物理学者の間違っている常識 (シリーズ4)

波動方程式が、ガリレイ変換で不変でなくても光速度は系により変化する


 
「特殊相対性理論」の「光速度不変原理」の考え方には、「波動方程式が、ガリレイ変換で不変でないこと」が大きくかかわっていると考えられます。
 光に関して、速度Vで移動する系の光は、波動方程式が、ガリレイ変換で不変でないので、速度の影響を受けないという考え方を多くの物理学者の皆さんがしているようです。
 この事柄について、シリーズ2で行った光の考察方法を再度使い、検証します。
 長さLの棒ABを乗せた電車が、速度Vで移動しています。また地上には、長さLの棒CDを置きます。AとCが重なった時に、光①②➂を同時に照射し、光①②は、棒ABの同期を行い、光➂は、棒CDの同期を行ったとします。

         

                 図-1
 運動系に光速度不変原理を適用すると、電車に乗っている観測者S・Tは、下記のような光の状態を観測します。

        

                 図-2
 光①②に関しては、同期ができ、光➂は、同期ができず、何ら問題がないように見えます。
 地上の観測者O・Pは、静止系に光速度不変原理を適用すると、下記のような光の状態を観測します。

        

                 図-3
 光①②に関しては、時計の同期ができず、光③に関しては、同期ができ、何ら問題がないように見られます。
 しかし、各観測者が観測する往復の時間を見ると、起こるはずがない現象が生じるのです。往復時間を表―1にまとめます。
                 表―1 棒を光が往復する時間

  

 光②に関しては、
  S・Tの観測時間 < O・Pの観測時間
ですが、光➂に関しては、
  O・Pの観測時間 < S・Tの観測時間
になります。
 一見すると移動する物体の時間の遅れととることもできます。
 光②③は同じ一つの光ですので、区別せずに、光②③の部分を取り出し、表-1を時間の遅れと進みで、書き換えてみます。
                  表-2

     

 観測者S・Tと観測者O・Pは、時間の遅れと時間の進みを同時に観測することになります。
 特殊相対性理論では、ABの棒だけの考察を行い、運動する物体の時間は、遅れるとしていますが、この時、起きているすべての現象を見ると 表-2のように、矛盾が明確になるのです。
 アインシュタインの考え方では、観測者は、進みと遅れを同時に観測するのです。
 S・Tの時間がともに遅れるのならば、理解ができますが、物理現象を考えたとき、絶対に起こらない現象です。
 光の考察方法に、問題があるから起こった現象です。
 光の光路と軌跡の状態の観察結果には、間違いはありません。同じ系の光速度をCにすることに関しても、何ら問題がありません。(光①のS・Tの観測結果と光②③のO・Pの観測結果)
 では、他の系の光速度をCにすることが問題なのでしょうか?
 シリーズ―2で言及しましたが、アインシュタインが、違う系の光速度について言及している記述があるので、それを見てみましょう。
 アインシュタインは、「特殊及び一般相対性理論について」(白揚社 金子務 訳 1916年 p32~35)の中で相対速度について記述しています。
 軌道堤に沿って速度Vで移動する電車と軌道堤に沿って移動する光から 列車に対する光の速度W(軌跡の速度に同じ)を求めています。
  W=C-V
 これに関しては、シリーズ2で、軌跡の速度を算出し、軌跡の速度は、系の移動速度と合成しなければならないことを 示しているので、ここでは、省略しますが、移動する系の光速度(軌跡の速度)は、C±Vとして観測されるのです。
 このように考えると、波動方程式がガリレイ変換で、不変でなくても、観測される軌跡の速度は、C±Vとして観測されるのです。
 光の速度則も普通の物体の速度則と同じなのです。
 この軌跡の速度を用いて、表―1の値を再計算した数値を表-3にまとめます。
             表―3 棒を光が往復する時間

   

