中学生でも判ることを間違っていたアインシュタイン

 静止系と運動系の違いは、中学生に教えれば、よく理解できると思いますが、アインシュタインやM・Born等の多くの物理学者の皆さんは、この系の認識を間違っていたのです。
   アインシュタインの座標系に関する考え方が、『特殊および一般相対性理論について』(アルバート・アインシュタイン著、金子 務 訳、白揚社)に記載されているので、
   この本のポイント部分を抜粋し、説明します。
「第2章 座標系」p17~20で事象の位置の特定方法がかいてあります。
ある出来事なり事象なりの場所をすべて空間的に記述するには、その出来事または対象と一致する一剛体(基準体)上の点を定めることがその基礎になる。』
    ここで、軌道堤を移動する石の位置を決めるのに、軌道堤や列車堅く結びついた座標系を使用しています。
    つぎに、「第5章 相対性原理(狭義の)」において、ガリレイ座標系の考え方が記載されています。
『さて、できるだけ明瞭な像を得るために、再び、一様に走っている列車の例から始めよう。われわれは、その運動を一様な並進運動と呼ぶ(〈一様〉とは、等速度で同一速度を保っているからであり、〈並進運動〉とは、列車が軌道堤に対して位置の変化をするが、回転をともなわないからである)。カラスが一羽、まっすぐに一様に ―― 軌道堤から判断して ―― 空中を飛んでいるとしよう。その時、動いている列車の中から判断するとしたら ―― カラスの運動はなるほど別の速度と方向を持つ運動となるであろうが、しかし、同じように一様な直線運動である。抽象的に言えば、ある質量mがある一つの座標系Kに対して一様な直線運動をするならば、第二の座標系K´に対しても、それがKに対して一様な並進運動をしている限り、同じく直線的で、一様である。前章の説明を考えに入れれば、このことからつぎのようにいえよう。
 Kがガリレイ座標系ならば、Kに対して一様な並進運動の状態にある他のすべての座標系K´もガリレイ座標系である。ガリレイ-ニュートン力学の諸法則は、Kに対してと同じように、K´に関してもあてはまる。
 我々はこの一般化をさらに一歩進めて、つぎのようにその命題を表現する。すなわち、K´がKに対して一様運動し、かつ回転しない座標系であるならば、K´に対する自然現象はKに対するのとまったく同じ一般法則にもとづいて経過していく。この命題を〈相対性原理〉(狭義の)と呼ぶ。』

                          

                                                 図-1
 このような説明で、列車に堅く結びついた座標系K´はガリレイ座標系になっているのです。カラスは電車の外を飛んでいるのです。静止系の事象をK´系で見るとたしかに運動法則は維持されています。
 しかし、K´系で起こした事象、例えば、石を電車の外の軌道堤に静かに落としたとします。K´系から見ると石は空気抵抗のために、放物線を描いて落下します。同じことを電車の中で行い、K´系から見ると直線的に落下します。
 アインシュタインの考え方では、同じ系の同じ事象のはずなのに、違う運動状態が観察されるのです。K´系としている電車の中と外では、系が違うのです。
 K´系の電車の外側は、静止系ですから、静止系で起こった事象の運動法則は観測者の速度に応じて観測されるだけなのです。そして、そこで起こした事象(石の例)は、運動系の運動法則にはならないのです。
 ガリレイ座標系は、電車の中の空間だけで有限の大きさしかないのです。
 特殊相対性理論の中では、静止系を移動(運動)する物に座標軸をつけ、運動系にしてしまうのです。アインシュタインの考え方では、静止系を移動する棒や電車に座標系をつけることにより、運動系の運動法則が適用できない静止系の空間が運動系になってしまうのです。
 運動系とは音や光の媒体が移動している空間のことで、そこでは運動系の運動法則が適用されます。(密封された電車の中などがあります。)地球上では、一定速度で移動する閉鎖された空間だけで、有限の大きさしかありません。
 また、静止系の空間と運動系の空間は、同時に存在することはないので、運動系から直接、静止系の事象を測定することはできず相対的な事象としてしか捉えることが出きません。また、静止系からも同じことが言えます。
 宇宙空間では、運動系としては、ロケットの中や星があげられます。星のどの部分までが運動系かは明確にはできませんが、地球では大気圏を運動系とみなすことができると思われます。
 この媒体が移動している空間を持たない棒や点、及び電車の外側は、静止系で、棒や、電車は静止系を移動する物で、静止系の運動法則が適用されるのです。棒に座標軸をつけても運動系にはできないのです
 教科書に載っていない事柄なので、その人の空間認識のセンスがあるかないかによって、考察を間違ってしまうのです。
 この本の「第7章 光の伝搬法則と相対性原理の見かけ上の不一致」において、光の考察を行っているので見てみます。
『光の伝搬過程は、もちろん他のすべての過程と同じように、一つの剛体の基準体(座標系)に準拠させなければならない。そのような基準体として、ふたたびわが軌道堤を選ぶ。その上の空気は、除かれていると考えることにしたい。堤防に沿って光を送ると、前述のように、その光の先端は堤防に関して速度Cで進む。そのレールの上をわが列車はまた速度Vをもって、たしかに光の矢と同一方向だが、当然はるかにゆっくり進む。
 われわれは、列車に相対的な光線の伝搬速度を問うている。ここに前章の考察が当てはまることは容易にわかる。というのは、列車に対して相対的に走っている男が光線の役をつとめるからである。堤防に対するその男の速度Wのかわりに、ここでは堤防に対する光速度Cで置きかえる。すなわち、wはわれわれが求めようとしている列車に対する光速度であり、これについてはまた、
     w=C-V
があてはまる。列車に相対的な光線の伝搬速度はCより小さい、ということになる。
 しかし、この結果は第5章で述べた相対性原理と矛盾する。すなわち相対性原理によれば、真空中の光の伝搬速度はすべての他の一般自然法則と同様に、列車を基準体としようがレールを基準体にしようが、同じことにならなければならない。ところが、われわれの考察によれば、それが不可能のように思える。すべての光線が堤防に関して速度Cで伝搬するとすれば、まさにそのことのために、列車に関する光の伝搬法則は、これとは別のものにならなければならない。――すなわち相対性原理と矛盾する。』


 このようにアインシュタインは、光の考察をしていますが、前述のように、堤防は静止系なのです。w=C-Vは電車の中の運動系に対する静止系の光の相対速度なのです。また、静止系を速度Vで移動する観測者が、観測する速度なのです。
 光と同じような性質の音に変えれば直ぐに判ることですが、電車の中に、光を照射すると電車の中の光の伝搬速度はCとなり、運動法則は維持されるのです。相対性原理とは矛盾しません。
 アインシュタイン等は、ガリレイ座標系の認識を間違っているのです。アインシュタインは、この認識のままに、特殊相対性理論を完成させています。
 この運動系の認識を間違っている端的な例を示します。
 「アインシュタインの相対性理論」(M・Born著、林 一訳、東京図書)のⅥ章
アインシュタインの特殊相対性理論p203~205において、船とはしけを使って、絶対同時性の否定を行っています。文章を引用しながら、説明します。
 この例は、音を使っていますので、皆さんも理解しやすいと思います。
 『船が静止しているときは、次の方法で船A,B上の時計を同期することができる。A,Bの真ん中に船Cを置き、Cから信号音を発する。この音は、A,Bに同時に聞こえるはずである。

         

                  図-2
 さて、この船列Sが動いているとしても、明らかに同じ方法を応用することができる。
船が空気に対して、相対的に動いていることに乗務員が気づかなければ、かれらは、A,Bの時計は同じ速さで進んでいると信じるであろう。

(音で時刻合わせを常にしている。このときに、音が伝わる媒体は、静止系の空気です。また、移動する船には、静止系の運動法則が適用されるのです。)
 はしけA´,B´,C´からなる第2の船列S´がある。その隣りあう船の間隔は第1の船列Sのそれに等しいものとして、船上の時計を同じしかたでくらべてみる。
 さて、船列S´が船列Sを追いこす場合を考えよう。Sは静止しているとしても、また運動しているとしてもよい。ある瞬間にAはA´とならび、BはB´とならぶであろう。乗組員たちは、時計が一致しているかどうかを見ることができる。もちろん、かれらは一致していないことに気づくであろう。AとA´が偶然一致していたとしても、BとB´は一致しないであろう。
 これで上の方法の誤りが明らかになる。船が動いているときには、中央のCから発せられた信号は、船が静止している場合にくらべて、先行する船Aにいくのには余分に時間がかかり、後続の船Bへいくのにはより短い時間ですむ。なぜなら、Aは音波から遠ざかろうとしており、Bは近づきつつあるからである。時間の差は2つの船の速さによって変わる。(中略)
 上の方法は音を用いて時計を調節するものであったが、もちろん音の代わりに光を用いることも可能である。A,Bの時計は中点Cから送られてきた光信号が、つくたびに、ある一定の位置を指すように調整される。このやり方で、どんな系においても、それに属する時計を同期化することができる。だが、このような2つの系が出会う場合には、たとえばAとA´の時計は一致し、BとBダッシュの時計は針の位置が異なるといったことが起こる。どちらの系にもおいても物理法則は同一なので、それぞれ自分が静止していると主張することができ、したがって、同等の権利で自分の時間が正しいと主張できるのである。(中略)絶対同時性というものはない。』



 このような理論展開でBornは絶対同時性の否定を行っています。静止系の運動法則が適用される船を使い、静止系の媒体を伝搬する音を使って、運動系としているのです。
 では、この船の音源と時計を運動系にしてみましょう

