アインシュタインの論文の座標変換における同一地点の時刻の不一致

 アインシュタインの「ローレンツ変換・特殊相対性理論」等の考え方は、1905年の論文「運動物体の電気力学」や1916年に出版された著書「特殊および一般相対性理論について」に詳細に記載されています。
 そこでは、古典的な物理法則と光速度不変原理を使用し、棒や電車及び光の挙動から、ガリレイ座標系間の同時性の否定をし、系の座標変換に光速度不変原理を適用し、算出した光の移動時間からローレンツ因子を算出し、特殊相対性理論の根幹部分を論じています。
 ここでは、ローレンツ因子算出までのアインシュタインの思考実験において 彼は、静止系で観察される運動系の光の移動時間を軌跡の移動距離と光速度不変原理で出し、論文の中で座標変換をする際に、静止系で観測される時間を時刻に置き換え、ローレンツ因子を算出しています。
 しかし、横方向以外の光では、この時刻の矛盾が生じることがわかりました。
 運動系では、等距離に、光を照射し、原点に光が戻ったときの時刻は、同一です。
 しかし、アインシュタインの思考方法では、光の方向により、光が原点に戻ったときの原点の時刻がバラバラになるのです。
 時間(光)の観察方法があっていれば、他の光での時刻の矛盾など起きません。
 この事柄については、アインシュタインも多くの物理学者も認識していないと考えられます。
 実体がわかると100年以上にわたり、聡明な物理学者の皆さんが、なぜ、こんな理論を信じていたか不思議に感じます。
 ここでは、図を多用し、誰でも理解できるように、アインシュタインの考え方の矛盾を示し、ローレンツ変換・特殊相対性理論の否定を行います。


1.座標変換における時刻の不一致
 1905年の論文「運動物体の電気力学」(アインシュタイン論文選 「奇跡の年」の5論文 青木薫 訳 ちくま学芸文庫P261~263)の中で運動系kで起こった出来事の場所と時刻を指定する値ε,η,ζ,τに対して、静止系Kを指定する値x,y,z,tとを関係づける連立方程式を求め、座標変換をしようとしています。
 x´=x-Vtと置き、時刻τ₀にk系の原点からX軸に沿って放出された光線がx´に向かい、時刻τ₁にx´で反射されて原点に向かい、時刻τ₂に原点に戻った時、
  1/2(τ₀+τ₂)=τ₁  ‥‥‥‥‥(1)
がなりたたなければならないとし、関数τの式に、引数を入れ、静止系で光速度一定原理を用い、
 1/2[τ(0,0,0,t)+τ(0,0,0,{t+x´/(C-v)+x´/(C+v)})]=τ[(x´,0,0,t+x´/(C-v)] ‥‥‥‥(2)
を求めています。
ここで、
  x´/(C-v)は、x´に光が到達する時間
  x´/(C+v)は、原点に光が戻る時間
 時間を時刻に置き換えている。
 そして、この式を展開して、ローレンツ因子を求めています。


 この時、アインシュタインは、運動系と静止系の光をどのように考察しているのでしょうか?

          

                  図-1
 アインシュタインは、静止系で観測され図-1のピンク色の光の軌跡を光そのものとして考察しています。
 運動系の赤色の光は、考えていないと思われます。
 そして、静止系に光速度不変原理を適用し、この軌跡から静止系での光の移動距離より時間を
  CΔt=x´ +VΔt  Δt=x´/(C-V)
  CΔt=x´-VΔt  Δt=x´/(C+V)
と算出し、時刻の式に代入しています。
 この座標変換の時刻部分だけを取り出すと原点に光が戻った時刻は、
 τ₂=x´/(C+V)+x´/(C-V)=2x´C/(C²-V²)
となります。
 座標変換ということで変換がやりやすいように、X軸上の光に着目していますが、他の光が、原点に光が戻ったとき、同じτ₂になるかを見てみましょう。

          

                  図-2
 図ー2の運動系の原点から等距離Lにある縦方向と横方向の地点を往復する光で調べてみましょう。
 当然のことながら、運動系の等距離に照射した光は、同じ時刻に原点に戻ってきます。
 アインシュタインの考察方法では、静止系で観測される軌跡は図-3のようになり、これに光速度不変原理を適用し、ピンクの軌跡の速度をCとしています。

          

                  図-3
 アインシュタインの移動時間の考察が、正しければ、原点に戻る時刻は、同じになるはずです。x´=Lとして算出してみましょう。
 横方向の光が、原点に戻る時刻は、上述の
 τ₂=x´/(C+V)+x´/(C-V)=2LC/(C²-V²)
となり、縦方向の光が、原点に戻る時刻は、
 τ₂=2L/√(C²-V²)
となり、原点に光が戻る時刻が一致しません。

           