 表―3に示すように、同時性も維持され、運動する物体の時間の遅れなど生じていない事が判ります。もちろん収縮など起きていません。
 特殊相対性理論の光速度不変原理は、軌跡の速度をCとして構築されていますから、特殊相対性理論は、虚構の理論なのです。
 光も一般の物理則と同じ扱いをしなければならないのです。
 特殊相対性理論では、時間の遅れや運動する物体の時間のずれが、注目されています。
 また、パラドックスとして、表-2の赤字部分しか議論されていませんが、実際には、黒字の部分を加えた状態の議論が必要だったのです。
 全ての現象を観察し、あらゆる角度から考察したときに、矛盾がないかどうかの検討がなされていないために、「移動する物体の時間のずれ。」や「パラドックス」などという言葉で、一見矛盾する結果が、容認されてしまっていたのです。
 ガリレイ変換で不変でないから、全ての系に、一つの光速度を当てはめると矛盾が生じるのです。
 移動する系には、速度の合成則が適用されるのです。


 波動方程式に関しては、「特殊相対性理論の矛盾点(物理学者も答えられない)」
 (https://yoko3210go.muragon.com/entry/25.html
のなかでKNZOU氏のブログを紹介し、私の見解を述べています。
 私のブログの内容は、未完成な部分がありますが、参考になるのでは、と考えています。


 皆さんに、お聞きしたいことがあるので、どなたかご回答を頂ければ、幸いです。
 私は、45年以上前に、化学工学(有機合成)を専攻したものですので、物理数学も電気学もまるっきりわからないことだらけです。
 よろしければ、ご回答をお願いします。
1.波動方程式と光速度の関係
 真空下での波動方程式は、
  ∂²Ey/∂t²=1/ε₀μ₀×∂²Ey/∂x²
で表せます。そして光速度は、
   C=1/√ε₀μ₀
となります。
 波動方程式を変形し、
   1/√ε₀μ₀=∂‥‥‥
として、変換したら、速度則は、どうなるのでしょうか?
 また、水中の光速度は、
   Cw=C/√εμ/ε₀μ₀
とすると、水の比誘電率は約80で、比透磁は約1なので、水中の光速度にならなくなってしまいます。
 (はじめは、誘電率と透磁率で計算しましたが、まるっきり合わなくて、単位換算の違いと思い、あれこれやりましたが、どうしても出てきませんでした。)
 水中の波動方程式は、
∂²Ey/∂t²=1/εμ×∂²Ey/∂x²
で現してよいのでしょうか?
 現わせるとしたら、速度は、Cw=1/√εμ になってしまいます。
この辺の疑問に対するご回答ができる方がいらっしゃいましたら、よろしくお願いいたします。


2.屈折率と光速度の関係
水中の光速度は、
   Cw=C/n
で表せます。
また、プリズム現象は、波長の違いにより、屈折率が違うために起こった現象と考えられます。そして、紫の色と赤色では、屈折率に違いがあると考えられます。そうすると、Cw=C/nの式から、波長により、光速度が違うという結論が得られてしまいます。
この辺のご見解をいただきたいのですが、よろしくお願いします。


私は、物理学者ではないので、私ができることは、このブログの内容を多くの物理学者の皆さんに見ていただき、その結果として「特殊相対性理論の矛盾」が、訂正される
ことを願っているだけです。
私と同じように「特殊相対性理論」に矛盾を感じた方は、多くのご学友やご同僚とこのブログの内容について議論していただき、より多くの物理学者の皆さんに、この矛盾
を認知していただきたいと願っています。


 皆様のご意見・質問・反論等をお待ちしております。

物理学者の間違っている常識 (シリーズ 3)

光の軌跡の速度は、Cではないことの検証


 シリーズ2で、光の軌跡の速度は、移動速度との合成速度であることを記述しました。
 この事柄について、2つの方法で検証してみましょう。


 最初に、「軌跡の速度は、移動速度を合成する」ことについての検証として、「相対論的速度の合成則」との物理現象の違いを比較して、考察してみましょう。
 絶対静止系に静止している電車のAよりボールを速度UでBに向かって射出し、同時にAより、光をBに向かって照射し、B点で反射され、C点でボールに光が到達したとします。

          

