテルの影響(エーテル風 光速度がC±Vで測定される。)を受けると考えられていました。
 しかし、マイケルソン・モーリーの実験結果は、この考えを覆すもので、固定エーテル説を肯定するために、ローレンツらは、「移動する物体は、収縮する。」との考え方を打ち出し、マイケルソン・モーリーの実験結果と矛盾しない考え方を示したのです。
 移動する物体が、収縮していると、移動する観測者は、マイケルソン・モーリーの実験結果を得るためには、光速度を常に、C±Vで測定しなければならないのです。
 このように、マイケルソン・モーリーの実験結果は、方向性がない観測結果ですが、収縮理論(説)の中では、C±Vを観測した状態で、方向性がなくなるのです。
 この事柄は、アインシュタインが提唱した光速度不変原理に矛盾する結果です。自ら打ち出した原理を理論の展開の中で、矛盾する事柄を導き出しているのです。


 それでは、マイケルソン・モーリーの実験結果と収縮理論について考察してみましょう。
 マイケルソン・モーリーの実験装置は、図-1のような構造になっていて、aから出た光がbのガラスで二つの光路に分けられ、鏡で反射され戻ってきた光をfの望遠鏡で、干渉縞の移動量を測定して、光の方向性を調査したものです。
 この装置は、360度回転でき、22.5度ごとに、測定が行われました。 

              図-1(FN高校の物理より引用) 

 この装置を簡略にすると、図-2のように縦方向と横方向の装置を光が往復する光路の長さの差(時間差)で、干渉縞の変化を観測し、エーテル風の影響を調べようとしたものです。

          

                  図-2
 マイケルソン・モーリーの文献および解説書では、図-2に示すように、装置が移動した状態での考察を行っていました。
 私には、理解できないのですが、なぜ、装置が移動した状態を観測者が観察するのでしょうか?
 この状態は、絶対静止系から観測した状態です。この状態を考察しても、地上での観測とは、違う結果になることも考えられます。これについては、後述するとして、解説書に沿って、この状態の考察をします。
 縦方向の時間T₁は、
   T₁=2L/√(C²-V²)
 横方向の時間T₂は、
   T₂=2CL/(C²-V²)
となります。
 光路差ΔLは
ΔL(=2CL/(C²-V²)-2L/√(C²-V²)
になります。
 固定エーテルを考えていた物理学者が、この光路差ΔLが0になれば、エーテル風の影響があっても、マイケルソン・モーリーの実験結果が得られるという発想で、収縮の考えが生まれたのです。
 そこで、横方向のLを収縮させれば、光路差ΔL=0になるので、下記のような収縮の式を出しています。
Lm=L×√{1-(V/C)²}  Lm;動いているときの長さ  L;止まっているときの長さ
 収縮が起こっていれば、横方向の光速度をC±Vで観測しても、ΔLが0となり、方向性がない観測結果が得られるのです。
 逆に、収縮していると どの方向の速度も一定ならば、マイケルソン・モーリーの実験結果が得られなくなってしまうのです。


 前述しましたが、この考察は、絶対静止系から見た装置と光の状態です。地上で観察すると、装置は移動せずに、エーテルが移動するのです、その状態を考えてみましょう。
 まず、装置が絶対静止系に停止していると考えてください。
 装置のa点に対応した絶対静止系(固定エーテル)の位置をA点とし、装置のb点に対応した絶対静止系の位置をB点とします。光は、a(A)点を出て、b(B)点で反射され、A点に戻ります。

        

                        図-3
 次に、a点より光を照射すると同時に装置を速度Vで移動します。絶対静止系のA点とB点は、移動しませんから、A点を出た光は、B点で反射され、必ず、A点に戻ります。絶対静止系から見た状態は、装置だけが移動している状態です。(左図)
 この時の装置のずれは、測定できないほどにわずかなもので、観測結果に影響はないものと考えられます。
 この状態を地球で観測すると、A点とB点が平行移動し、光の軌跡は、三角形の斜辺として観測されますが、この斜辺の軌跡は、光行角差に相当するもので、実際の光路は、
A⇒B⇒Aなので、この時の光の移動距離は、2Lとなり、移動時間は2L/Cとなります。
 解説書もマイケルソン・モーリーも、この軌跡を光路として、考察を行っていたのです。
 当然の事柄ですが、ローレンツらが提唱した収縮率では、実験結果を説明することができなくなります。
 また、実験は、22.5度ごとに観測していますが、装置が、22.5度回転した状態の光の軌跡を光路(斜辺)とした光路差は、詳細には、計算していませんが、上述の値とは、違った値になると考えらます。

        

               図-4
 これらのことを考慮すると、収縮など起こらずに、どの方向の光速度もCと考えるのが妥当と私は考えます。


 移動する物体が収縮すると、移動する物体とともに移動する観測者は、移動方向の光速度を常に、C±Vとして観測しているのです。 
 アインシュタインが、提唱した、光速度不変原理は、自ら導いた収縮説で、光速度不変原理に矛盾を生じる結果を導いてしまっているのです。


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