        

                  図-3
 時計と音源を丈夫な箱で連結し、密封します。この箱は船と共に移動し、中の空気も一緒に移動するので、(電車の中と同じ状態です。)船が等速度で運動する限りどんな速度で移動しようと、箱の中は運動系の運動法則が適用され、Cから出た音は、同時にAとBに届きます。密封された箱の中が運動系なのです。船自体と箱の中にいない観測者は、静止系を移動する物です
 船列Sと船列S´がすれ違い、時刻合わせをするとA,A´,B,B´すべての時刻が一致します。音を光に変えても同じことが言えます。
 Bornが言うところの絶対同時性はあることになります
 このように、Bornは静止系を移動する物と静止系の媒体を使い、運動系にして議論をして、同時性の否定をおこなっているのです。
 ここで光速度不変原理に関する重要な事柄が記載されているので、その事柄について触れてみます。
 この中で音の代わりに光も使用できると記載されているので、本文の一部を光に変えてみます。「Aは光から遠ざかろうとしており、Bは近づきつつあるからである。時間の差は2つの船の速さによって変わる。」
 この文章から、Aは光の速度をC-Vとして観測し、BはC+Vとして観測していることになります。
 このことは、本のⅥ章の冒頭に記載されている「実験によれば、光速は観測者の運動状態によらず、つねに同じ値Cをとる。」を自らの思考実験の中で変えているのです。
 光速度不変原理の「光速は観測者の運動状態によらず、つねに同じ値Cをとる。」は削除されなければなりません。
 この系の認識を間違っている事柄は、アインシュタインの文献等にも見られます。次にこの間違いを指摘します
『特殊および一般相対性理論について』(アルバート・アインシュタイン著、金子 務 訳、白揚社)の第9章 同時性の相対性のp40~42において、列車と軌道堤と雷を使用して、同時性の否定をしています。ここでの矛盾を指摘します。
 本文を抜粋しながら説明します。

            

                 図-4
『二つの事象(たとえば二つの落雷AとB)があって、軌道堤を基準にして同時であるならば、列車を基準にしてもまた同時であるだろうか?
 その答えがどうしても否定的になることを、直ちに示そう。
 落雷AとBが軌道堤に関して同時であるというときには、雷光のあった場所AとBから出た光線が軌道堤の線分A―Bの中点Mで出会う、という意味である。
 列車上の点AとBもまた、事象AとBに一致する。走行中の列車の長さA―Bの中点をM´としよう。この点M´は、確かに落雷の瞬間には、点Mと一致するが、図にあるように列車の速度Vで右方向へ動いている。列車の中で点M´のところに座っている観測者がこの速度をもたないとすれば、Mにいつまでもとどまっていることになり、とすれば、落雷AとBからの光線が彼の所に同時に到達することになろう。すなわち、この二つの光線は彼の所で出会うのである。しかし実際には(軌道堤から判断して)、かれはBからくる光に向かって急行していくのであるが、Aからの光よりも先行してその光に後から追いつかれるのである。したがって観測者は、Aからくる光よりも先にBからの光を認めるであろう。
 列車を基準体として用いる観測者は、落雷Bが落雷Aより先に起こっている、という結論になるにちがいない。こうして、われわれは以下の重要な結論に達する。
 軌道堤を基準として同時である事象は、列車を基準とすると同時でない、そしてまた、逆も真である(同時性の相対性)。すべての基準体(座標系)はそれぞれ固有な時間を持っている。だから時間の表示が意味を持つのは、時間の表示が基準としている基準体を挙げている場合だけである。』

 このような理論展開で同時性の否定をしています。皆さんお気づきでしょうか?軌道堤で起きた二つの事象と列車の中で起きている事象が違うのです。列車の中で起きている事象は、位置の特定だけです。軌道堤で起きている事象は落雷AとBが起きているのです。
 また、MとM´が観測する光を見るとMは軌道堤を基準体(静止系)とする光を観測し、同じ光をM´は運動系の光として見ているのです。すなわち、列車の観測者M´も静止系の光を観測しているのです
 これで同時性が否定されているのです。
 列車に座標軸をつけ、電車の外側も運動系の出来事として、扱っているので、このよ
うな考察になったと思われます。
 列車の中も軌道堤と同じ事象にしましょう。落雷AとBが起きた時に、同時に列車の
中のAとBに落雷
が起きたとします。列車の中の観測者M´は、列車の中を光が移動し、同時に光が届くのを確認します。
 静止系で同時の事象は、運動系でも同時なのです。運動系の座標系は、電車の中だけ
に限られた範囲でしか存在しないのです。
 同時という事柄に関しては、もう一つ、落雷AとBが同時にMに届くのを電車でも確認できるかどうかという事柄があげられます。
 これに関しては、M´の位置に相当する電車の外側にM”を乗せ電車を移動させたとします。M″は光の速度をC+VやC-Vで観測するので、計算から導き出してもわかりますが、M″は静止系の観測者ですから、静止系で同時の事象は、観測者がどこにいようとどのような状態でも同時なのです。M″の位置に相当するM´も同時に届くのを観測するのです。
 静止系で同時の事象は、運動系でも同時なのです。座標系はそれぞれ固有な時間を持っていないことになります。
 このアインシュタインの文章の中で、「したがって観測者は、Aからくる光よりも先
にBからの光を認めるであろう。」との記述がありますが、電車の外側に乗っている観測者M″も同じことを観測しているのです。ここでも光速度不変原理の「光速は観測者の運動状態によらず、つねに同じ値Cをとる。」は否定されているのです。


 つぎに、特殊相対性理論の根幹部分でも系の錯誤をしているので、これを紹介します。
 アインシュタインの論文「運動物体の電気力学」(1905年)は、同時性の否定や、ローレンツ変換の式が導き出されている特殊相対性理論の根幹部分です。ここでも同じような間違いを犯しているので、実例を挙げながら話を進めます。
 まず、同時性の否定に関して記述します。ここでは、同期した時計が使われているので、時計の同期について説明します。(本文を抜粋)
 『空間内のA点とB点に時計が置かれていて、光線が「A時間」の時刻tAにA点を出発してB点に向かい、「B時間」の時刻tBにB点で反射されてふたたびA点に向かい、
「A時間」の時刻t´AにAに到着したとしよう。
 この時、もしも
   tB-tA=t´A-tB
が成り立つならば、これら二つの時計は同期していると定義する。』
 
次に同時性の否定について、見てみましょう。本のp259~260に記載されている内容を抜粋します。
 『さてここで、棒の両端(A点とB点)に、静止系で同期させた時計を取り付けよう。
 それら二つの時計が示す時刻は、その時たまたま位置した点での『静止系の時刻』に常に一致する。そうなるように、これらの時計を『静止系で同期させた』のである。
 さらに、どちらの時計にも、それといっしょに運動する観測者が一人ついていると想像しよう。その二人の観測者が第一節で定めた方法で、二つの時計を同期させるものとする。光線が、時刻tAにA点を出発し、時刻tBにB点で反射され、時刻t´AにA点に戻る。このとき、光速度一定原理を考慮すると、
   tB-tA=(rAB)/(C-v)(本の中ではCがVと記載されています。)
および t´A-tB=(rAB)/(C+v
となる。ここでrABは、運動している棒を静止系で測った時の長さを表す。こうして、棒と一緒に運動している観測者は、二つの時計は同期していないという結果を得るのに対し、静止系にいる観測者は、二つの時計はあっていると主張することになる。
 このことから同時性というものに絶対的な意味は与えられないことがわかる。二つの出来事が、ある座標系では、同時刻に起こったように見えても、その座標系に対して運動している別の座標系では、もはや同時刻の出来事とは考えられないのである。』
 このように、移動する棒には運動系の座標軸がついているのです。棒と一緒に運動している観測者は、静止系の光を観測しているのです。棒の運動と運動系を区別できないで議論されているのです。
 前にも言いましたが、棒には、静止系の運動法則が適用されるのです。運動系ではないのです。運動系とは、光の媒質が移動している系内だけなのです。運動系内の光の観測は行われていないのです。
 棒ではなく、系を動かして時計の同期について考察してみます。

           

                 図-5
 図-5に示すように、箱(内部が運動系)の一辺(棒)ABがX軸上を速度Vで移動しているとします。このとき、箱の内部のAより光をBに向けて光を照射し、Bで反射されて、Aに戻るとします。このとき、箱の内部には、マックスウェルの波動方程式が適用されますので、棒ABの両端の箱の内部にいる観測者は、
  tB-tA  =(rAB)/C 、t´A-tB=(rAB)/C
  tB-tA  =t´A-tB
を観測し、時計は同期しているのを確認します。
 静止系で同時の事象は、運動系でも同時に起こるのです。
 この同時性を否定する時間の式から、ここでも非常に重要な事柄を見出しました。  Bornと同じように、棒と共に移動する観測者(静止系を移動する観測者)は、光の伝搬速度を(C+v)や(C-v)として観測していることです。
このことは、運動系に対する静止系の光の伝搬速度が(C+v)や(C-v)になることを意味しています。(注1)
 静止系を運動系とし、運動系を静止系にすると同じことが言えるので、静止系に対する運動系の光の伝搬速度も(C+v)や(C-v)として捉えられることになります。
 また、「光速は観測者の運動状態によらず、つねに同じ値Cをとる。」という項目は、この事柄からも、否定されなければなりません。
 つぎに、アインシュタインの論文「運動する物体の電気力学」の最も重要な特殊相対性理論のベースとなる部分での間違いを指摘します。(p262~263)
 運動系kで起こった出来事の場所と時刻を指定する値ε,η,ζ,τに対して、静止系Kを指定する値x,y,z,tとを関係づける連立方程式を求めています。
 本文を抜粋します。
 『x´=x-vtとおくと、kで静止している点の座標は、明らかに、時間に依存しない一定の値の組、x´,y,z,tをもつ。まずτを、x´,y,z,tの関数として求めよう。そのためには、τはじっさいには、k系に静止している時計 ―― 第1節で述べた規則によって同期させた時計 ―― から得られる情報の総体であるということを、方程式の形で表さなければならない。
 時刻τ₀にk系の原点からX軸に沿って放出された光線がx´に向かい、時刻τ₁にx´で反射されて原点に向かい、時刻τ₂に原点に戻ったとしよう。
 このとき、1/2(τ₀+τ₂)=τ₁  ‥‥‥‥‥(1)
がなりたたなければならない。関数τの引数を入れ、静止系で光速度一定原理を用いると、
 1/2[τ(0,0,0,t)+τ(0,0,0,{t+x´/(C-v)+x´/(C+v)})]=τ[(x´,0,0,t+x´/(C-v)] ‥‥‥‥(2)
となる。