                 図-1
 この時、CBの距離をXとし、Xを算出します。
 C点にボールが到達する時間は、
  t=(L-X)/U
となり、光がC点に到達する時間は、
  t=(L+X)/C
となり、距離Xは、
 (L-X)/U=(L+X)/C
  X=L(C-U)/(C+U)
となります。
 この時、観測者が図-2のように、速度Vで左方向に移動したとします。

      

                   図-2
 移動する観測者は、上図のような状態を観測します。そして、移動して観測しても、この時のC点とB点の距離は必ずX=L(C-U)/(C+U)にならなければなりません。
 この事柄について、軌跡が移動速度に依存しているか、光速度不変原理と相対性理論的な速度の合成則が成り立つのかを検証してみます。
 まず、軌跡が移動速度に依存している場合について検証します。
 B点に光が到達する時間は、
  t₁=(L+Vt₁)/(C+V)=L/C
となり、B点で反射された光がボールに到達する時間は、
  t₂=(X-Vt₂)/(C-V)=X/C
となります。
 C点にボールが到達する時間は、
  t=(L-X)/U
となり、光がC点に到達する時間は、
  t=t₁+t₂=(L+X)/C
となり、距離Xは、
  X=L(C-U)/(C+U)
となり、光の軌跡は移動速度に依存するという考察結果の妥当性が、証明されました。


 次に、光速度不変原理と、速度合成則を使用して、距離Xを求めてみましょう。
 速度合成則による速度をWとすると
  W=(U+V)/(1+UV/C²)
になります。
 B点に光が到達する時間は、
  t₁=(L+Vt₁)/C=L/(C-V)
となり、B点で反射された光がボールに到達する時間は、
  t₂=(X-Vt₂)/C=X/(C+V)
となり、光がC点に到達する時間は、
  t=t₁+t₂=L/(C-V)+X/(C+V)
となります。
 C点にボールが到達する時間は、
  t=(L-X)/{(U+V)/(1+UV/C²)}
となり、
  t=(L-X)/{(U+V)/(1+UV/C²)}
   =L/(C-V)+X/(C+V)
となり、C≫UVなので UV/C² = 0 と置くと距離Xは
  (L-X)/(U+V)=L/(C-V)+X/(C+V)
  X=L(C-2V-U)(C+V)/(C+2V+U)(C-V)
になり、電車が静止しているときのX
  X=L(C-U)/(C+U)
とは同じにならないことがわかり、観測者が動くと光の到達点が変わってしまうという矛盾が起きます。ここに、運動する物体は、収縮するとして、収縮率をかけても、静止しているXとは一致しません。
 光の軌跡は、Cではなく、移動速度Vと合成することの検証ができたと考えられます。
 また、「相対論的速度の合成則」は、軌跡の速度をCとして算出されているので、この合成則の矛盾もお分かりいただけたと考えます。


 次に、縦方向の物理現象を考察して、軌跡の速度がCでないことを検証しましょう。
 速度Vで移動する電車のA点より小さな光に見える発光体を速度uで、垂直に距離LのB点に発射します。

         

               図-3
 静止している観測者は、図-4のような光の軌跡を観測します。
 この時、A点の発光体の軌跡が、光だからと言って、B’点に到達する時間を下記のような計算をする馬鹿な科学者は、いないと思います。
  (CΔt)²=L²+(VΔt)²
  Δt=L/√(C²-V²)
 

        