                   図-4
 角度を変えると横方向以外、時刻は一致せず、それぞれバラバラな時刻になります。
 この不一致は、静止系で観測される光の軌跡(虚像)を光とみなし、光速度不変原理を適用し、軌跡の速度をCにしたことに起因していると考えられます。
 運動系の光の静止系での移動時間の考察を間違ったから出てきた矛盾です。
 間違った時間(時刻)を使ってローレンツ因子は、算出されたのです。


 アインシュタインの考えや物理学者さんの中には、当時考えられていた固定エーテルの考え方があるように思われます。
 固定エーテル説は、光の媒体が、宇宙に固定されていて地球は、その中を移動し、移動方向の光は、エーテル風の影響でC±Vになるという考え方です。

           

                    図-5
 地球上で図の赤のような光を照射した場合、光は、固定エーテルを進み、ピンク色の線の光になり、地上の移動距離とは違い、到達時間の違いが生じます。
 固定エーテル下では、左のピンクの光の移動距離は、赤の光の距離をLとするとL+VΔt、右側の距離は、L-VΔtとなります。
 先に、光が、左側に届き、次に上、そして最後に右側に光が届くはずでした。
 しかし、当時行われたマイケルソン・モーリーの実験結果や地球での光速度の測定結果は、この固定エーテル説を否定する結果だったのです。
 これらの実験結果は、固定エーテルの光が、同じ時間(時刻に)で左右に同時に到達し、左方の光は、L-VΔt移動し、右の光は、L+VΔt移動したことになります。
 座標変換でのピンクの軌跡を固定エーテルの光と考えると固定エーテル説に沿った考え方になります。
 アインシュタインは、時間の不一致を時刻の違いにすり替え、固定エーテル説も包含できる考え方として 上述の思考実験を考えたのではないでしょうか?
 運動系の光の考察などとしないで、固定エーテルを考えた光の考察にすれば、問題はないのですが、運動系の光を静止系に反映することを考えた場合、見方が変わるのです。
 縦横の光の時刻の不一致は、アインシュタインの時間の考察方法に問題があったから生じた事柄です。
 この時の時間の考察により、時間の遅れや収縮などの要素が作られていたのです。
 静止系の矛盾した時間を使ってローレンツ変換という手法で 運動系のゆがみにしているのです。


2.運動系と静止系の光
 運動系を移動する光が、静止系でどのように見えるかを観察してみましょう。
 観察する際に、長さx’₁(L)のライトを図-2のように置いてみましょう。
          

                  図-6
 静止系では、ライトの棒の光は、Ox’₁の長い光の虚像として観測されます。
 ライトの棒の長さは、VΔt+Lになります
 この時、VΔt+Lの長さのピンクの光の軌跡は、光そのものですか?
 これを光と認識することは、移動するライトの長さをVΔt+Lとする行為と同じです。


 運動系の右方向の光の移動状態を明確にするために、別の考察を行ってみましょう。
 運動系を電車にし、運動系の電車の移動方向と逆に、電車の移動速度Vで移動する観測者Qを乗せます。
 そして、静止系と運動系は、表裏一体なので電車を静止系にして観察します。  

         

                  図-7
 最初、O・P・Qは、Z・Z’軸上に、いるとします。
 観測者Oのみ静止しているとします。 
 電車の中をVで移動する観測者Qは、Pと同じ動きをしているので、静止系の観測者Pと同じ観測をすると考えられます。
 電車の中の観測者Qは、電車の光が存在しないところに移動しています。
 そして、Pと同じように、O’から光が出ているように観察します。
 光の存在しないところに光?
 光をボールに替えてみると明確になりますが、P・Qが観察しているのは、光の虚像なのです。
 光に、光速度不変原理を適用するならばわかりますが、虚像に光速度不変原理を適用?!
 これが、特殊相対性理論の根幹部分の間違いなのです。


3 移動する電車の光
 運動系の光は、虚像であることを明確にするために、少し電車の光を考察してみましょう。
 速度Vで移動する電車のO地点からaに光を照射したとします。
 この時、Oa間に設置したライトを光が通過した瞬間に点灯させます。

   

                  図-8
 地上の観測者Pは、右図のような光の軌跡を観測します。
 ライトは、移動していないにもかかわらず、Pは、横軸に平行な光の軌跡(虚像)を観察します。
 アインシュタインの考え方は、この軌跡の速度に光速度不変原理を適用しているのです。
 では、横方向の光の移動についても考察してみましょう。

          

                   図-9
 速度Vで移動する電車のOb間にライトを設置し、Oからbに光を照射したときに、各ライトの場所を光が通過する瞬間に、ライトを点滅します。
 このライトの光は、移動していないにもかかわらず、電車の移動によって、図-9のように見えます。
 これは、静止系の観測結果は、静止系のある特定の位置で、ある瞬間、ライトが点滅したことを示しているにすぎません。
 瞬間点灯したライトの光は、移動していないにもかかわらず、地上の観測者から見ると速度Vで移動しているように見えるのです。