 この事柄は、図-5のBをx´に置き換えた状態と同じです。
 ここで、(1)式の1/2(τ₀+τ₂)=τ₁は、τ₁=τ₂でなければ、成り立ちません。しかし、τ₁=(tB-tA)でτ₂=(t´A-tB)ですから、アインシュタインは棒を使った同時性の否定の時に、
     tB-tA=(rAB)/(C-v)、
     t´A-tB=(rAB)/(C+v)
としているので、アインシュタインの同時性の否定の時の考え方では、この(1)式は成り立たないはずなのに、成り立つとしています。
 一方では同時でないと言っておきながら、同じ事柄を行っているのにもう一方では、
同時でなければならないと言っているのです。
 静止系で光速度一定原理とありますが、これは、静止系に対する運動系の光の伝搬速度は静止系で一定だということを言っているように考えられます。
 静止系に対する運動系の光の伝搬速度は、運動系中で直接測定しないと判らないのです。今までの考察では、(C+V)や(C-V)と推測できましたが、現在でも、この速度は実測されていないのです。
 静止系中で光の伝搬速度が不変だからと言って、静止系に対する運動系の光の伝搬速度を静止系中の光の伝搬速度にすることは、できないのです。
(2)式を見てみましょう。(2)式のx´=(rAB)ですから、同時性の否定の時に使われた数値がそのまま入っています。この式は静止系を運動する棒を静止系の光で考察したときの値が入っているのです。この棒の動きを運動系として扱っているのです。このすべての考察が狂った状態で下式が導き出されています。


  Ζ=φ(V)β(x-vt)
  β=1/√{1-(v/C)²}
 そうです ローレンツ変換です。
 ローレンツ変換は、静止系を移動する棒を運動系として導き出された式なのです。棒の理論なのです。
 このように、特殊相対性理論は、系の認識を誤った状態で導き出されているのです。
 静止系で同時な事象は、運動系でも同時なのです。同時性は維持されるのです。座標系の固有の時間は、ないのです。
 ローレンツ変換などないのです。
 余談ですが、特殊相対性理論で使用されている時空図では、同時刻線がX軸に対して、傾いていますが、同時性が維持されれば、X軸に平行になります。時空図は、間違った考察から出された図なのです。


注1) 静止系に対する運動系の光の速度がC+VやC-Vで観測されるためには、マックスウェルの波動方程式がガリレイ変換でも不変でなければなりません。これに関しては、すでに、不変であることが証明されていました。詳しい内容については、ブログ「崩壊した特殊相対性理論」を参照してください。

崩壊した特殊相対性理論

                                   特殊相対性理論における系の錯誤と矛盾
                        (特殊相対性理論は棒の理論の追加、訂正版)
[目  次]
1. はじめに
2. 系の捉え方と系の光の伝搬速度
3. 同時性は維持される
4. アインシュタインの文献に見る系の錯誤と矛盾
5. ミンコフスキー時空図での系の錯誤と矛盾
6. 光時計における系の錯誤による矛盾
7. マックスウェルの波動方程式はガリレイ変換でも不変
8. まとめ


1.はじめに
 特殊相対性理論は数々の矛盾の指摘があるにもかかわらず、いまだに多くの物理学者に受け入れられて、いまだに大きな影響力を持っています。
 多くの指摘があるにもかかわらず、根本的な間違いを指摘できない事と、マックスウェルの波動方程式がガリレイ変換でも不変でなかった為に、特殊相対性理論は、そのまま受け入れられているのが現状です。
 このブログでは、アインシュタイン等が犯している根本的な間違い「運動する系と静止系を移動する物体の違い。(系の捉え方)」と「マックスウェルの波動方程式がガリレイ不変であること」について記載したいと思います。


2.系の捉え方と系の光の伝搬速度 
 今回、間違いを指摘するにあたり、系の捉え方が良く判るように 光と同じような挙動の音を例にして話を進めます。
 巨大なドームの中を気球(音を伝えることができる非常に薄い膜でできた)が速度Vで移動しています。
 音ですから温度が一定で対流がないなら、ドームの中では、音は音源の移動速度にかかわらず、光が真空中を伝搬するように空気中を一定速度Vaで伝搬します。
 また、気球の中の観測者がドーム内の音の伝搬速度を測定すると、マイケルソン・モーレの実験と同じように観測者が系と共に移動しているにも関わらず、どの方向の伝搬速度もVaと等しくなります。
 そこで、光と同じように「音の速度は観測者の運動状態に無関係で、常にVaと一定の値になる。」とは、皆さんしないと思います。
 「観測者の運動状態に無関係」ではなく、「系内に静止する観測者に対する音の伝搬速度は、系の運動状態に無関係で、常にVaと一定の値になる。」となります。

                                       

                                                    図-1
 音に関しては系内や系外の音の伝搬状態が判っているから、正確な表現ができますが、光についても正確な表現をする必要があるように思われます。
 気球の外側のA点やB点でドームの音の伝搬速度を測定すると(Va+V)や(Va-V)になり、ドーム側から気球の中の音の伝搬速度を測定できたら、(Va+V)や(Va-V)になります。これらの速度は、その系内では、系の伝搬速度が支配的になり、直接測定することはできないのです。         
 運動系に対する静止系の音の伝搬速度は、静止系を運動系と同じ速度で移動し、静止系の空気(媒体)中で音の伝搬速度を測定しないと判らないのです。
 運動系中では、運動系の媒体の伝搬速度が支配的になり、系中で音の伝搬速度を計測しても、静止系の音の相対速度は判らないのです。
 この気球の外側(A点やB点)はドーム(静止系)を移動しますが、音を伝搬する媒体がドームの空気ですので、運動系ではありません。気球は、静止系の運動法則が適用される運動する物なのです。
 気球そのものは静止系を移動する物体で、静止系の運動法則が適用されます。
 ドームを移動する点や棒は、光の媒体がドーム内の空気ですから、ドームを静止系とすると、静止系を移動する物なのです。この点や棒には、静止系の運動法則が適用されるので、運動系ではないのです。
 運動系とは、音を伝搬する媒体が一緒に移動している気球の内部だけなのなのです。
 アインシュタインを含め、ほとんどの物理学者の皆さんは、この認識がないまま、議論を行っているのです。この認識を持って、特殊相対性理論を読み進むと「なんとばかげた理論展開を行っている!」と感じるはずです。


 光について考えてみます。 
    アインシュタイン論文選「奇跡の年」の5論文 青木薫訳 (ちくま学芸文庫)に記載されている「運動物体の電気力学」の論文(1905年 p253)では、「光は常に真空中を一定の速さC(V)で伝搬し、この速さは光源の運動状態には無関係を基本原理に付け加える。」との記載があります。
 その後、「アインシュタインの相対性理論」{M.Born著(林一訳)東京図書(1968年刊)Gauss単位系 原本のドイツ語初版は1920年刊}のp221では、「実験の教えるところによれば、光速は観測者の運動状態によらず、つねに同じ値Cをとる。」も付け加えられています。
   最初の論文が発表された1905年には、光は真空中を一定速度で伝搬する。および、マイケルソン、モーレーの実験等から、地球の大気中では、伝搬速度に方向性の違いを見いだせないことが判っています。

                                   

                                 図-2
 光の議論を行うときに、マックスウェルの波動方程式のガリレイ変換に関して、避けて通れない事柄ですが、それは、7章で行うので、ここでは実験事実に基づいて、大気中と真空中の伝搬速度が一定という2つの事柄から、音と同じような考察を行います。
   地球系内にいると、音と同じようにどのような速度を持った光でも地球の大気に入った時から、大気の媒質速度になり、伝搬速度に方向性がなく、Caと一定になります。
    M.Bornは、「光速は観測者の運動状態によらず、」と言っていますが、正しくは、移動する系内にいる観測者なのです。
   地球を空気が入った大きな気球と考えると、図-1のA点やB点のように地球(運動系)の系外の点で静止系の媒質中での光速度は測定されてはいないので、地球に対する静止系の光の相対速度は判らないのが実情です。
   その系内の速度を計測しても他の系の相対速度は、計測できていないことを、認識していないのです。          
   また、静止系に対する地球内部の光の伝搬速度も測定されていないのが実情です。
   光りについても系内と系外の速度が違う可能性があることを認識する必要があります。
   光の考察をするときも、静止系を運動する点や棒は運動系ではないことをしっかりと認識して議論されるべきなのです。
   音の伝搬速度から類推すると地球に対する静止系の光の伝搬速度は(C+V)や(C-V)で、静止系に対する地球の内部の光の伝搬速度は、(Ca+V)や(Ca-V)で、媒質が真空の場合は(C+V)や(C-V)と考えることができます。
   文章を読み進むに従い、この事柄が判ると思います。