                図-4
 発光体がB‘点に到達する時間は、物理の一般法則にしたがい、
  Δt=L/u
となり、光の移動速度をXとすると、
  V²+u²=X²
  X=√(V²+u²)
となります。
 B'の到達時間は、Vの速度に影響されず、ABの距離と移動速度Uで決まります。
 なぜ、光だけが、特別なのでしょうか?この状態は、ちょうど光行差角に相当するもので、光もB'の到達時間は、Vの速度に影響されず、ABの距離と移動速度Uで決まります。
 ここで超未来の超科学を使ってみましょう。( `―´)ノ
 2X00年代には、電車のスピードが25万㎞/sの速度で動き、発光体の発射速度が20万㎞/sになったとします。
 この時、発光体がB’点に到達する時間は、
  Δt=L/20万
になります。
また、この時の軌跡の速度は、
  X=32万㎞/s
になります。
 この速度では、光よりも早くA点の発光体が、B’点に到達するという現象が生じてしまうのです。
 発光体より早い速度で動く光が、遅れてB’点に到達するなどという現象は、絶対に生じません。
 これが光の軌跡の速度をCとしたことから起きる現象です。
 近似式ならば、このようなことが起きても不思議ではありませんが、原理が近似式であってはならないのです。実際は近似式でもなんでもなく、考察の間違いから起こった事柄です。
 光の軌跡は、発光体の軌跡と同じようなものなのです。
 特殊相対性理論の世界では、こんな矛盾を見落として議論が行われているのです。
 特殊相対性理論の根幹となる、同時性の否定や、ローレンツ因子は、思考実験より考えられた光の軌跡の式に、光速度不変原理を適用し、軌跡の速度をCとし、特殊相対性理論を組み立てています。
 特殊相対性理論は「軌跡の虚構」の理論なのです。



 皆様のご意見・質問・反論等をお待ちしております。

物理学者の間違っている常識 (新シリーズ-2)

     二つの光速度(光路の光と軌跡の光


 シリーズ1で 棒とともに、移動する観測者も長さLの棒の同期ができることや観測する時間の矛盾を指摘しました。
 ここでは、静止系と運動系を明確にし、光には、光路の光と軌跡の光があることの説明を行います。
 シリーズ1でも記載しましたが、静止系の光で、移動する棒ABの同期を行うときに、同時に、静止した棒CDの同期を行い、その状態を再度、見てみましょう。

          

                  図-1
 観測者S・Tが観測する光の軌跡は図-2のようになります。観測者S・Tが観測した場合、S・Tがいる系が静止系になります。

         

                  図-2
 観測者S・Tが観測する棒ABを移動する光の往復の時間は、光速度不変原理を適用すると、
  Δτ₁=τ₁-τ₀=L/C
  Δτ₂=τ₂-τ₁=L/C
  Δτ=2L/C
を観測し、時計の同期ができ、「アインシュタインの論文選 軌跡の年の5論文」(ちくま学芸文庫 青木 薫 訳)の「運動物体の電気力学」p257~260に記載された時間とは違う時間を観測します。〔「アインシュタイン相対性理論」(岩波文庫 内山龍雄 訳・解説では、p20~24)〕
 また、棒CDを移動する光の往復の時間は、
  Δτ₁=τ₁-τ₀=L-VΔτ₁/C=L/(C+V)
  Δτ₂=τ₂-τ₁=L+VΔτ₁/C=L/(C-V)
  Δτ=2LC/(C²-V²)
を観測します。
 観測者O・Pが観測する光の状態を図-3に示します。

         

                  図-3
 観測者O・Pが観測する棒ABを光が往復する時間は、
  Δt₁=t₁-t₀=L/(C-V)
  Δt₂=t₂-t₁=L/(C+V)
  Δt=2LC/(C²-V²)
を観測します。
 棒CDを光が往復する時間は、
  Δt₁=t₁-t₀=L/C
  Δt₂=t₂-t₁=L/C
  Δt=2L/C
を観測します。
 アインシュタインが、「運動物体の電気力学」の同時性の否定で、棒とともに移動する観測者(S・T)が観測する時間としたのは、静止した観測者(O・P)が観測した時間を使用して、同時性の否定を行っていたのです。
 各観測者が観測する棒ABと棒CDを光が往復する時間を比較してみましょう。これを表―1にまとめます。


              表―1 棒を光が往復する時間

   

 棒ABに関しては、
  S・Tの観測時間 2L/C  O・Pの観測時間 2LC/(C²-V²)
になります。棒C・Dに関しては、
  S・Tの観測時間 2LC/(C²-V²)  O・Pの観測時間 2L/C
となり、同時に観測しているのに、棒ABに関しては、電車(S・T)の時間が遅れ、棒CDに関しては、電車の時間が進むという矛盾した結果が得られます。
 電車の時間が、ともに遅れるのならば、納得できますが、ちぐはぐな結果が得られているのです。このようなことは、物理の現象では、絶対に起こりません。
 これが、「系の錯誤」と「他の系の光に光速度不変原理を適用」による「特殊相対性理論」の矛盾を明確に示した事柄です。
 これは、光の軌跡の速度の観測方法に問題があるから生じた現象と考えられます。光の軌跡(違う系の光)に光速度不変原理を適用したために起こった現象と考えられます。


