物理学者の間違っている常識 (新シリーズ-2)

     二つの光速度(光路の光と軌跡の光


 シリーズ1で 棒とともに、移動する観測者も長さLの棒の同期ができることや観測する時間の矛盾を指摘しました。
 ここでは、静止系と運動系を明確にし、光には、光路の光と軌跡の光があることの説明を行います。
 シリーズ1でも記載しましたが、静止系の光で、移動する棒ABの同期を行うときに、同時に、静止した棒CDの同期を行い、その状態を再度、見てみましょう。

          

                  図-1
 観測者S・Tが観測する光の軌跡は図-2のようになります。観測者S・Tが観測した場合、S・Tがいる系が静止系になります。

         

                  図-2
 観測者S・Tが観測する棒ABを移動する光の往復の時間は、光速度不変原理を適用すると、
  Δτ₁=τ₁-τ₀=L/C
  Δτ₂=τ₂-τ₁=L/C
  Δτ=2L/C
を観測し、時計の同期ができ、「アインシュタインの論文選 軌跡の年の5論文」(ちくま学芸文庫 青木 薫 訳)の「運動物体の電気力学」p257~260に記載された時間とは違う時間を観測します。〔「アインシュタイン相対性理論」(岩波文庫 内山龍雄 訳・解説では、p20~24)〕
 また、棒CDを移動する光の往復の時間は、
  Δτ₁=τ₁-τ₀=L-VΔτ₁/C=L/(C+V)
  Δτ₂=τ₂-τ₁=L+VΔτ₁/C=L/(C-V)
  Δτ=2LC/(C²-V²)
を観測します。
 観測者O・Pが観測する光の状態を図-3に示します。

         

                  図-3
 観測者O・Pが観測する棒ABを光が往復する時間は、
  Δt₁=t₁-t₀=L/(C-V)
  Δt₂=t₂-t₁=L/(C+V)
  Δt=2LC/(C²-V²)
を観測します。
 棒CDを光が往復する時間は、
  Δt₁=t₁-t₀=L/C
  Δt₂=t₂-t₁=L/C
  Δt=2L/C
を観測します。
 アインシュタインが、「運動物体の電気力学」の同時性の否定で、棒とともに移動する観測者(S・T)が観測する時間としたのは、静止した観測者(O・P)が観測した時間を使用して、同時性の否定を行っていたのです。
 各観測者が観測する棒ABと棒CDを光が往復する時間を比較してみましょう。これを表―1にまとめます。


              表―1 棒を光が往復する時間

   

 棒ABに関しては、
  S・Tの観測時間 2L/C  O・Pの観測時間 2LC/(C²-V²)
になります。棒C・Dに関しては、
  S・Tの観測時間 2LC/(C²-V²)  O・Pの観測時間 2L/C
となり、同時に観測しているのに、棒ABに関しては、電車(S・T)の時間が遅れ、棒CDに関しては、電車の時間が進むという矛盾した結果が得られます。
 電車の時間が、ともに遅れるのならば、納得できますが、ちぐはぐな結果が得られているのです。このようなことは、物理の現象では、絶対に起こりません。
 これが、「系の錯誤」と「他の系の光に光速度不変原理を適用」による「特殊相対性理論」の矛盾を明確に示した事柄です。
 これは、光の軌跡の速度の観測方法に問題があるから生じた現象と考えられます。光の軌跡(違う系の光)に光速度不変原理を適用したために起こった現象と考えられます。