3. 同時性は維持される
 「アインシュタインの相対性理論」(M.Born著)p201~205において、引き船とはしけを使って、絶対的同時性の否定を行っています。
 ここでは、音も使用して説明が行われているので、系の扱いを間違がっていることが判りやすいので、説明を行います。正確を期すため本文を抜粋します。
 

                           

                  図-3
 『船が静止しているときは、次の方法で船A,B上の時計を同期化することができる。A,Bの真ん中に船Cを置き、Cから信号音を発する。この音は、A,Bに同時に聞こえるはずである。
 さて、この船列Sが動いているとしても、明らかに同じ方法を応用することができる。
船が空気に対して、相対的に動いていることに乗務員が気づかなければ、かれらは、A,Bの時計は同じ速さで進んでいると信じるであろう。
(音で時刻合わせを常にしている)
 はしけA´,B´,C´からなる第2の船列S´がある。その隣りあう船の間隔は第1の船列Sのそれに等しいものとして、船上の時計を同じしかたでくらべてみる。
 さて、船列S´が船列Sを追いこす場合を考えよう。Sは静止しているとしても、また運動しているとしてもよい。ある瞬間にAはA´とならび、BはB´とならぶであろう。乗組員たちは、時計が一致しているかどうかを見ることができる。もちろん、かれらは一致していないことに気づくであろう。AとA´が偶然一致していたとしても、BとB´は一致しないであろう。
 これで上の方法の誤りが明らかになる。船が動いているときには、中央のCから発せられた信号は、船が静止している場合にくらべて、先行する船Aにいくのには余分に時間がかかり、後続の船Bへいくのにはより短い時間ですむ。なぜなら、Aは音波から遠ざかろうとしており、Bは近づきつつあるからである。時間の差は2つの船の速さによって変わる。(中略)
    上の方法は音を用いて時計を調節するものであったが、もちろん音の代わりに光を用いることも可能である。A,Bの時計は中点Cから送られてきた光信号が、つくたびに、ある一定の位置を指すように調整される。このやり方で、どんな系においても、それに属する時計を同期化することができる。だが、このような2つの系が出会う場合には、たとえばAとA´の時計は一致し、BとBダッシュの時計は針の位置が異なるといったことが起こる。どちらの系にもおいても物理法則は同一なので、それぞれ自分が静止していると主張することができ、したがって、同等の権利で自分の時間が正しいと主張できるのである。(中略)絶対同時性というものはない
 このような理論でBornは絶対同時性の否定を行っています。2章をお読みいただいた方は、すぐに判ったと思いますが、観測している音の媒体は、静止系の媒体であり、船には、静止系の運動法則が適用されるのです。どこにも運動系の媒体内のことが出てこないのです。 Bornは、静止系を移動する船を使い、静止系の媒体を伝搬する音や光を使い、運動系としているのです。


 では、この船の音源と時計を運動系にしてみましょう。

                      

                              図-4 
 時計と音源を丈夫な箱で連結し、密封します。この箱は船と共に移動し、中の空気も一緒に移動するので、(電車の中と同じ状態です。)船が等速度で運動する限りどんな速度で移動しようと、箱の中は運動系の運動法則が適用され、Cから出た音は、同時にAとBに届きます。密封された箱の中が運動系なのです。船自体と箱の中にいない観測者は、静止系を運動する物です。
 船列Sと船列S´がすれ違い、時刻合わせをするとA,A´,B,B´すべての時刻が一致します。
 Bornが言うところの絶対同時性はあることになります
 音を光に変えて、考察をします。
 Bornの考察で一つ重要な事柄が判りました。静止系を移動するAとBの時計には、音と同じように、光が(C+V)や(C-V)の速度で届いていることになります。Bornは考えついていなかったと思いますが、これは、船にいる静止系を移動する観測者は、光の速度を(C+V)や(C-V)として観測している事と同じです。
   また、船にいる観測者が箱の中の光速度を観測すると速度Cを観測するので、静止系に対する運動系の光の伝搬速度は、(C+V)や(C-V)になることが判ります。
    Bornが「同時性の概念」の最初に言った「実験の教えるところによれば、光速は観測者の運動状態によらず、つねに同じ値Cをとる。」は、自らの考察で、違う速度にしてしまっているのです。
   このように、Bornは静止系を運動する物と静止系の媒体を使い、運動系にして議論をしているのです。この間違いは、アインシュタインも犯しています。次にこの間違いを指摘します。


   アインシュタインの論文「運動物体の電気力学」(1905年)は、同時性の否定や、ローレンツ変換の式が導き出されている特殊相対性理論の根幹部分です。ここでも同じような間違いを犯しているので、実例を挙げながら話を進めます。
 まず、同時性の否定に関して記述します。ここでは、Bornとは違う方法で同期した時計が使われているので、時計の同期について説明します。(本文を抜粋)
 『空間内のA点とB点に時計が置かれていて、光線が「A時間」の時刻tAにA点を出発してB点に向かい、「B時間」の時刻tBにB点で反射されてふたたびA点に向かい、
「A時間」の時刻t´AにAに到着したとしよう。
 この時、もしも
   tB-tA=t´A-tB
が成り立つならば、これら二つの時計は同期していると定義する。』
 
次に同時性の否定について、見てみましょう。本のp259~260に記載されている内容を抜粋します。
 『さてここで、棒の両端(A点とB点)に、静止系で同期させた時計を取り付けよう。
 それら二つの時計が示す時刻は、その時たまたま位置した点での『静止系の時刻』に常に一致する。そうなるように、これらの時計を『静止系で同期させた』のである。
 さらに、どちらの時計にも、それといっしょに運動する観測者が一人ついていると想像しよう。その二人の観測者が第一節で定めた方法で、二つの時計を同期させるものとする。光線が、時刻tAにA点を出発し、時刻tBにB点で反射され、時刻t´AにA点に戻る。このとき、光速度一定原理を考慮すると、
   tB-tA=(rAB)/(C-v)本の中ではCがVと記載されています。)
および t´A-tB=(rAB)/(C+v)
となる。ここでrABは、運動している棒を静止系で測った時の長さを表す。こうして、棒と一緒に運動している観測者は、二つの時計は同期していないという結果を得るのに対し、静止系にいる観測者は、二つの時計はあっていると主張することになる。
 このことから同時性というものに絶対的な意味は与えられないことがわかる。二つの出来事が、ある座標系では、同時刻に起こったように見えても、その座標系に対して運動している別の座標系では、もはや同時刻の出来事とは考えられないのである。


 このように、棒と一緒に運動している観測者は、静止系の光を観測しているのです。棒の運動と運動系を区別できないで議論されているのです。
 前にも言いましたが、棒には、静止系の運動法則が適用されるのです。運動系ではないのです。運動系とは、光の媒質が移動している系内だけなのです。運動系内の光の観測は行われていないのです。
 棒ではなく、系を動かして時計の同期について考察してみます。  

                                

                    図-5


 図-5に示すように、箱(内部が運動系)の一辺ABがX軸上を速度Vで移動しているとします。このとき、箱の内部のAより光をBに向けて照射し、Bで反射されて、Aに戻るとします。このとき、箱の内部には、マックスウェルの波動方程式が適用されますので、棒の両端の箱の内部にいる観測者は、
     tB-tA  =(rAB)/C 
および  t´A-tB=(rAB)/C
を観測し、時計は同期しているのを確認します。
 静止系で同時の事象は、運動系でも同時に起こるのです。
 この同時性を否定する時間の式から、非常に重要な事柄を見出しました。Bornと同じように、棒と共に移動する観測者(静止系を移動する観測者)は、光の伝搬速度を(C+v)や(C-v)として観測していることです。
 このことは、2章で述べたように(運動系に対する静止系の音の伝搬速度は、静止系を運動系と同じ速度で移動し、静止系の空気(媒体)中で音の伝搬速度を測定しないと判らないのです。)運動系に対する静止系の光の伝搬速度が(C+v)や(C-v)になることを意味しています。
 静止系を運動系とし、運動系を静止系にすると同じことが言えるので、静止系に対する運動系の光の伝搬速度も(C+v)や(C-v)として捉えられることになります。
 また、「光速度は観測者の運動状態によらず、つねに同じ値Cをとる。」という項目は、この事柄からも、否定されなければなりません。
 この系の認識ができていないことは、つぎの本においても確認することができます。『特殊および一般相対性理論について』(アルバート・アインシュタイン著、金子 務 訳、白揚社)のp40~42において、列車と軌道堤と雷を使用して、同時性の否定をしていますが、静止系を移動する雷の光を使用して、考察しているのです。列車は、運動する棒と同じなのです。運動する系内(電車の中の光)は、観測されていないのです。
 このように、アインシュタインは、静止系を運動する物を、運動系として捉えているのです。アインシュタインを含め多くの物理学者の皆さんは、運動する系と運動する物の区別がついていないのです。