 では、静止系の光と運動系の光についてみてみましょう。静止系の光と運動系の光を明確にするために移動する電車と止まっている電車を使用します。
 静止系に長さLの棒ABを乗せた電車とその電車に平行にもう1台の電車が停止しています。
 棒の両端と別の電車には、静止系で同期し、時刻合わせした時計を設置します。
 時刻t₀(τ₀)で、棒を乗せた電車の棒のAB間に光を往復させ、時計の同期を行います。時刻t₁で光がB点に到達し、鏡で反射され、時刻t₂でB点に戻ったとします。
 この時、もう一台の電車は時刻τ₀で、速度Vで矢印方向に移動し、同じ時刻に、A点に対応したXa点からB点に対応したXb点に向けて光を照射し、移動した棒のB点に対応したXb₁点に到達したとき、鏡で反射され、移動した棒のA点に対応したXA₂に光が戻ったとします。(動いている電車の光で棒ABの同期をしたと考えてください。)


         

                  図-4
 移動した電車に乗っている観測者Pは、次の図のような光路の光と光の軌跡(違う系の光)を観測します。(Pが観測するということは、Pが静止系になります。)

         

                   図-5
 観測者Pは、光路の光(Pがいる系の光)の移動時間を
  Δτ₁=τ₁-τ₀=(L+VΔτ)/C=L/(C-V)
  Δτ₂=τ₂-τ₁=(L-VΔτ)/C=L/(C+V)
として観測します。
 Pがいる光路の光(系の光)ですから光の移動距離を光速度Cで割ることに問題は、ないと考えられます。
 M・Nがいる系の光の軌跡の速度を 光速度不変原理を適用して、Cとして計算すると、表―1のような矛盾が生じていると考えられるので、軌跡(違う系の光)の速度は、C以外の速度が考えられます。
 アインシュタインが、違う系の光速度について言及している著書があるので、それを見てみましょう。
 アインシュタインは、「特殊及び一般相対性理論について」(白揚社 金子務 訳 1916年 p32~35)の中で相対速度について記述しています。また、p40~43の「同時性の相対性」で移動する観測者が観測する光の状態を記述しています。
 「同時性の相対性」については、皆さんで見ていただくことにし、「相対速度」についてみてみましょう。
 軌道堤に沿って速度Vで移動する電車と軌道堤に沿って移動する光から 列車に対する光の速度Wを求めています。(図-6)
  W=C-V
 この速度は、列車に乗っている観測者Oに対する速度にもなります。
 また、当然のことながら、Pに対する光速度はCです。

          

                  図-6
 移動する観測者Oが観測したら、どうなるのでしょう。Oが観測すると、Oが乗っている電車が、停止した状態になります。

          

                  図-7
 観測者Oが観測するときは、列車が静止系になり、軌道堤が運動系になります。
 Oが観測する光は、軌道堤の光ですから、相対速度Wは、変化しないはずです。
  W=C-V
となり、観測者Oに対して、Vで移動する系の光速度は、Cにならないことになります。
「光速度不変原理を適用する」するということは、この相対速度をCにして、理論展開を行うことになるのです。
 では、Pが観測する軌跡の速度の算出を図-5の状態で行ってみましょう。

        

                   図-5
 運動系(M・Nの系)の軌跡の速度をX・Yとおくと
  Δτ₁=τ₁-τ₀=(L+VΔτ₁)/X
  Δτ₂=τ₂-τ₁=(L―VΔτ₂)/Y
  X=L/Δτ₁+V
  Y=L/Δτ₂-V
となり、軌跡の速度は、Cではなく、移動速度に依存した速度である事が判ります。
 観測者M・Nが乗っている電車は、図-4に示したように、もともとは、静止系に静止した状態です。観測者M・Nが観測する光の状態を見てみましょう。

        