 では、静止系の光と運動系の光についてみてみましょう。静止系の光と運動系の光を明確にするために移動する電車と止まっている電車を使用します。
 静止系に長さLの棒ABを乗せた電車とその電車に平行にもう1台の電車が停止しています。
 棒の両端と別の電車には、静止系で同期し、時刻合わせした時計を設置します。
 時刻t₀(τ₀)で、棒を乗せた電車の棒のAB間に光を往復させ、時計の同期を行います。時刻t₁で光がB点に到達し、鏡で反射され、時刻t₂でB点に戻ったとします。
 この時、もう一台の電車は時刻τ₀で、速度Vで矢印方向に移動し、同じ時刻に、A点に対応したXa点からB点に対応したXb点に向けて光を照射し、移動した棒のB点に対応したXb₁点に到達したとき、鏡で反射され、移動した棒のA点に対応したXA₂に光が戻ったとします。(動いている電車の光で棒ABの同期をしたと考えてください。)


         

                  図-4
 移動した電車に乗っている観測者Pは、次の図のような光路の光と光の軌跡(違う系の光)を観測します。(Pが観測するということは、Pが静止系になります。)

         

                   図-5
 観測者Pは、光路の光(Pがいる系の光)の移動時間を
  Δτ₁=τ₁-τ₀=(L+VΔτ)/C=L/(C-V)
  Δτ₂=τ₂-τ₁=(L-VΔτ)/C=L/(C+V)
として観測します。
 Pがいる光路の光(系の光)ですから光の移動距離を光速度Cで割ることに問題は、ないと考えられます。
 M・Nがいる系の光の軌跡の速度を 光速度不変原理を適用して、Cとして計算すると、表―1のような矛盾が生じていると考えられるので、軌跡(違う系の光)の速度は、C以外の速度が考えられます。
 アインシュタインが、違う系の光速度について言及している著書があるので、それを見てみましょう。
 アインシュタインは、「特殊及び一般相対性理論について」(白揚社 金子務 訳 1916年 p32~35)の中で相対速度について記述しています。また、p40~43の「同時性の相対性」で移動する観測者が観測する光の状態を記述しています。
 「同時性の相対性」については、皆さんで見ていただくことにし、「相対速度」についてみてみましょう。
 軌道堤に沿って速度Vで移動する電車と軌道堤に沿って移動する光から 列車に対する光の速度Wを求めています。(図-6)
  W=C-V
 この速度は、列車に乗っている観測者Oに対する速度にもなります。
 また、当然のことながら、Pに対する光速度はCです。

          

                  図-6
 移動する観測者Oが観測したら、どうなるのでしょう。Oが観測すると、Oが乗っている電車が、停止した状態になります。

          

                  図-7
 観測者Oが観測するときは、列車が静止系になり、軌道堤が運動系になります。
 Oが観測する光は、軌道堤の光ですから、相対速度Wは、変化しないはずです。
  W=C-V
となり、観測者Oに対して、Vで移動する系の光速度は、Cにならないことになります。
「光速度不変原理を適用する」するということは、この相対速度をCにして、理論展開を行うことになるのです。
 では、Pが観測する軌跡の速度の算出を図-5の状態で行ってみましょう。

        

                   図-5
 運動系(M・Nの系)の軌跡の速度をX・Yとおくと
  Δτ₁=τ₁-τ₀=(L+VΔτ₁)/X
  Δτ₂=τ₂-τ₁=(L―VΔτ₂)/Y
  X=L/Δτ₁+V
  Y=L/Δτ₂-V
となり、軌跡の速度は、Cではなく、移動速度に依存した速度である事が判ります。
 観測者M・Nが乗っている電車は、図-4に示したように、もともとは、静止系に静止した状態です。観測者M・Nが観測する光の状態を見てみましょう。

        