4.アインシュタインの文献に見る系の錯誤と矛盾        
 つぎに、アインシュタインの論文「運動する物体の電気力学」の最も重要な特殊相対性理論のベースとなる部分での間違いを指摘します。(p262~263)
 運動系kで起こった出来事の場所と時刻を指定する値ε,η,ζ,τに対して、静止系Kを指定する値x,y,z,tとを関係づける連立方程式を求めています。
 本文を抜粋します。
 『x´=x-vtとおくと、kで静止している点の座標は、明らかに、時間に依存しない一定の値の組、x´,y,z,tをもつ。まずτを、x´,y,z,tの関数として求めよう。そのためには、τはじっさいには、k系に静止している時計 ― 第1節で述べた規則によって同期させた時計 ― から得られる情報の総体であるということを、方程式の形で表さなければならない。
時刻τ₀にk系の原点からX軸に沿って放出された光線がx´に向かい、時刻τ₁に
x´で反射されて原点に向かい、時刻τ₂に原点に戻ったとしよう。
このとき、
1/2(τ₀+τ₂)=τ₁  ‥‥‥‥‥(1)
がなりたたなければならない。関数τの引数を入れ、静止系で光速度一定原理を用いると、
 1/2[τ(0,0,0,t)+τ(0,0,0,{t+
x´/(C-v)x´/(C+v)})]=τ[(x´,0,0,t+x´/(C-v)] ‥‥‥‥(2)
となる。


 この事柄は、図-3のBをx´に置き換えた状態と同じです。
 ここで、(1)式の1/2(τ₀+τ₂)=τ₁は、τ₁=τ₂でなければ、成り立ちません。しかし、τ₁=(tB-tA)でτ₂=(t´A-tB)ですから、アインシュタインは同時性の否定の時に、
      tB-tA=(rAB)/(C-v)
      t´A-tB=(rAB)/(C+v

としているので、アインシュタインの考え方では、この(1)式は成り立たないはずなのに、成り立つとしています。
 一方では同時でないと言っておきながら、同じ事柄を行っているのにもう一方では、
同時でなければならないと言っているのです。
 静止系で光速度一定原理とありますが、これは、静止系に対する運動系の光の伝搬速度は静止系で一定だということを言っているように考えられます。
 前にも記述しましたが、静止系に対する運動系の光の伝搬速度は、運動系中で直接測定しないと判らないのです。思考実験では、推測できましたが、現在でも、この速度は実測されていないのです。
 静止系中で光の伝搬速度が不変だからと言って、静止系に対する運動系の光の伝搬速度を静止系中の光の伝搬速度にすることは、できないのです。
(2)式を見てみましょう。(2)式のx´=(rAB)ですから、同時性の否定の時に使われた数値がそのまま入っています。この式は静止系を運動する棒を静止系の光で考察したときの値が入っているのです。この棒の動きを運動系として扱っているのです。このすべての考察が狂った状態で下式が導き出されています。


  Ζ=φ(V)β(x-vt)
  β=1/√{1-(v/C)²}
 そうです ロレンツ変換です。
 ロレンツ変換は、静止系を移動する棒を運動系として導き出された式なのです。棒の理論なのです。


5.ミンコフスキー時空図での系の錯誤と矛盾


アインシュタインの時空図を確認する前に、ミンコフスキー時空図を確認してみます。
 ミンコフスキー時空図は、XY平面上の点の動きと原点から全方向に出した光と時間の関係をXY軸に垂直に時間軸を立て、表した図です。
   

          

                 図-6
 この時、点の動きが放物線状になっていても 時間軸は、XY平面に対して、垂直になっていて、点のどんな動きに対しても変わらない表し方をしています。
 ミンコフスキー時空図は 本来、原点を移動する点の静止系の時空図です。点の動きですから運動系に適用できる時空図ではありません。
 XY平面上の点と光の関係を立体化しないで各時間での状態で見てみます。    

     

                図-7
 立体的に見ないで、各時間の状態を確認すると、点は常にXY面に存在し、光は点から同心円にないことが判ります。
 この各時間の状態を連続的に重ね合わせると、ミンコフスキー時空図になります。
 光と点はミンコフスキー図の原点から同時に出ますので、静止系を運動する点に対する光速度は、(C+V)や(C-V)になっています
 ここでも、光速度不変原理の「運動している観測者から見ても光は同じ速さで伝わる」は、否定されています。点は運動系ではないのです!
 (XY平面上の原点からX軸に沿って、図-5の気球のA点を速度Vで移動させ、光りも同時に照射します。A点の外側は静止系で、内側は運動系です。A点に対する光速度が(C+V)や(C-V)ですから、運動系に対する静止系の光の相対速度が、(C+V)や(C-V)になります。運動系と静止系を逆にして考えると静止系に対する運動系の光の相対速度も、(C+V)や(C-V)になります。ミンコフスキー図から考察しても同じようになります。)


 次に、「アインシュタインの相対性理論」(M.Born著)のp206~207に書かれている時空図の説明部分を考察します。
 それまで、x´軸が傾いた時空図は存在しませんでしたが、光の世界線だけを利用して、新たな時空図を作っています。
 本と同じような方法で、直線状の道路に並んだ等間隔に設置したA・B・Cの3点の点の移動状態の時空図を作ります。
 最初にA・B・Cの3点と道路から前面に光を同時に照射し、点が動いていない時の時空図を作成します。3個のミンコフスキー時空図を重ね合わせたと考えてください。
         

             

                図-8
 本では、B点からしか光を照射していませんが、(この状態は同時性を否定したときに用いた船で行ったことと同じことがらです。船を点と考えると判ります。)間違いを明確にするために、3点から光を照射してあります。道路上(静止系)から出した光ですから 同時に出ています。 
 この図で、時刻t₁でA₁・B₁・C₁点にはすべての光が同時に届きます。(時計の同期と同じことを言っています。)
 次に、A・B・Cの点を速度Vで図の右方向に移動させ、同時に光を照射します。
 この時の時空図を図-9に示します。       

          

                 図-9
 時空図上で赤の線が光の世界線で、実線が本で使用している線です。
 茶色の線が各点の世界線(移動経路)で B点の世界線を見るとCを出た光が最初に到達し、B₁点ができ、次にA点の光が到達しB₁点ができています。
 本では、B点の光(赤の実践の部分)しか使用していません。
 この点の動きを運動系として考えると点と一緒に移動する観測者は、A₁点とC₁点に同時に光が届くと考え、A₁点とC₁点を線で結び運動系で同時刻だとしています。
 静止系の点の動きと静止系の光を使用しています。
 本では光りをB点からしか照射していないから判りませんでしたが、3点のミンコフスキー時空図を別々に作ることにより、Bornと同じ考え方をするとB₁点2個も運動系の観測者は同時刻と認識するのです。 しかし、Bornが同時刻と考えた直線状にB₁2点はないのです。
 そして、この点は、3章の同時性の否定で使用した船そのものなので、観測者が船と一緒に移動しても、静止系を移動しているだけなのです。運動系は密閉した箱の中だけなのです。箱の中の光は、静止系の光と違う挙動をし、静止系に対する運動系の光の速度は、Cではないのです。しかし、Bornは静止系の光をそのまま用いて、光の世界線にしています。
 この時空図は静止系を移動する点の時空図なのです。それを運動系にし、A₁,B₁点が同時だとしてにX´軸を傾けているのです。
 船の考察において、Bornの間違いを指摘し、系が違っても同時性は、維持されることを指摘しましたが、同時性が維持されれば、時空図で同時刻線はX軸に平行になるのです。決して、傾いたりしないのです。
 次に、アインシュタインの時空図を使って、時空図の矛盾を示します。

        

               図-10
 速度Vで移動する電車の点A,Cの中点BからA,Cに光を照射し、その光の状態を地上のMとNの両側から観察し、時空図を作ります。 

        

                  図-11
 この図を重ね合わせた状態を図-12に示します。 

                                        図-12

 A点とB点に着目すると見る方向が違うだけで、時間のずれが生じているのです。同じ電車を地上から観察しているのに、どうして時間のずれが生じるのでしょうか。光が介在しなくてもこのような時間のずれが起こるのでしょうか。
 これは、何度も書きましたが、アインシュタインが地上の光速度を運動系の光速度とし、地上の点の動きの時空図を利用し、運動系の事象とし、X軸やX´軸を傾けたために、A,A´及びB,B´双方に時刻のずれが生じているのです。系同士で同時性が維持さているので、X軸が傾くことなど起こらないのです。
 では、A,B,C点を運動系内に入れ、(電車の中に点があると考えてください。)地上に対する運動系の光の相対速度を光の世界線として時空図を作成してみます。
       


           

                   図-13
 この図において運動系の世界線は、(C+V)と(C+V)にしてあります。この図のように、同時線は、X軸に平行になり、また、時刻の遅れもありません。
 これが、真の運動系の点の移動状態の時空図です。


6.光時計における系の錯誤と矛盾
 運動する物体の時刻の遅れは、光時計を使用して、説明されています。
 静止系で全て同期してあり、同じ時刻を表示するように設定されている光時計を3個使用し、アインシュタインの光の考察方法を使用して、矛盾点を指摘します。 

             

                    図-13
 図のように長さLの光時計3個を速度Vで移動している電車に設置します。AM、
CMの光時計は角度を変えることができるように設置されています。
 まず、AMCが直線の時の時間の遅れを考察します。光時計の光はすべて、Mから光が照射されるとします。
 Mから出た光が、A,B,C各点に届いた時間を計測し、Mに戻った時の時間を計測します。これを表-1にまとめます。
                   表-1 

 

