物理学者の間違っている常識 (新シリーズー1)

(「特殊相対性理論の矛盾」に関しては、新たな知見を加え、非常にわかりやすく最新版のブログ『20世紀最大の物理学者の過ち』(2019/08/03)https://yoko3210go.muragon.com/entry/68.htmlにまとめてあります。
 なぜ、「波動方程式は、ガリレイ変換で、不変でないのか。」(ドップラー効果で、振動数と移動速度が変化している。)など、矛盾の本質を突いたまとめを行っています。
 上記ブログを読んでいただければ、よく理解いただけると考えておりますので、このブログよりも先に、上記ブログを読んでいただいたほうが、矛盾が明確になると考えられます。)


     運動する物体は、運動系ではない
 皆さんは、運動する物体は、「運動系」と考えている方がいると思います。私も最初は、「運動系」と考えていました。
 アインシュタインは、「特殊及び一般相対性理論について」(1916年)の著書の中で、座標系とガリレイ座標系について言及しています。
 アインシュタインの考え方では、棒や電車(剛体)に固着した座標軸を考え、この剛体が等速度で、直線的に移動していると、固着した座標軸をガリレイ座標系としています。
 この考え方は、同時性の否定で使った棒や、ミンコフスキー図の説明で使われた点の移動でも使われています。
 棒や点とともに移動する観測者がいると別の系の扱いになっているのです。 
 しかし、下記のような考察をすると、運動する物体や棒・点に座標軸をつけても、完全なガリレイ座標系には、ならないのです。
 それでは、このことについて考察してみましょう。
 地上(空気の存在下)を 棒を乗せた枠だけでできた電車と密閉された普通の電車が、速度Vで移動しているとします。

         

                図-1
 各電車の室内の観測者が、ボールを自然落下させると、図-1に示すように、枠だけでできた電車では、ボールが、放物線を描いて落下します。
 一方、普通の電車では、ボールは、観測者の足元に垂直に落下します。
 地上(軌道堤)にいる観測者が、ボールを落下させると、観測者の足元に垂直に落下します。
 地上と同じ運動法則になっているのは、普通の電車の室内のみです。
 普通の電車の室内だけが、ガリレイ座標空間なのです。
 普通の電車の窓から手を外に出し、ボールを落下させると、ボールが、放物線を描いて落下します。
 普通の電車の窓の外や、枠だけでできた電車や棒の周りの空間は、静止系の空間なのです。
 枠だけでできた電車や、棒に座標軸をつけても、周りの空間は、ガリレイ座標系にはならないのです。
 ガリレイ座標空間は、限られた範囲(密閉された室内)でしか存在しないのです。
 枠だけでできた電車の観測者が、静止系の空間の事象を観測すると、普通の電車に乗っている観測者と同じ事象を観測します。
 また、枠だけでできた電車が金属でできていたとして、この金属を伝わる振動(音)や熱の伝搬速度は、普通の電車の室内に置かれた金属と同じ伝搬速度になります。
 しかし、枠や棒だけで、周りの空間は、静止系の空間なのです。
 その観点からは、枠だけでできた電車は、疑似的な運動系といえるかもしれません。
 今の議論は、空気存在下の議論でしたが、真空中のガリレイ座標空間の関係と空気存在下のガリレイ座標空間の法則は、同じと考えられるので、この法則は、すべてのガリレイ座標系に適用できると考えられます。
 アインシュタインは、論文「運動物体の電気力学」(1905年)の中で、移動する点や棒と光を使用した思考実験で、同時性の否定や、ミンコフスキー図の作成を行っていますが、棒や点の周りの空間を運動系にして理論を構築しているのです。
 棒や点の周りは、静止系ですから、静止系の光を観測していることになり、静止系の観測者と移動する観測者が、同時に同じ静止系の光を観測していることになります。
 当然のことながら構築された理論には、矛盾があるはずです。
 この事柄を同時性の否定で使用された「時計の同期」を利用して検証してみましょう。
 アインシュタインは、「運動物体の電気力学」の中で 静止系を速度Vで移動する棒の両端に、静止系で同期した時計と観測者をつけ、静止系に光速度不変原理を適用して、時計の同期を行い、その時の時間を測定し、同期できないことから、同時性の否定を行っています。

         

                  図-2
 この状態で、棒とともに移動する観測者を運動系にしているのです。
 波動方程式が、ガリレイ変換で不変でないことから、真空系では、一つの波動方程式で表すことができるという考え方もできますが、その議論は、後のシリーズで議論することにし、運動系と静止系の観測者が観測する光の状態を見てみましょう。
 静止系と運動系が、明確になっていないので、移動する電車に棒を固定し、運動系と静止系を明確にした状態で、考察してみましょう。
 光は、静止系に光速度不変原理を適用しているので、静止系の光とします。