                  図-8
 この状態で静止系の光(S・Tがいる系)で棒ABの同期を行えば、観測者M・Nは、
  Δt₁=Δt₂=L/C
の時間を観測し、時計の同期はできます。
 観測者M・Nが観測するL/Cの時間に対して、観測者Pが、二つの時間として観測する事は、絶対あり得ないので、Δτ₁=Δτ₂となります。
 軌跡の速度は、
  X=L/Δτ+V
  Y=L/Δτ-V
となり、光の軌跡の速度は、Cではなく、移動速度の影響を受ける事が判りました。
 L/Δτの値として考えられ数値は、CやC±αなどが考えられますが、Cとして、静止系で観測される光の移動時間を算出してみましょう。
  Δτ=τ₁-τ₀=(L+VΔτ)/(C+V)=L/C 
  Δτ=τ₂-τ₁=(L-VΔτ)/(C-V)=L/C
となり、観測者Pと観測者M・Nは、同じ時間を観測し、時計の同期ができることになります。
 シリーズ1で観測者M・Nが観測する棒ABを移動するPの系の光の移動時間を光速度不変原理を適用して、L/Cにしました。(図-2)
 しかし、観測者M・Nが観測するPの系の光の軌跡にも速度の影響を考えなければならないのです。
 観測者Pは、棒ABの光の移動時間を(図-3の状態)
  Δτ₁=τ₁-τ₀=(L+VΔτ)/C=L/(C-V)
  Δτ₂=τ₂-τ₁=(L-VΔτ)/C=L/(C+V)
として観測します。
 観測者Pが観測する二つの時間を M・Nが一つの時間として観測する事などありえません。
 軌跡の速度で計算してみましょう。
  Δt₁=t₁-t₀=L/(C-V)
  Δt₂=t₂-t₁=L/(C+V)
となり、M・NもPと同じ時間を観測するのです。
 表―1を軌跡の速度で再計算して書き直してみましょう。


          表―2 棒を光が往復する時間

 

 このように考察すると、ガリレイ座標間で時間の遅れもなく、同時性もある事が判ります。
 また、軌跡の速度は、アインシュタインが考察した、相対速度に合致します。
 光速度不変原理を適用するということは、軌跡の速度(相対速度)をCとして扱うことになるのです。
 このように考察すると、光速度には、光路の光速度Cと軌跡の速度(C±V)の二つがある事が判ります。
 皆さんが、夜空に、非常に高速度で移動する流れ星を見たときに、観測されるものが、光だから、「流れ星の移動速度はCである。」としますか?
 別の系の光の軌跡は、流れ星に相当するもので、光そのものを直接的には、観測していないのです。
 静止系に「光速度不変原理を適用する。」ということは、別の系の光の軌跡の速度(相対速度)をCにするという意味合いがあります。
 確かに、光速度は、真空系で不変です。これが適用できるのは、真空系の同じ系の光路の光のみで、他の系の光の軌跡には、適用できないのです。


 「特殊相対性理論」は、系の誤認識と相対速度に高速度不変原理を適用して、構築されています。
 当然のことながら、構築された理論は、虚構の理論なのです。


 特殊相対性理論で光速度不変原理を適用した背景には、「波動方程式がガリレイ変換で不変でないこと」と「マイケルソン・モーリの実験結果」が大きくかかわっていると考えられます。
 これらについては、次のシリーズ以降で考察していきます。


 皆様のご意見・質問・反論等をお待ちしております。


[蛇 足]
 このシリーズ2の最初に記載しようとした事柄は、光時計の矛盾に関する事でした。
 しかし、皆さんを納得させるには、シリーズ1で記載した内容だと考え、あえて同じ内容のものを記載しました。
 光の考察の仕方が分かった方は、光時計の矛盾もご理解いただけると考え、蛇足ですが、ここに乗せたいと思います。
 ここで、説明した矛盾は、光時計の時間の進み方でも見ることができます。光時計の矛盾を見てみましょう。
 絶対静止系に長さLの光時計 ABを静止した電車に図のように設置します。
光時計の表示部をA・Bに設置します。この表示部のAとBは、静止系の観測者Oが観測すると常に、同じ時刻を示します。