 光時計AMの往路の時間と光時計CMの復路の時間は、時間の進みを観測します。AMとBMの合計時間は一緒ですが、BMの合計時間とは、一致しません。
 運動系の光が距離Lを進む時間がこのように光時計ではバラバラで観測されるのです。
 AMとCMの光時計の角度を変えると、角度によって、全く違う値が観測されます。
 この光時計を静止系にも設置し、静止系と運動系から同時に観測すると合計時間はまるっきり同じ値になります。同時に同じ遅れを観測するのです?両方の時間は同じなのです。光の考察方法に問題があるのです。
 光時計では、運動系の時間を測定できないのです。
 なぜ、このような現象が起きたのでしょうか?
 それは、静止系に対する運動系の光の相対速度を考慮していないことと、図-14に示すように速度により合成された光の軌跡√(C²+V²)をCとしているから起きている矛盾なのです。             

             

                 図-14
 光時計は、運動系の光の相対速度等を考慮しない限り、時間の測定には使用できないのです。


7.マックスウェルの波動方程式はガリレイ変換でも不変
 今までの考察で、静止系に対する運動系の光の伝搬速度が、(C+V)や(C-V)になるとしてきましたが、ここで問題になるのが、マックスウェルの波動方程式がガリレイ変換で不変にならないことです。
 しかし、KENZOU氏が次のブログでマックスウェルの波動方程式がガリレイ変換で不変であることを証明しています。
 有機合成を専攻した私は、まだ勉強したことがない事柄なので、次のブログを参照してください。
「物理Tips ~波動方程式とガリレイ変換について~ KENZOU 2008年5月19日(http://hB3.seikyou.ne.jp/home/E-YAmA/weqgA.pdf)」
(KENZOU氏に連絡したかったのですが、連絡先が解らず、無断で使用しています。ご容赦ください。) 
 この中の4ページ目の(21)式で
 φ(x´,t´)=f(x´-(C-V)t´)+g(x´+(C+V)t´)
の解を得ています。
 この解から、静止系に対する運動系の光の伝搬速度が、進行方向の光の伝搬速度は(C-v)で進み、逆の光は、(C+v)で進むことが解ります。これは、静止系に対する運動系の光の速度が(C-v)や(C+v)で移動すると推測した事柄を裏付けることです。
 マックスウェルの波動方程式は、ガリレイ変換でも不変なのです。
 この中で、KENZOU氏は、『電磁波を伝える媒質をエーテルと呼び、このエーテルに対して静止している系だけで、マックスウェルの方程式が成り立つと考えられる。  
また、音波のアナロジーから、波源と観測者が媒質(エーテル)と一緒に運動する場合以外には、(21)式のように光の伝わる速さは方向によって異なると観測されるはずである。ところが、マイケルソン・モーリーの実験により、「真空中での光の速さは
観測者の運動や光源の運動状態が変わっても、光の進む方向によらず、一定である」という実験結果が得られ、このことから、エーテルという媒質の存在は、否定されることになった。
という見解を記述しています。
 上の運動している観測者(観測者の運動)は、地球の系内に留まっていて、大気中(運動系内)の光速度を測定しているので、図-1のA点やB点のように系外の静止系の媒体中での光速度は測定していないのです。また、系内では直接測定することができないのです。
 マイケルソン・モーリーの実験により、エーテルは固定されていないことは、判りました。(地球が収縮していたら、別ですが、)しかし、そのほかのことは判っていないのです。
 エーテルが地球と共に移動していれば、マックスウェルの波動方程式からわかるようにどんな速度の光も、系内(地球の大気に入った時から、)では、すべての方向の光速度は一定の速度になるのです。系外の光速度とは、別のものなのです。この部分の認識ができていないようです。
 KENZOU氏の言うように、エーテル説を否定することは、できないのです。
 KENZOU氏が導き出した、マックスウェルの波動方程式の解は、エーテル移動説を裏付ける事柄として捉えることができ、今まで考察した静止系に対する運動系の光速度が(C+V)や(C-V)になることを裏付けるものと考えられます。


8.まとめ
 ここまで本文を読んで頂いた方は、アインシュタインの特殊相対性理論の根幹部分は、系の錯誤による、棒の理論であることをお解りいただけたと思います。
 運動する物体の時間の遅れ、ロレンツ変換、物体の収縮、アインシュタイン時空図は間違った認識から導き出された理論なのです。
 同時性は維持されるのです。
 光速度不変原理は、誤解のないように、書き換えられるべきだと考えます。
 また、マックスウェルの波動方程式の解、アインシュタインの同時性の否定で使われた棒に対する光速度、ミンコフスキー時空図から考察した点に対する光速度より、実際には測定されていませんが、静止系に対する運動系の光の相対速度及び、運動系に対する静止系の光の相対速度は、(C+V)や(C-V)になると推測されます。


特殊相対性理論は棒の理論

[はじめに]
 特殊相対性理論は数々の矛盾の指摘があるにもかかわらず、いまだに多くの物理学者に受け入れられて、いまだに大きな影響力を持っています。
 前ブログで運動する時計の遅れやミンコフスキー時空図の矛盾点を指摘しましたが、根本的に何が違っていたかを明確にしたいと考え、これを書きました。
   アインシュタインもそうですが、系の捉え方に根本的な間違いがあるのです。
 物理学者でない私が、なぜ、このようなことを書くかというと、間違った理論が、世間一般に通用し、社会に影響があることが、許せないからです。
 物理学には素人なので、おかしいところがあったら、どんどん反論してください。
 お待ちしています。


1.系の捉え方と伝搬速度


 今回、間違いを指摘するにあたり、系の捉え方が良く判るように 光と同じような挙動の音を例にして話を進めます。
 巨大なドームの中を気球(音を伝えることができる非常に薄い膜でできた)が速度Vで移動しています。
 音ですから温度が一定で対流がないなら、ドームの中では、音は音源の移動速度にかかわらず、光が真空中を伝搬するように空気中を一定速度で伝搬します。
また、気球の中では、マイケルソンらの実験と同じように気球が移動しているにも関わらず、どの方向の伝搬速度もVaと等しくなります。
しかし、気球内での速度が一定だから気球に対するドーム内の音の伝搬速度が、Vaとはなりません。気球の外側のA点やB点でドームの音の伝搬速度を測定すると(Va+v)や(Va-v)になり、ドーム側から気球の中の音の伝搬速度を測定すると(Va+v)や(Va-v)になります。
            

          

              図-1
 運動系に対する静止系の音の伝搬速度は、静止系を運動系と同じ速度で移動し、静止系の空気(媒体)中で音の伝搬速度を測定しないと判らないのです。
 運動系の媒体が介在すると運動系の媒体の伝搬速度が支配的になり、静止系の相対速度は判らなくなるのです。
 この気球の外側のA点やB点はドーム(静止系)を移動しますが、音を伝搬する媒体がドームの空気ですので、運動系ではありません。静止系を運動する物なのです。
 運動系とは、音を伝搬する媒体が一緒に移動している気球の内部だけなのです。
 気球そのものは静止系を移動する物体で、静止系の運動法則が適用されます。
 ドームを移動する点や棒は、光の媒体がドーム内の空気ですから、ドームを静止系とすると、静止系を移動する物なのです。この点や棒には、静止系の運動法則が適用されるので、運動系ではないのです。
 ほとんどの物理学者の皆さんは、この認識がないまま、議論を行っているのです。


 光について考えてみます。
 アインシュタイン論文選「奇跡の年」の5論文 青木薫訳 (ちくま学芸文庫)に記載されている「運動物体の電気力学」の論文(p253)では、「光は常に真空中を一定の速さC(V)で伝搬し、この速さは光源の運動状態には無関係を基本原理に付け加える。」との記載があります。
 現在では、「運動している観測者から見ても光は同じ速さで伝わる」も付け加えられています。
 上の論文が発表された1905年には、光は真空中を一定速度で伝搬する。および、マイケルソンらの実験から、地球の大気中では、伝搬速度に方向性の違いは見いだせないことが判っています。
 この2つの事柄から、音と同じような考察を行ってみます。
 大気中では、伝搬速度に方向性がなく、Caと一定で、真空中の光の伝搬速度もCと一定なので、運動系の光の静止系に対する相対速度もCで観測されると考えている人がほとんどのように思われます。
 しかし、音と同じようにどのような速度を持った光でも地球の大気に入った時から、大気の媒質速度になり、伝搬速度に方向性がなく、Caと一定になると考えられます。
 そして、図-1のA点やB点のように地球(運動系)の系外の点で静止系の媒質中での光速度は測定されてはいないので、地球に対する静止系の光の相対速度は分からないのが実情です。
 その系内の速度を計測しても他の系の相対速度は、計測していないことを、認識できていないのです。   

           

                 図-2
 また、静止系に対する地球内部の光の伝搬速度も測定されていないのが実情です。
 光りについても系内と系外の速度が違うことを認識する必要があります。
 光の考察をするときも、静止系を運動する点や、棒は運動系ではないことをしっかりと認識して議論されるべきなのです。
 音の伝搬速度から類推すると地球に対する静止系の光の伝搬速度は(C+V)や(C-V)で、静止系に対する地球の内部の光の伝搬速度は、(Ca+V)や(Ca-V)で、媒質が真空の場合は(C+V)や(C-V)と考えるのが妥当と考えられます。
 ここで問題になるのが、運動系では、マックスウェルの波動方程式が不変にならないと考えられていることです。
 これについては、次の章で、考察します。