         

                 図-3
 時刻T₀(τ₀)で電車を速度Vで移動し、A点に対応したXa点より 光をB点に対応したXb点に向けて照射し、時刻T₁(τ₁)でB点に対応したXb₁に光が到達し、鏡で反射されて、時刻T₂(τ₂)でA点に対応した点に戻ったとします。
 この時、移動する観測者S・Tが観測する光の軌跡(別の系の光)と静止系の位置の状態を図-4・5に示します。
 観測者S・Tが観測するとS・Tがいた運動系が静止系になり、Pがいた静止系が運動系になります。

         

                 図-4
 図-4をまとめると図-5になります。

        

                 図-5
 観測者S・Tが、観測した場合、移動する観測者が静止し、周りの空間が移動することになります。(今まで、私は、この光の観測結果を間違えて観測していました。皆さんに多大な混乱を与えたかもしれず、前ブログをすべて撤去しようと考えましたが、他に重要な事柄も記載されているので、その部分のまとめ直しが済むまで、あえて、撤去をしないでおきます。)
 この時、移動する観測者S・Tが観測する光の軌跡の移動時間を見てみましょう。S・Tは、図-5の光の軌跡の状態を観測しているので、アインシュタインと同じように、光速度不変原理を適用すると、
  Δτ₁=τ₁-τ₀=L/C
  Δτ₂=τ₂-τ₁=L/C
を観測し、時計が同期しているのを観測します。(実際には、この時間を観測しないのですが、これについては、シリーズ2で説明します。)
 アインシュタインは、移動する観測者が観測する時間を
  Δτ₁=τ₁-τ₀=L/(C―V)
  Δτ₂=τ₂-τ₁=L/(C+V)
として計算しています。アインシュタインの結論と矛盾する結果が得られました。
 では、観測者Pが観測する光と電車の移動状態を見てみましょう。

         

                  図-6
 静止した観測者Pが観測する光の移動時間は、光速度不変原理を適用すると、
  Δt₁=t₁-t₀=L/(C―V)
  Δt₂=t₂-t₁=L/(C+V)
を観測し、時計が同期していないことを観測します。
 アインシュタインが、運動する観測者が観測する時間としたのは、この静止系の観測者Pが観測した時間だったのです。 静止系で観測した事柄と運動系で観測した事柄を混同したために、起こった現象です。
 アインシュタインは、静止系の観測者Pの観測時間を使用して、同時性の否定を行っていたのです。
 移動する棒の周りの空間を運動系として取り扱った時点で、運動系の事象と静止系の事象の区別ができなくなり、このような間違いを犯してしまったのです。
 静止系の事象と運動系の事象を明確にし、次のような考察をすると、特殊相対性理論の矛盾が明確になります。それでは、見てみましょう。
 移動する棒の同期を行うときに、同時に、静止した棒の同期を行い、その状態を見てみましょう。

          

                  図-7
 観測者S・Tが観測する光の軌跡は図-8のようになります。

         

                  図-8
 観測者S・Tが観測する棒CDを移動する光の移動時間は、
  Δτ₁=τ₁-τ₀=L/(C+V)
  Δτ₂=τ₂-τ₁=L/(C-V)
を観測します。
 観測者O・Pが観測する光の状態を図-9に示します。

         

                  図-9
 観測者O・Pが観測する棒CDを光が往復する時間は、2L/Cです。
 各観測者が観測する棒ABと棒CDを光が往復する時間を比較してみましょう。これを表―1にまとめます。        
           表―1 棒を光が往復する時間

   

 棒ABに関しては、
  S・Tの観測時間 2L/C  O・Pの観測時間 2LC/(C²-V²)
になります。棒C・Dに関しては、
  S・Tの観測時間 2LC/(C²-V²)  O・Pの観測時間 2L/C 
となり、棒ABに関しては、S・T(電車)の時間が遅れ、棒CDに関しては、S・Tの時間が進むという矛盾した結果が得られます。
 電車の時間が、ともに遅れるのならば、納得できますが、ちぐはぐな結果が得られているのです。このようなことは、物理の現象では、絶対に起こりません。
 これが、「系の錯誤」と「他の系の光に光速度不変原理を適用」による矛盾を明確に示した事柄です。
 このように、「特殊相対性理論」は、系の錯誤と他の系の光にも光速度不変原理を適用して構築されています。
 私が、今まで主張していた事柄は、この事柄を見ていただければ、納得していただけるものと思います。
 「特殊相対性理論」は、虚構の理論なのです。
 この矛盾の原因については、シリーズ2以降で 明確にしていきます。


 皆様のご意見・質問・反論等をお待ちしております。