 軌跡の生成速度を見てみましょう
 電車の光が距離L移動するのに要する時間をΔtとすると
 光がΔt/2進んだ時

        

                図-10
 電車の左側の軌跡の長さは、VΔt/2となり、
 右側の長さは、CΔt/2となります。
 光がL進んだ時

        

                 図-11
 電車の左側の軌跡の長さは、VΔtとなり、
 右側の長さは、CΔtとなります。
 電車の移動速度を2倍にすると

        

                 図-12
 電車の左側の軌跡の長さは、2VΔtとなり、
 右側の長さは、CΔtとなります。
 軌跡の生成速度(長さ)は、 (V+C)Δtや(2V+C)Δtになります。
 アインシュタインは、生成速度が(V+C)Δtの軌跡の速度をCにして ローレンツ因子算出の思考実験を行ったのです。
 普通の物理則のように速度を加味した光速度の考察をすれば、
 図-3の縦横の光が原点に戻る時間は、
 τ₂=2L/C
と同じ時刻に戻ります。
 運動系と静止系の時刻・時間は、一致するのです。


 次に、静止系の観測者が、観測する光についてみてみましょう。 

        

                 図-13
 電車の光を静止系の観測者Pが観測するとき、横方向の光を直接観測することはありません。すべて自分に向かってくる光として観測します。
 自分に向かってくる光は、光速度はCですが、電車の中の速度は計測したことはありません。
 電車の中の光速度がCであっても地上で観測する軌跡は、光そのものではないので 決して光速度Cなどにならないのです。


3.運動系の光は、静止系の光とは違う光
 アインシュタインは、著書「特殊および一般相対性理論について」(金子務 訳 白揚社 P40~43)の中で軌道堤に落ちた雷の光と速度Vで移動する列車を使用して同時性の否定をしています。

    

                  図-14
 軌道堤上の同時刻に、A・B点に、落雷があったとします。
 A・B点の中間点Mにいる観測者は、落雷の光が、同時にMに到達するのを観測します。
 一方、落雷があった瞬間に、電車のM’にいた観測者は、Bの光に向かい、Aの光からは、遠ざかっているので M’には同時に光が届かないとして系間の同時性の否定を行っています。
 アインシュタインは、光速度不変原理により、運動系の光を静止系の光と同じものとして扱い、同時性の否定をしています。
 光を音に置き換えればわかりますが、伝搬速度が同じだから地上の観測をしても電車での観測もしないと事実は分からないのです。
 この時、電車の中のA’・B’点にも光を照射し、また電車の中に、進行方向とは、逆に、電車の速度と同じ速度Vで移動する観測者Qを増やし、光の観察をしてみましょう。

         

                  図-15
 静止系の観察事項と運動系の観察事項は、表裏一体なので電車を静止系にして観察すると

         

                  図-16
 観測者Oは、A’・B’で照射された光が、M’に同時に光が届くのを観測します。
 一方観測者Qは、A’に向かい、B’から遠ざかっているのでA’の光が、B’の光より早く到達するのを観測します。
 また、Qは、地上の観測者Pと同じ速度で移動しているので Pと同じ光の観測をするので 地上の光が、観測者Q(M)に同時に到達するのを観測します。(観測者Qは、M点から動かない。)
 同じ距離の同時刻に、照射された光が、同時に届くものと同時に届かないものが存在するのです。
 つまり、観測者Q(P)は、地上の光の速度と電車の中の光の速度を違ったものとして観測しています。
 地上の観測者は、地上の光の速度は、Cを観測しますが、電車の中の速度は、Cとして観測しないのです。
 アインシュタインは、電車の光の軌跡(虚像)に、光速度不変原理を適用し、理論展開を行っていますが、電車の光の軌跡の速度は、Cではないのです。 


 以上の事柄より
 アインシュタインは、虚像(軌跡)の速度をCにして 座標変換の時間(時刻)の算出を行った。
ローレンツ変換は、虚構の変換
ガリレイ座標間の同時性は存在する。
運動する物体の時間の遅れは存在しない。
運動する物体の収縮は存在しない。
が得られます。
 皆さんご理解いただけたでしょうか?


 皆さんのご意見、反論をお待ちしています。


 私は、物理学者ではないので、私ができることは、このブログの内容を多くの物理学者の皆さんに見ていただき、その結果として「特殊相対性理論の矛盾」が、訂正されることを願っているだけです。
 私と同じように「特殊相対性理論」に矛盾を感じた方は、多くのご学友やご同僚とこのブログの内容について議論していただき、より多くの物理学者の皆さんに、この矛盾を認知していただきたいと願っています。