          

                  図-9
 今、時刻t₀=0でAより光を照射し、光時計を作動させます。時刻t₁=L/Cで光はBに到達し、時刻t₂=2L/CでA点に戻ります。さらに、時刻t₃・t₄・t₅‥‥‥と時間の経過とともに、A・B点に光が到達したときの光時計のA点の時刻表示は、L/Cの倍数となり、直線的な時間の経過を観測します。
  t₁-t₀=L/C
  t₂-t₀=2L/C
  t₃-t₀=2L/C


 この時、速度Vで移動する電車に乗っている観測者Pが、持っているA点の光時計と同期し、時刻合わせした時計の表示と光時計の光の移動時間を観測しました。Pが観測するということは、Pが乗っている電車が静止し、Oが乗っている電車が動いていることになり、Pが静止系になります。
 この時、観測者Pが観測するt₁・t₂‥‥に対応した光の移動時間をτ₁・τ₂‥‥とすると
  τ₁-τ₀=L/(C-V)
  τ₂-τ₀=L/(C-V)+L/(C+V)=2L/(C²-V²)
  τ₃-τ₀=2L/(C-V)+L/(C+V)=2L/(C²-V²)+L/(C-V)
  τ₄-τ₀=4L/(C²-V²)
を観測し、ジグザグな時間の推移を観測します。
 A点に垂直に時刻合わせした光時計ACを追加してみましょう。

           

                  図-10
 観測者Oは、全ての時計の表示が、同じで直線的に、推移しているのを観測します。
 一方観測者Pは、光時計ACの時間を光時計ABと違うものを観測します。
  τ₁-τ₀=L/√(C²-V²)
  τ₂-τ₀=2L/√(C²-V²)
  τ₃-τ₀=3L/√(C²-V²)
  τ₄-τ₀=4L/√(C²-V²)
 このACの時計の時間は、直線的な時間の推移を観測します。
 A点に、角度の違う光時計を追加すると観測者Pは、AB・ACの光時計とは違うジグザグの時間の推移を観測します。
 A点に置く光時計により、観測者Pが観測するA点に光が戻る時間が変化し、また、考えられないジグザグな時間の推移が起きてしまうのです。
 静止系では、光時計は、正確かもしれませんが、このような考察をすると 違う系(移動する)の観測者には、正確な時刻を刻む時計とはならならず、矛盾だらけの時間の推移を観測するのです。
 ジグザグな時間の推移の時間は、L/(C+V) < L/C < L/(C-V)なので、観測者Oが観測しているL/Cの時間に対して、観測者Pは、時間が進んだ状態と遅れた状態を交互に観測するのです。
 光時計の角度を変えると時間が変わり、A点に光が戻る時間も全ての角度で変化します。
 Oが観測する一つの時間に対して、光時計の角度により、Pは、無数の時間を観測できることになります。
 観測される時間が、一つで、直線的に推移するならば、理解できますが、観測される時間が、無限にあり、直線的な推移をしないことに矛盾を感じない科学者は、いないと思います。
 また、観測者Pの移動方向が逆になると違う時間を観測します。
 この状態をグラフで見てみましょう。

   

               図-11
   (この図は、時間の違いが明確になるように、移動速度を10万Km
    にして作成しています)
 縦方向の光時計に関しては、観測者Pの移動方向に関係なく、直線的な時間を観測します。

          

                図-12
 このように、観測者Oが観測する一つのA点の時刻(時間)に対して、光時計の角度や、進む方向により、Pは、いろいろ変化した時刻を観測するのです。A点に複数の光時計を置くと、その数だけの時刻をPは、観測することになります。
 A点のある時刻に、フラッシュを一度点灯すると、Pは、何回もフラッシュの点灯を見ることができることになるのです。
 このようなことは、絶対に起こるはずはありません。
 光時計の角度を変えたときに、A点に光が戻る時間が変化することに着目すれば、光の考察の矛盾は、お分かりいただけると考えます。
 これが他の系の光の軌跡に、光速度不変原理を適用し、軌跡の速度をCとしたことにより起こる現象です。


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