2.マックスウェルの波動方程式はガリレイ変換でも不変


 物理学者さんが問題としていたマックスウェルの波動方程式のガリレイ変換が不変にならない問題に対して、すでに、KENZOU氏が次のブログでマックスウェルの波動方程式がガリレイ変換で不変であることを証明しています。
 有機合成を専攻した私は、まだ勉強したことがない事柄なので、次のブログを参照してください。
「物理Tips ~波動方程式とガリレイ変換について~ KENZOU 2008年5月19日(http://hb3.seikyou.ne.jp/home/E-Yama/weqga.pdf)」
(KENZOU氏に連絡したかったのですが、連絡先が解らず、無断で使用しています。ご容赦ください。) 
この中の4ページ目の(21)式で
 φ(x´,t´)=f(x´-(C-V)t´)+g(x´+(C+V)t´)
の解を得ています。
 この解から、静止系に対する運動系の光の伝搬速度が、進行方向の光の伝搬速度は(C-v)で進み、逆の光は、(C+v)で進むことが解ります。 これは、1章で述べた運動系に対する静止系の光の速度が(C-v)や(C+v)で移動すると推測した事柄を裏付けることです。
 マックスウェルの波動方程式は、ガリレイ変換でも不変なのです。
 この中で、KENZOU氏は、『電磁波を伝える媒質をエーテルと呼び、このエーテルに対して静止している系だけで、マックスウェルの方程式が成り立つと考えられる。  
 また、音波のアナロジーから、波源と観測者が媒質(エーテル)と一緒に運動する場合以外には、(21)式のように光の伝わる速さは方向によって異なると観測されるはずである。ところが、マイケルソン・モーリーの実験により、「真空中での光の速さは
観測者の運動や光源の運動状態が変わっても、光の進む方向によらず、一定である」という実験結果が得られ、このことから、エーテルという媒質の存在は、否定されることになった。
という見解を記述しています。
 上の運動している観測者(観測者の運動)は、地球の系内に留まっていて、大気中(運動系内)の光速度を計測しているので、図-1のA点やB点のように系外の静止系の媒体中での光速度は計測していないのです。
 マイケルソン・モーリーの実験により、エーテルは固定されていないことは、判りました。(地球が収縮していたら、別ですが、)しかし、そのほかのことは判っていないのです。
 エーテルが地球と共に移動していれば、マックスウェルの波動方程式からわかるようにどんな速度の光も、系内(地球の大気に入った時から、)では、すべての方向の光速度は一定の速度になるのです。系外の光速度とは、別のものなのです。この部分の認識ができていないようです。
 KENZOU氏の言うように、エーテル説を否定することは、できないのです。
 KENZOU氏が導き出した、マックスウェルの波動方程式の解は、エーテル移動説を裏付ける事柄として捉えることができ、静止系に対する運動系の光速度が(C+V)や(C-V)になることが予想されます。
 更に、読み進んで頂ければこの速度に関する事柄は、判ると思います。
 運動系で、マックスウェルの波動方程式が不変でないことが、光速度不変原理(特殊相対性理論)を物理学者が支持していた大きな要因ですが、それがこのことによりなくなりました。


3.論文「運動物体の電気力学」における系の錯覚


 アインシュタインの論文「運動物体の電気力学」(1905年)において、系を錯覚して話が進められているので それについて指摘したいと思います。
 この論文では、同時性の否定や、ロレンツ変換の式が導き出されている特殊相対性理論の根幹部分なのです。
 このことについて実例を挙げながら話を進めます。
 まず、同時性の否定に関して記述します。その前に、ここでは、同期した時計が使われているので、時計の同期について説明します。(本文を抜粋)
 空間内のA点とB点に時計が置かれていて、光線が「A時間」の時刻tAにA点を出発してB点に向かい、「B時間」の時刻tBにB点で反射されてふたたびA点に向かい、
「A時間」の時刻t´AにAに到着したとしよう。
 この時、もしも
   tB-tA=t´A-tB
が成り立つならば、これら二つの時計は同期していると定義する。

 次に同時性の否定について、見てみましょう。本のp259~260に記載されている内容を抜粋します。
 「さてここで、棒の両端(A点とB点)に、静止系で同期させた時計を取り付けよう。
 それら二つの時計が示す時刻は、その時たまたま位置した点での『静止系の時刻』に常に一致する。そうなるように、これらの時計を『静止系で同期させた』のである。
 さらに、どちらの時計にも、それといっしょに運動する観測者が一人ついていると想像しよう。その二人の観測者が第一節で定めた方法で、二つの時計を同期させるものとする。光線が、時刻tAにA点を出発し、時刻tBにB点で反射され、時刻t´AにA点に戻る。このとき、光速度一定原理を考慮すると、
   tB-tA=
(rAB)/(C-v)本の中ではCがVと記載されています。
および t´A-tB=
(rAB)/(C+v)
となる。ここでrABは、運動している棒を静止系で測った時の長さを表す。こうして、棒と一緒に運動している観測者は、二つの時計は同期していないという結果を得るのに対し、静止系にいる観測者は、二つの時計はあっていると主張することになる。
 このことから同時性というものに絶対的な意味は与えられないことがわかる。二つの出来事が、ある座標系では、同時刻に起こったように見えても、その座標系に対して運動している別の座標系では、もはや同時刻の出来事とは考えられないのである。


 このように、棒と一緒に運動している観測者は、静止系の光を観測しているのです。棒の運動と運動系を区別できないで議論されているのです。前にも言いましたが、棒には、静止系の運動法則が適用されるのです。運動系ではないのです。
 運動系とは、光の媒質が移動している系内だけなのです。運動系内の光の観測は行われていないのです。
 この系の認識ができていないことは、つぎの本においても確認することができます。『特殊および一般相対性理論について』(アルバート・アインシュタイン著、金子 務 訳、白揚社)のp40~42において、列車と軌道堤と雷を使用して、同時性の否定をしていますが、静止系を移動する雷の光を使用して、考察しているのです。列車は、運動する棒と同じなのです。
 このように、アインシュタインは、静止系を運動する物を、運動系として捉えているのです。運動系と運動する物の区別がついていないのです。
 この同時性を否定する時間の式から、非常に重要な事柄を見出しました。棒(静止系を移動する観測者)は、光の伝搬速度を(C+v)や(C-v)として観測していることです。
 このことは、1章で述べたように運動系に対する静止系の光の伝搬速度が(C+v)や(C-v)になることを意味しています。
 静止系を運動系とし、運動系を静止系にすると同じことが言えるので、静止系に対する運動系の光の伝搬速度も(C+v)や(C-v)として捉えられることになります。
 また、光速度不変原理の「運動している観測者から見ても光は同じ速さで伝わる」という項目は、この事柄から、否定されなければなりません。
 棒ではなく、系を動かして時計の同期について考察してみます。
 図-3に示すように、箱(内部が運動系)の一辺ABがX軸上を速度Vで移動しているとします。このとき、箱の内部のAより光をBに向けて光を照射し、Bで反射されて、Aに戻るとします。このとき、棒の両端の箱の内部にいる観測者は、
     tB-tA=(rAB)/C 
および  t´A-tB=(rAB)/C
を観測し、時計は同期しているのを確認します。
 アインシュタインが言うように棒では、同時性の否定は、できないのです。     

           

                 図-3
 また、図-3のA,B(棒)は、図-1のA,B点に相当しますので、アインシュタインが出した
    tB-tA=(rAB)/(C-v)
および t´A-tB=(rAB)/(C+v)
から、運動系に対する静止系の光の相対速度は(C+V)や(C-V)になることが判ります。
 図-3があるので、少し寄り道します。
 今、箱の内部のA,B点の中間点Mより、A,B点に光を同時に照射したとします。この時、観測者SがB点より速度VでA方向に移動したとします。箱の内部にいる観測者Sは、光の伝搬速度をどのように見るかを考えましょう。
 箱を静止系とすると、観測者は、速度VでA方向に移動していることになります。
 私は、A方向の速度は(C-V)でB方向の光は、(C+V)とSが観測し、A,B点に同時に光が到達するのを確認すると考えます。
 では、静止系からこの動きを観測したら、どうなるのでしょうか?
 Sは静止系から見ると静止した点です。このSに対する速度が(C-V)や(C+V)なのです。また、SをABのラインに張り付け、図-1のA,B点の逆で、運動系の光の伝搬速度を測定したと考えるのです。
 静止系から見た運動系の光の伝搬速度は、A方向の速度は(C-V)でB方向の速度は、(C+V)と観測し、AB点に同時に光が届くと考えますが、皆さんはどうお考えですか?