                  図-8
 この状態で静止系の光(S・Tがいる系)で棒ABの同期を行えば、観測者M・Nは、
  Δt₁=Δt₂=L/C
の時間を観測し、時計の同期はできます。
 観測者M・Nが観測するL/Cの時間に対して、観測者Pが、二つの時間として観測する事は、絶対あり得ないので、Δτ₁=Δτ₂となります。
 軌跡の速度は、
  X=L/Δτ+V
  Y=L/Δτ-V
となり、光の軌跡の速度は、Cではなく、移動速度の影響を受ける事が判りました。
 L/Δτの値として考えられ数値は、CやC±αなどが考えられますが、Cとして、静止系で観測される光の移動時間を算出してみましょう。
  Δτ=τ₁-τ₀=(L+VΔτ)/(C+V)=L/C 
  Δτ=τ₂-τ₁=(L-VΔτ)/(C-V)=L/C
となり、観測者Pと観測者M・Nは、同じ時間を観測し、時計の同期ができることになります。
 シリーズ1で観測者M・Nが観測する棒ABを移動するPの系の光の移動時間を光速度不変原理を適用して、L/Cにしました。(図-2)
 しかし、観測者M・Nが観測するPの系の光の軌跡にも速度の影響を考えなければならないのです。
 観測者Pは、棒ABの光の移動時間を(図-3の状態)
  Δτ₁=τ₁-τ₀=(L+VΔτ)/C=L/(C-V)
  Δτ₂=τ₂-τ₁=(L-VΔτ)/C=L/(C+V)
として観測します。
 観測者Pが観測する二つの時間を M・Nが一つの時間として観測する事などありえません。
 軌跡の速度で計算してみましょう。
  Δt₁=t₁-t₀=L/(C-V)
  Δt₂=t₂-t₁=L/(C+V)
となり、M・NもPと同じ時間を観測するのです。
 表―1を軌跡の速度で再計算して書き直してみましょう。


          表―2 棒を光が往復する時間

 

 このように考察すると、ガリレイ座標間で時間の遅れもなく、同時性もある事が判ります。
 また、軌跡の速度は、アインシュタインが考察した、相対速度に合致します。
 光速度不変原理を適用するということは、軌跡の速度(相対速度)をCとして扱うことになるのです。
 このように考察すると、光速度には、光路の光速度Cと軌跡の速度(C±V)の二つがある事が判ります。
 皆さんが、夜空に、非常に高速度で移動する流れ星を見たときに、観測されるものが、光だから、「流れ星の移動速度はCである。」としますか?
 別の系の光の軌跡は、流れ星に相当するもので、光そのものを直接的には、観測していないのです。
 静止系に「光速度不変原理を適用する。」ということは、別の系の光の軌跡の速度(相対速度)をCにするという意味合いがあります。
 確かに、光速度は、真空系で不変です。これが適用できるのは、真空系の同じ系の光路の光のみで、他の系の光の軌跡には、適用できないのです。


 「特殊相対性理論」は、系の誤認識と相対速度に高速度不変原理を適用して、構築されています。
 当然のことながら、構築された理論は、虚構の理論なのです。


 特殊相対性理論で光速度不変原理を適用した背景には、「波動方程式がガリレイ変換で不変でないこと」と「マイケルソン・モーリの実験結果」が大きくかかわっていると考えられます。
 これらについては、次のシリーズ以降で考察していきます。


 皆様のご意見・質問・反論等をお待ちしております。


[蛇 足]
 このシリーズ2の最初に記載しようとした事柄は、光時計の矛盾に関する事でした。
 しかし、皆さんを納得させるには、シリーズ1で記載した内容だと考え、あえて同じ内容のものを記載しました。
 光の考察の仕方が分かった方は、光時計の矛盾もご理解いただけると考え、蛇足ですが、ここに乗せたいと思います。
 ここで、説明した矛盾は、光時計の時間の進み方でも見ることができます。光時計の矛盾を見てみましょう。
 絶対静止系に長さLの光時計 ABを静止した電車に図のように設置します。
光時計の表示部をA・Bに設置します。この表示部のAとBは、静止系の観測者Oが観測すると常に、同じ時刻を示します。

          