 つぎに、アインシュタインの論文「運動する物体の電気力学」の最も重要な特殊相対性理論のベースとなる部分での間違いを指摘します。(p262~263)
 運動系kで起こった出来事の場所と時刻を指定する値ε,η,ζ,τに対して、静止系Kを指定する値x,y,z,tとを関係づける連立方程式を求めています。
 本文を抜粋します。
 x´=x-vtとおくと、kで静止している点の座標は、明らかに、時間に依存しない一定の値の組、x´,y,z,tをもつ。まずτを、x´,y,z,tの関数として求めよう。そのためには、τはじっさいには、k系に静止している時計 ― 第1節で述べた規則によって同期させた時計 ― から得られる情報の総体であるということを、方程式の形で表さなければならない。
時刻τ₀にk系の原点からX軸に沿って放出された光線がx´に向かい、時刻τ₁に
x´で反射されて原点に向かい、時刻τ₂に原点に戻ったとしよう。
このとき、
1/2(τ₀+τ₂)=τ₁  ‥‥‥‥‥(1)
がなりたたなければならない。関数τの引数を入れ、静止系で光速度一定原理を用いると、
 1/2[τ(0,0,0,t)+τ(0,0,0,{t+x´/(c-v)x´/(c+v)})]=τ[(x´,0,0,t+x´/(c-v)] ‥‥‥‥(2)
となる。


 この事柄は、図-3のBをx´に置き換えた状態と同じ事柄です。
 ここで、(1)式の1/2(τ₀+τ₂)=τ₁は、τ₁=τ₂でなければ、成り立ちません。
 しかし、τ₁=(tB-tA)でτ₂=(t´A-tB)ですから、アインシュタインは、同時性の否定の時に、
     tB-tA=(rAB)/(C-v)、
     t´A-tB=(rAB)/(C+v)
にしているので、アインシュタインの考え方では、この(1)式は成り立たないはずなのに、成り立つとしています。
 一方では同時でないと言っておきながら、同じ事柄を行っているのにもう一方では、
同時でなければならないと言っているのです。
 静止系で光速度一定原理とありますが、これは、静止系に対する運動系の光の伝搬速度は静止系で一定だということを言っているように考えられます。
 前にも記述しましたが、静止系に対する運動系の光の伝搬速度は、運動系中で直接測らないと判らないのです。思考実験では、判りましたが、現在でもこの速度は測定されていないのです。
 静止系中で光の伝搬速度が不変だからと言って、静止系に対する運動系の光の伝搬速度を静止系中の光の伝搬速度にすることは、できないのです。
(2)式を見てみましょう。(2)式のx´=(rAB)ですから、この式は静止系を運動する棒を静止系の光で考察したときの値が入っているのです。この棒の動きを運動系として扱っているのです。このすべての考察が狂った状態で下式が導き出されています。


  Ζ=φ(V)β(x-vt)
  β=1/√{1-(v/c)²}
 そうです ロレンツ変換です。
 ロレンツ変換は、静止系を移動する棒を運動系として導き出された式なのです。棒の理論なのです。


4.アインシュタインのミンコフスキー時空図


 アインシュタインの時空図を確認する前に、ミンコフスキー時空図を確認してみます。
 ミンコフスキー時空図は、XY平面上の点の動きと原点から全方向に出した光と時間の関係をXY軸に垂直に時間軸を立て、表した図です。  

         

                 図-4
 この時、点の動きが放物線状になっていても 時間軸は、XY平面に対して、垂直になっていて、点のどんな動きに対しても変わらない表し方をしています。
 ミンコフスキー時空図は 本来、原点を移動する点の静止系の時空図です。点の動きですから運動系に適用できる時空図ではありません。
 光と点はミンコフスキー図の原点から同時に出ますので、静止系を運動する点に対する光速度は、(C+V)や(C-V)になります。
 ここでも、光速度不変原理の「運動している観測者から見ても光は同じ速さで伝わる」は、否定されています。点は運動系ではないのですよ!
 (面白いことを思いついたので、ちょっと寄り道します。XY平面上の原点からX軸に沿って、図-3の気球のA点を速度Vで移動させ、光りも同時に照射します。
 A点の外側は静止系で、内側は運動系です。A点に対する光速度が(C+V)や(C-V)ですから、運動系に対する静止系の光の相対速度が、(C+V)や(C-V)になります。運動系と静止系を逆にして考えると静止系に対する運動系の光の相対速度も、(C+V)や(C-V)になります。)


 それまで、x´軸が傾いた時空図は存在しませんでしたが、光の世界線だけを利用して、アインシュタインは新たな時空図を作っています。
 これから、アインシュタイン時空図の矛盾点を考察します。
 アインシュタインと同じような方法で、直線状の道路に並んだ等間隔に設置したA・B・Cの3点の点の移動状態の時空図を作ります。
 最初にA・B・Cの3点と道路から前面に光を同時に照射し、点が動いていない時の時空図を作成します。3個のミンコフスキー時空図を重ね合わせたと考えてください。
図-5(赤のラインは光の世界線です。)
       

         

                図-5
 アインシュタインはB点からしか光を照射していませんが、間違いを明確にするために、3点から光を照射してあります。道路上(静止系)から出した光ですから 同時に出ています。 
 この図で、時刻t₁でA₁・B₁・C₁点にはすべての光が同時に届きます。
 次に、A・B・Cの点を速度Vで図の右方向に移動させ、同時に光を照射します。
 この時の時空図を図-6に示します。
   

         

                 図-6
 時空図上で赤の線が光の世界線で、実線がアインシュタインの使用した線です。
 茶色の線が各点の世界線(移動経路)で B点の世界線を見るとCを出た光が最初に到達し、B₁点ができ、次にA点の光が到達しB₁点ができています。
 アインシュタインは、B点の光(赤の実践の部分)しか使用していません。
 この点の動きを運動系として考えると点と一緒に移動する観測者は、A₁点とC₁点に同時に光が届くと考え、A₁点とC₁点を線で結び運動系で同時刻だとしています。
 しかし、3章のアインシュタインの同時性の否定の考察からするとA₁点とC₁点に同時に光が届くはずがないのです。ここでも同時性の時とは矛盾した考え方をしています。
 このように静止系の点の動きをそのまま運動系にして、ミンコフスキー時空図は作られているのです。 
 アインシュタインは光りをB点からしか照射していないから判りませんでしたが、3点のミンコフスキー図を別々に作ることにより、アインシュタインと同じ考え方をするとB₁点2個も運動系の観測者は同時と認識するのです。 しかし、アインシュタインが同時刻と考えた直線状にB₁2点はないのです。
 これは、静止系の光速度を運動系の光速度として使用したために矛盾が生じているのです。この時空図は静止系を移動する点の時空図なのです。それを運動系にし、強引にX´軸を傾けているのです。
 次に、アインシュタインの時空図を使って この矛盾を示します。
 速度vで移動する電車の中央B´から電車の前後に光を同時に照射します。
 この時、電車に対応した位置BからA,Cに光を照射し、双方向から光の状態を観察します。      

       

              図-7
 この状態のアインシュタイン時空図を示します。(図-8)
    

    

                図-8
 この図を重ね合わせた状態を図-9に示します。
     

       

                図-9
 同時刻線が重なる点(B,B´)は同時刻になっていて、時刻の遅れもありません。
 電車の進行方向を逆にすると図-8の運動系を静止系にし、静止系を運動系にしただけでまるっきり同じ状態図が得られます。(XがX´になり、X´がXになりますが、)
 この運動系から見た二つの時空図を重ねると、図-9そのものになります。(XがX´になり、X´がXになりますが、)
 A点とB点に着目すると同じ速度で移動しているにもかかわらず、方向が違うだけで、時間のずれが生じているのです。同じ速度で移動しているのに、なぜ、方向が違うと同じ点の時間が違うのでしょうか!
 これは、アインシュタインが地上の光速度を運動系の光速度とし、地上の点の動きの時空図を利用し、X軸やX´軸を傾けたために、A,A´及びB,B´双方に時刻のずれが生じているのです。
 またB点に着目すると、運動する物体の時刻の遅れなどは、見いだせないのです。


5.運動する物体の時刻の遅れ


 運動する物体の時刻の遅れは、光時計を使用して、説明されています。
 静止系で全て同期してあり、同じ時刻を表示するように設定されている光時計を3個使用して、矛盾点を指摘します。     

         

               図-10
 図のように長さLの光時計3個を速度Vで移動している電車に設置します。AM、
CMの光時計は角度を変えることができるように設置されています。
 まず、AMCが直線の時の時間の遅れを考察します。光時計の光はすべて、Mから光が照射されるとします。
 Mから出た光が、A,B,C各点に届いた時間を計測し、Mに戻った時の時間を計測します。これを表-1にまとめます。
                  表-1  

 

 光時計AMの往路の時間と光時計CMの復路の時間は、時間の進みを観測します。AMとCMの合計時間は一緒ですが、BMの合計時間とは、一致しません。
 運動系の光が距離Lを進む時間がこのように光時計ではバラバラで観測されるのです。
 AMとCMの光時計の角度を変えると、角度によって、全く違う値が観測されます。
 この光時計を静止系にも設置し、静止系と運動系から同時に観測すると合計時間はまるっきり同じ値になります。同時に同じ遅れを観測するのです?両方の時間は同じなのです。測定方法に問題があるのです。
 なぜ、このような現象が起きたのでしょうか?

          

               図-11
 それは、静止系に対する運動系の光の相対速度を考慮していないことと、図-11に示すように速度により合成された光の軌跡√(C²+V²)をCとしているから起きている矛盾なのです。
 光時計は、運動系の時間の測定には、使用できないのです。


 ここまで本文を読んで頂いた方は、アインシュタインの特殊相対性理論の根幹部分は、系の誤認による、棒の理論であることをお解りいただけたと思います。
ロレンツ変換、運動する物体の時間の遅れ、物体の収縮、アインシュタイン時空図は間違った認識から導き出されたものなのです。
 光速度不変原理は、誤解のないように、書き換えられるべきだと考えます。
 また、マックスウェルの波動方程式が不変でないこと、アインシュタインの同時性の否定で使われた棒に対する光速度、ミンコフスキー時空図から考察した光速度より、
実際には測定されていませんが、静止系に対する運動系の光の相対速度は、(C+V)や(C-V)になると推測されます。


 早く、物理学者の皆様が、この間違いに気が付いて、正しい理論が展開されることを願っています。