                  図-9
 今、時刻t₀=0でAより光を照射し、光時計を作動させます。時刻t₁=L/Cで光はBに到達し、時刻t₂=2L/CでA点に戻ります。さらに、時刻t₃・t₄・t₅‥‥‥と時間の経過とともに、A・B点に光が到達したときの光時計のA点の時刻表示は、L/Cの倍数となり、直線的な時間の経過を観測します。
  t₁-t₀=L/C
  t₂-t₀=2L/C
  t₃-t₀=2L/C


 この時、速度Vで移動する電車に乗っている観測者Pが、持っているA点の光時計と同期し、時刻合わせした時計の表示と光時計の光の移動時間を観測しました。Pが観測するということは、Pが乗っている電車が静止し、Oが乗っている電車が動いていることになり、Pが静止系になります。
 この時、観測者Pが観測するt₁・t₂‥‥に対応した光の移動時間をτ₁・τ₂‥‥とすると
  τ₁-τ₀=L/(C-V)
  τ₂-τ₀=L/(C-V)+L/(C+V)=2L/(C²-V²)
  τ₃-τ₀=2L/(C-V)+L/(C+V)=2L/(C²-V²)+L/(C-V)
  τ₄-τ₀=4L/(C²-V²)
を観測し、ジグザグな時間の推移を観測します。
 A点に垂直に時刻合わせした光時計ACを追加してみましょう。

           

                  図-10
 観測者Oは、全ての時計の表示が、同じで直線的に、推移しているのを観測します。
 一方観測者Pは、光時計ACの時間を光時計ABと違うものを観測します。
  τ₁-τ₀=L/√(C²-V²)
  τ₂-τ₀=2L/√(C²-V²)
  τ₃-τ₀=3L/√(C²-V²)
  τ₄-τ₀=4L/√(C²-V²)
 このACの時計の時間は、直線的な時間の推移を観測します。
 A点に、角度の違う光時計を追加すると観測者Pは、AB・ACの光時計とは違うジグザグの時間の推移を観測します。
 A点に置く光時計により、観測者Pが観測するA点に光が戻る時間が変化し、また、考えられないジグザグな時間の推移が起きてしまうのです。
 静止系では、光時計は、正確かもしれませんが、このような考察をすると 違う系(移動する)の観測者には、正確な時刻を刻む時計とはならならず、矛盾だらけの時間の推移を観測するのです。
 ジグザグな時間の推移の時間は、L/(C+V) < L/C < L/(C-V)なので、観測者Oが観測しているL/Cの時間に対して、観測者Pは、時間が進んだ状態と遅れた状態を交互に観測するのです。
 光時計の角度を変えると時間が変わり、A点に光が戻る時間も全ての角度で変化します。
 Oが観測する一つの時間に対して、光時計の角度により、Pは、無数の時間を観測できることになります。
 観測される時間が、一つで、直線的に推移するならば、理解できますが、観測される時間が、無限にあり、直線的な推移をしないことに矛盾を感じない科学者は、いないと思います。
 また、観測者Pの移動方向が逆になると違う時間を観測します。
 この状態をグラフで見てみましょう。

   

               図-11
   (この図は、時間の違いが明確になるように、移動速度を10万Km
    にして作成しています)
 縦方向の光時計に関しては、観測者Pの移動方向に関係なく、直線的な時間を観測します。

          

                図-12
 このように、観測者Oが観測する一つのA点の時刻(時間)に対して、光時計の角度や、進む方向により、Pは、いろいろ変化した時刻を観測するのです。A点に複数の光時計を置くと、その数だけの時刻をPは、観測することになります。
 A点のある時刻に、フラッシュを一度点灯すると、Pは、何回もフラッシュの点灯を見ることができることになるのです。
 このようなことは、絶対に起こるはずはありません。
 光時計の角度を変えたときに、A点に光が戻る時間が変化することに着目すれば、光の考察の矛盾は、お分かりいただけると考えます。
 これが他の系の光の軌跡に、光速度不変原理を適用し、軌跡の速度をCとしたことにより起こる現象です。


 皆様のご意見・質問・反論等をお待ちしております。